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July 10, 2004

1904年の青木繁(ブリヂストン美術館土曜講座)

ブリヂストン美術館の土曜講座を聴講した.講師は植野健造氏(石橋美術館).青木繁が代表作『海の幸』(石橋美術館蔵)を描いた1904年を植野さんは日露戦争開戦の年と説明し,その時代を描いた司馬遼太郎の『坂の上の雲』を紹介した.島田譲二氏の同書の解説を引用し,エリートたちが当時の花形である軍事に進む反面,芸術に独自の才能を開花させる若者がいた時代であったと説明した.

植野さんは青木の生涯を作品やエピソードとともに紹介してくれた.青木はプライドの高い男であったようだ.数学で落第しているのに,自伝の草稿ではすべての学科が良くできたと書いていた.また,乱視でメガネをかけていたが,メガネをかけた自画像は描いていないという話も青木のこだわりを感じさせる.集合写真ではいつも一番後ろに立ったそうだ.

青木の生涯の説明とともにスライドで紹介していただいた青木の作品はどれもすばらしく印象深いものだった.青木の作品は『海の幸』のように塗りこめられていない(未完成であると展覧会で評価される)作品から塗りこめられた作品へと変わってゆく.自信作『わだつみのいろこの宮』を博覧会に出品するが3等賞どまりだった.しかし,このときの作品の中で『わだつみのいろこの宮』だけが重要文化財に指定されている.植野さんは「時代によって作品の評価は変わるので,生前に評価されない画家は大変ですね.」といわれたが,作品の価値は普遍であると感じているようでもあった.

『海の幸』を描いた1904年は青木にとっても青春絶頂期(坂の上の時期)であった.1907年の父の死をきっかけに家族絶縁し,放浪の果てに病に倒れ,1911年,享年28歳の若さでなくなっている.

今回はじめてブリヂストン美術館の土曜講座を聴講したが,2時間の講義で青木繁とその作品にとても親近感をもてた.作家の素顔,その生涯を知ることは作品を味わう上で重要だと感じた.『海の幸』は来年,ブリヂストン美術館に来るそうだ.

ちなみに,ブリヂストン美術館では現在「巨匠たちのまなざし」と題して収蔵品のベストラインナップを展示している.絵画史の教科書になりそうな展示です.いいもの持ってるなあ.


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