September 18, 2006

風神雷神図屏風(出光美術館)

意識したわけではないが,初日(9/9)に見てきた.
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宗達の風神雷神図屏風(国宝)と,宗達を模写した光琳の風神雷神図屏風(重文)と,光琳を模写した抱一の風神雷神図屏風が一堂に展示されるというイベント的な展覧会だ.

会場には部分々々を比較するパネルが展示されていたが,まあ,どうでもいいような気がする.
(うまく説明できないが,風神雷神図屏風は大胆な構図の奇抜さに驚かされるわけだから,一組(一双二曲)で十分だと思う.風神雷神図屏風を3組並べて比較するというのは不粋に感じるのだが・・・.3つを比較した今回の展覧会の図録は良く出来ていて楽しめた.本としても面白いと思う.矛盾しているかな.)

最初にこのような構図の屏風を描いた宗達はすごいと思うが,状態で勝る光琳の風神雷神図屏風が好きだ.抱一の風神雷神図屏風は雲がちょっと残念かな.

その抱一が光琳の風神雷神図屏風の裏に描いた夏秋草図屏風(東博)の下絵が展示されていた.これはすごくイイ.風に吹かれる左隻,雨に打たれる右隻.かっこいいなあ.

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September 04, 2006

美術のなかの「写(うつし)」(三井記念美術館)

三井記念美術館で開催していた『美術のなかの「写(うつし)」展』にいってきた.
たまたま最終日の閉館間際であったが,見ておいてよかった.
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応挙の「雪松図屏風」(国宝)はイイ感じだ.これを写した応陽の「雪松図屏風」と隣り合わせに展示されていた.

茶道具は正直良くわからないのだが,絵の写しよりは陶磁器の写しのほうが自由な印象をうけた.
能面は面白いのだが,ガラスの映り込みが気になる.

さて,今回見たかったのは,高瀬好山の自在昆虫置物と安藤緑山の染象牙置物.

安藤緑山の染象牙置物は”貝尽くし”と果物数点.リアリズムを追求した置物だ.こういう作品は人に頼まれて作れるものではない.

高瀬好山の自在昆虫置物は,一昨年,静岡で見ている.今回も堪能させてもらった.
自在昆虫置物は細部にわたって写実的でとてもリアルだが,高瀬好山は本物と見まごうものを作ろうとはしていない.ハイクオリティな玩具だ.可動部のデフォルメがイイ感じだ.それと色・質感.

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June 15, 2006

江戸の庶民POWER!(那珂川町馬頭広重美術館)

最近,あまり更新していないなあ.

5/4に那珂川町馬頭広重美術館にいってきた.企画展は「江戸の庶民POWER! -サントリー美術館所蔵 風俗画と浮世絵-」.

この美術館は栃木県の那珂川町にある.もとは馬頭町広重美術館だったが,那珂川町と合併して那珂川町馬頭美術館になった.今回の企画展も「那珂川町合併記念特別展」ということだ.

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隈研吾の設計したこの美術館は行ってみたいと思っていたが,家から遠いので,その気にならなかった.しかしサントリー美術館の所蔵品といわれると行こうかなという気になってきた.

その建物だが,まあ,それなりの趣はあるかな.という感じだ.館内は特殊で暗く細長い.(あまり広くない.)広重美術館を名乗るだけあり,日本画を見せることに特化していると言っていいように思う.しかし,また来たくなるような面白い建築ではない.館内のレストランの定食がうまかったことのほうが印象的だ.

この美術館には是非とも企画で勝負してもらいたい.

今回の企画展だが,「職人尽図屏風」「舞踊図」などサントリー美術館の名品に再会することができたのがよかった.広重の「東海道五十三次」が飽きるほど展示されているのも好きな人にはたまらないのだろう.五十三次に関してはもう少し興味をもてるような解説がほしかった.

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June 01, 2006

雪舟からポロックまで(ブリヂストン美術館)

ブリヂストン美術館で開催中の石橋財団50周年記念「雪舟からポロックまで」にいってきた.
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お目当ては雪舟の「四季山水図」などの石橋美術館所蔵品だ.ブリヂストン美術館の所蔵品には馴染み深いものも多いが,石橋美術館の所蔵品を東京で見る機会はなかなかない.

休暇をとった平日に行ったのだが,盛況であった.

まず,石橋美術館の所蔵の日本画・書・磁器・茶道具が展示されている第2室から見学した.

雪舟,イイネ.

数年前,東京国立博物館で雪舟展が開催されたときに見にいったのだが,人が多いうえに照明も暗く,絵を味わう余裕はなかった.

ブリヂストン美術館の展示で驚いたのは,絵とガラスの間の空間が狭い.つまり絵を近くで見ることができる.

さらに,ブリヂストン美術館の全ての所蔵品について言えることだが,状態がすばらしい.

