現在公開中の「ゴジラ ファイナル ウォーズ」がゴジラ映画の最終作だそうだ.こちらも赤坂見附でのファイナル展覧会.「ありがとう赤坂見附 サントリー美術館名品展」(12/18~12/30)を見てきた.
『サントリー美術館は、今回の展覧会をもって赤坂見附での展観を終了し、2007年春には六本木(旧防衛庁跡地)に場所を移して新美術館を開館します。1961年に「生活の中の美」をテーマに東京・丸の内に開館したサントリー美術館は、1975年、現在の赤坂見附に移転しました。ゼロからスタートした館蔵品は、今では日本の古美術やガラスを中心に、国宝1点、重要文化財12点を含む約3000点に及び、展覧会は今回で303回目を数えます。今回の展覧会では、絵画・漆工・陶磁・染織・ガラスなどの多岐にわたる館蔵品から粋を集めた約80点を展示し、改めて「生活の中の美」という視点から見直しながら、赤坂見附での長年の活動を振り返りたいと思います。(HPより)』
主任学芸員さんの展示解説を聞いた.作品ごとの解説で展示の工夫などもよくわかった.2007年の新美術館でのオープニングも同様に名品展になるそうだ.(まず,自分の所蔵品を展示しないと他の美術館が安心して作品を貸してくれないそうだ.)以下,気に入った作品ごとに聞いたこと,思ったことを書いておく.
・舞踊図(江戸時代):着物の柄が美しい.手の表情などは簡単.6枚のパネルとして収蔵されているが,本来は屏風であったかもしれないので,屏風風の展示をしたそうだ.
・ひとよ茸ランプ(エミール・ガレ 1902年):堂々とした感じがイイ.3本あるのは成長の過程を現している.投票2位.
・藍色ちろり(江戸時代):ちろりは酒をそそぐ急須のようなもの.藍色一色のちろりはとても妖しく美しい.投票1位.
・色絵鶴香合(野々村仁清 江戸時代):「これを展示するのは怖い」と学芸員さん.首が細い.首からくちばしにかけての形もイイが,羽根の色も味わい深い.
・色絵五艘船文独楽形鉢(伊万里 江戸時代):色絵が美しい.南蛮貿易をしのばせる.人物の表情,船のデフォルメも面白い.
・浮線稜螺鈿蒔絵手箱(鎌倉時代 国宝):当時の社長,佐治敬三は「清水の舞台から飛び降りる」気持ちでこれを買い求めたとのこと.傷みがあるので時間をかけた修復が必要らしい.透かし彫りの螺鈿が美しい.見る角度によってはピンク色にも見える.金具もカチッとできていて鎌倉時代らしい.
・貝尽蒔絵螺鈿絵文箱(小川破笠 江戸時代):「超絶技巧.今でいう海洋堂です.」とのこと.鮑もイイが,ウニの骨やサザエの蓋に感動を覚えた.落款の印も浮き彫りだ.
・酒伝童子絵巻(狩野元信 室町時代 1522):酒伝童子が酒を飲んで正体を現した場面が展示されている.「いつもはこの後の首を切る場面を展示することが多いのですが,”ありがとう赤坂見附”ですので首を切る場面はやめました・・・」ということでした.酒伝童子の表情や体毛の感じ,まわりの女人のしぐさなど見飽きない.作品世界に入り込める.
・秋草蒔絵文箱(桃山時代):秋草が渋い.秋草は高台寺蒔絵の定番らしい.
・邸内遊楽図屏風(江戸時代):ここに行きたい!こういう店で飲みたいよう.これも作品世界に入り込める一品.
二組の屏風の前には蒔絵の膳・椀などが展示されていた.器が使われていたものということを味わって欲しいとのことだった.屏風絵のなかの器と見比べると興が尽きない.
・色絵壽字宝尽文八角皿(鍋島 江戸時代):イイ.色絵が味わい深い.鍋島だけに色絵・造形ともに完璧.描かれているアイテムがおもしろい.
・染付松樹文三脚皿(鍋島 江戸時代):マイベスト.完璧.いい色.完璧な形.脚もイイ.松の葉の広がりが美しい.染付けの発色も均一で隙がない.まるで画像が投影されているかのような滑らかな表面.
・日吉山王・祇園祭礼図屏風(室町時代):群集が精緻に描かれている.細部が楽しい.窓から見える室内や屋根の上の鶏など.ワールドに入り込むことができる.通常はガラスから離して展示するのだが,細部がよく見えるようにガラスに近づけて展示しているとのこと.ありがたし.
・薩摩切子紫色ちろり(江戸時代):藍色ちろりもいいが,これも美しい.
・薩摩切子藍色船形鉢(江戸時代):蝙蝠マークの鉢.バットマンボートだ.肉厚のガラス.縁の濡れたような艶やかさがイイ.これは,朝倉文夫の所蔵品だったもの.
・南蛮屏風(桃山時代):右隻は日本,左隻は異国.右隻で陸揚げされているものが面白い.鹿(?)の脚や景徳鎮風の磁器など.竈の様子.左隻では犬や中国風の衣装,人物の表情が面白い.
・茶道具では一群の蒔絵香合.蔦下絵新古今和歌色紙(光悦筆・宗達下絵 桃山時代)がよかった.
今回の展示では,奥のスペースの障子が開かれており,弁慶堀や首都高4号線,そのむこうに新宿のビルがみえる.窓からの景色を見ていると「ここもこれで最後だなあ」と自分が引越しをするような気分になった.
六本木の新しい美術館は隅研吾の設計になる建物に入る.天井が高くなるらしい.場所が変われば展示品の見え方もかわるだろう.また,2年間でぼくの作品を見る目も成長していてほしいと思う.2007年に六本木の新しい美術館で名品と再会するのが楽しみだ.同じ頃にはゴジラも復活しそうな予感が・・・
(今回は,2007年に読み返すために煩雑だが書きたいことは書いた.今回の展示にあわせて,所蔵品ベスト10を投票で決めるイベントがあり,その結果もパネルで紹介されていた.また展示も順位が考慮されている.1位の「藍色ちろり」は特等席に展示されていた.この順位付けだが,あまり興味が沸かなかったので記事中には載せていない.)
(12/18)