雪舟の「四季山水図」は昨年修復が終わったばかりで,修復の様子については「修復の現場から」と題した土曜講座のなかで講演があった.(拙ブログの記事

修復された「四季山水図」はシワひとつなくパリッとしていて気持ちがいい.

「四季山水図」は絵の中に入って楽しむ絵だなと感じた.小さくなって絵の中に入るための装置が絵の下側(手前)から中央に向かってのびる細い道だ.たとえば「夏」の絵を見ると手前から道を登っていくと,ベンチで老師が休んでいる.鑑賞者もこのベンチで休む気分になる.すると,描かれた滝の音がサアーっと聞こえてくるような,谷の冷気が感じられるような,そんな気分になる.春・秋・冬の絵にも鑑賞者の休憩場所とそこへ至るための道が用意されている.

いわゆる南画には,このような箱庭のような作品が多いが,詰め込みすぎた作品だと鑑賞者の落ち着く場所がなかったりする.雪舟はイイ感じだ.

ブリヂストン美術館で最も好きな作品はセザンヌの「サントヴィクトワール山」だが,この絵はキャンバスの手前で山を眺めている気分になる.絵の中に入るような感じではない.遠くを見ている感じだな.雪舟は超広角レンズの画角でセザンヌは標準レンズの画角.

さて,第2室だが,雪舟以外もすばらしい.

高野切は紀貫之筆とされるもので,やはり修復を終えたばかり.とてもきれいだ.

伊勢集断簡 石山切は料紙が美しい.これも800年経っているとは思えないほどパリッとしている.

因陀羅の作品(国宝)は床間を模した展示.今回の企画展は展示も工夫されている.床間には龍泉窯の青磁花瓶.この花瓶とは別に同じく龍泉窯の飛青磁花瓶もある.飛青磁は東洋陶磁美術館のものには及ばないが美しい.現在,東京国立博物館の特別展示室で馬蝗班ほか数点の青磁が展示されている.青磁に縁があるなあ.

第2室以外の展示についても軽く記録しておこう.青木繁の海の幸,わだつみのいろこの宮をまた見ることができた.佐伯祐三の3作品も嬉しい.第10室には記憶にない作品が多かった.アンリ・ミショー,ジャクソン・ポロック,ザオ・ウーキーがおもしろい.

今回の展示は石橋財団50周年記念ということで,ブリヂストン美術館・石橋美術館の名品展となっている.そのためだと思うが,出品目録にはエントランスや階段にある作品までが載せられている.階段にあるマイヨールのレリーフは大好きなので,いつも階段で降りることにしている.出品目録に出ているとなんか嬉しいな.

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April 22, 2006

「素顔の伊東深水」展(目黒区美術館)

目黒区美術館へいってきた.企画展は「素顔の伊東深水」展.画廊主のY氏が集めた伊東深水のスケッチを中心に展示していた.

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伊東深水(1898-1972)というと,埼玉県立近代美術館の「宵」を思い出す.浴衣で横たわる女性を後ろから描いているのだが,赤い下着が透けていてちょっとエロティックな作品だ.

さて,スケッチだが,着物の女性を描いたものが多い.着物の線で腰の重さや伸びた背筋が表現されている.書き直しがないのは,描き慣れているせいもあるだろうが,実にうまい.

手ぬぐいを絞る姿や,傘をさす姿に強い興味を持っていたようだが,「萌え」の感覚に近いのではないだろうか.

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April 09, 2006

風俗画にみる日本の暮らし(出光美術館)

出光美術館にいってきた.出光美術館の企画展はいつも「ぐるっとパス」で入っていたので,今回もぐるっとパスを買った.昨年度までは出光美術館は企画展入場券がついていたのだが,本年度版では割引券になっていた.ちょっと悲しい.

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さて,企画展は「風俗画にみる日本の暮らし -平安から江戸-」.

展示は”日々の営み”,”労働”,”病・老いと死”,”観光・異国へのあこがれ”,”歌舞伎・遊び”とテーマをわけて展示されている.そのなかに特集展示として「風俗表現から風俗画誕生へ」と題されたコーナーがある.

その「風俗表現から風俗画誕生へ」では「洛中名所図扇面貼付屏風」(狩野宗秀 桃山時代)と「扇面風俗図」(室町時代)の2作品が展示されている.その「扇面風俗図」がとても面白かった.

「扇面風俗図」は(たしか)9面の扇面図からなり,高雄の紅葉狩り,東寺の門前,雪合戦,楊弓とままごとなどが描かれている.

照明も暗く,描かれた人物も小さいので単眼鏡をのぞいた.細かい線で描かれた人物の表情も味わい深いのだが,人物の動きが実にしなやかで見飽きない.特に雪合戦の場面で駆けている男の髪がそよぐ様や,その手前の男の腕のふり方なんかデフォルメされていても自然でアニメのように動きだしそうだ.色使いも華やかで楽しい.

また細部の書き込みがすごい.たとえば楊弓(遊戯用の小弓)の的には兎と月が描かれている.着物の柄や小道具も精密に描かれているので,精巧なミニチュアのようだ.

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February 03, 2006

書の至宝(東京国立博物館)

先週の金曜日に休みとって書の至宝展にいってきた.

東京国立博物館で開かれているこの企画展は,朝日新聞の夕刊に毎日作品が紹介されるなど宣伝が行き届いていることもあり,とても盛況であった.書を趣味とする方も多いのだろう,中高年の方が熱心に見ておられる.ガラスは手と鼻の脂でベトベトだ.

とにかく面白かった.もっとゆっくり見られたら良かったのにと思う.

11章からなる展示の簡単な感想を章を追って書いておく.

第一章 文字の始まり-字体の変遷-
 甲骨文や銅器に彫られた3000年前の文字に漢字の原型を見ることができた.記録メディアとしての骨・銅・石の堅牢さも実感できる.

第二章 王義之とその周辺
 書聖 王義之の作品を複数見ることができた.東博の蘭亭序は2004年に東洋館で見ているが,たくさん押された所有印がカッコイイ.蘭亭序は川の上流から盃を流し,盃が流れ着くまでに詩を詠まなければ酒を飲まなければいけないという宴席(?)の序文だが,その様子を描いた「蘭亭曲水図屏風」が本館に展示されているので合わせて楽しむことができた.

第三章 楷書表現の完成-中国・唐時代-
 欧陽詢は蘭亭序を臨書した人だ.作品に押された所有印もカッコイイ.

第四章 主観主義の確立-中国・宋元時代-
 米芾の行書三帖がカッコイイ.所有印も!行書は英訳すると”running script”というらしい.疾走感があってイイ.行書三帖は”Three letters in running script”.洋楽のタイトルのようだ.

第五章 中国書法の受容-飛鳥時代-
 聖徳太子の法華義疏.マジで聖徳太子筆ですか?字が小さいのは紙メディアの単価が高かったからでしょうか?

第六章 奈良時代の写経と三筆-奈良時代から平安時代初期-
 「弘法も筆のあやまり」を実際に見ることができた.空海の字を見るのは初めてだが,気に入った.肖像・彫刻では厳しいお姿だが,字からはおおらかな印象を受けた.

最後まで書けると思ったけどダメだった.
(つづく)


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January 02, 2006

博物館に初もうで(東京国立博物館)

謹賀新年!

今年もよろしくお願いします.
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東京国立博物館は新年1月2日から開館.ということで,「博物館に初もうで」に行ってきた.(去年といっしょだ.)

上野駅に着いたら雨が降り出した.今年は天気が悪いにもかかわらず,博物館には昨年以上の人がいた.

まず,新春イベントの獅子舞をエントランスホールでみた.獅子に頭を噛まれると縁起がイイということで,ぼくも頭を噛んでもらった.

さて,今年の新春特別展示は「犬と吉祥の美術」ということで干支の犬をモチーフにした作品と正月らしい吉祥をモチーフにした作品が2階の特別展示室で展示されている.

犬をモチーフにした作品の中では円山応挙の「朝顔狗子図杉戸」がかわいい.子犬が丸くてふかふかだ.そばに咲いている朝顔もイイ感じだ.これは東博の庭園にある応挙館の杉戸だ.応挙館は外からしか見たことがないので,今年は茶会に参加して中から見てやろうと思う.

吉祥モチーフでは伊藤若冲の「松樹・梅花・孤鶴図」がおもしろい.デフォルメされた丸い鶴だ.昨年の新春特別展示でみた若冲の「松梅郡鶏図屏風」の丸い顔の鶏を思い出す.この丸い鶴だが,尾羽がかわいい.フィギュアスケータの衣装のようにセクシーだ.

若冲の鶴の絵が常設展示にもある.こちらはリアルだ.白い絵具で羽を細かく描いている.隣には応挙の鶴の絵が掛かっている.応挙の「青松白鶴図」の鶴はリアルだが線の数は少なく,簡潔な印象だ.しかし,簡潔な線でリアルな生物を描くには形態の理解が必要なのだろう.応挙の鶴の絵の向かいには応挙の「写生帖 丁」が展示されている.これがイイ感じだ.鷹や水鳥,昆虫などがリアルにスケッチ・彩色されている.書き直しがない.下書きや反故にしたものがあるのだろうか.それともいきなり描けるのだろうか.以前に応挙が昆虫をスケッチした「写生帖」はみたことがあるのだが,今回の「写生帖」では鳥も描かれていたので気がついた.実物大で描かれている.大きな鷹は各部に分けて描かれ,昆虫は一枚の紙にたくさん描かれている.応挙は博物学者のようだ.


今日は博物館でblog「いづつやの文化記号」のいづつやさんに出会ったので,いっしょにまわらせてもらった.新年早々,楽しい時間を過ごすことができた.(獅子舞のご利益には即効性があるようだ!)
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November 19, 2005

国宝 源氏物語絵巻(徳川美術館)

岡山へ出張した帰りに名古屋で一泊し徳川美術館にいってきた.特別展「国宝 源氏物語絵巻」を見るために.

実は源氏物語は読了していない.それも現代語訳なのに.しかし,ダイジェスト版は読んだので出光美術館での源氏絵展の時点よりは進歩している(はず).

見ることのできたオリジナルは蓬生・関屋・絵合・柏木・横笛・竹河・橋姫・早蕨・宿木・東屋・鈴虫・夕霧・御法.(東博の若紫を除いて現存する全て).復元模写は蓬生・柏木・鈴虫・竹河・早蕨・宿木・東屋.

科学調査に基づく復元模写はその華やかさに驚いた.製作から700年以上を経ているオリジナルは色あせているが,現代に華やかさを伝えたのだ.オリジナルを見て想像する以上の美しさだ.

蓬生もイイ感じで気に入ったが,少し地味だが鈴虫二が好きだ.オリジナルでは月はもう色あせて見えないが,復元模写では美しい月が吹抜屋台の上に輝く.源氏が柱を背にして実は息子の冷泉院と語らう場面を描いたこの絵はオリジナルも十分味わい深いのだが,復元模写の華やかさは感動的だ.

日本はすばらしいなあと思う.

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写真は徳川園にて.


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November 05, 2005

上村松園展(松柏美術館)

奈良にある松柏美術館にいってきた.企画展は「生誕130年記念 上村松園展」.
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上村松園といってすぐに思い浮かぶのは「序の舞」とか「焔」,「夕暮」や「晩秋」なども好きな作品だ.(今回は「序の舞」,「晩秋」を見ることができた.)

上村松園の作品ばかりを見るのは初めてだ.

最初の印象は「美しい」の一言.松園17歳の作品「四季美人図」からして完成度が高い.この頃からテーマは女性の美だ.そして,全ての作品が美しく,完成度が高い.テーマは女性の美.

女性の美といってもいろいろあるが,松園の描く女性の美は肉体の美ではない.その表情と(うつむき加減に観客から目をそらすような表情と)着物につつまれたポーズが表現するのは精神の美だ.高潔であり品格があり賢いというような精神の美.肉体とか感情というものを表現した作品はない(ように感じる).まとめて見るとちょっと息苦しく感じるな.気楽に,自由に描いた絵も見てみたいと思った.

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October 29, 2005

京の雅び・都のひとびと(出光美術館)

10/29~11/9は読書週間ということらしい.まったく知らなかった.が,毎年10月末におこなわれる神保町ブックフェスティバルにはここ数年足を運んでいる.文庫本ばかり3冊買ったあとは,露天の店でビールと肉まんを買って昼食にした.気持ちよく酔ってきたので有楽町まで歩いていった.

今日行ったのは出光美術館.展示は「京の雅び・都のひとびと -琳派と京焼-」.

「柳橋水車図屏風」がすごい!

金色の夜だ!金色の夜に黄金の月が懸かる.橋も金色にかがやく.そこに柳の黒い幹と緑の葉.

柳の黒い幹は自由に曲がっている.月に向かって伸びた太い枝が,月にかぶらないようにばっさり切られているのもイイ.

そして,河の水がすごい.水車から流れ落ちる水は墨のように真っ黒だ.河の水も,(様式化した描き方だが)どうどうと流れてくる感じが気持ちイイ.

金色の夜.これが”雅”なのか!こういう感性なのか!すごいぞ!

金色の夜を見るのは初めてではないはずだが,今日はびっくりした.夜を金色にし,水を黒くする感性に感動した.作品の状態がすばらしく良かったのも感動の一因だと思う.金屏風の金は背景くらいにしか思っていなかったが,夜を表現する金もあるのだ.金色の夜だったんだ.
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October 13, 2005

田能村竹田の世界(静岡県立美術館)

静岡県立美術館にいってきた.企画展は「文人の夢・田能村竹田の世界」.

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この企画展は大分市美術館との共催で,同館所蔵の64作品で構成される.大分市美術館では,静岡県立美術館の所蔵品による「近世絵画の水脈-狩野派から若冲、大雅へ」という企画展が開催される.所蔵品の交換による企画展というわけだ.

田能村竹田(1777-1835)は江戸後期の文人画家で,九州・豊後竹田(大分)出身.京都で頼山陽・浦上玉堂らと交流し,江戸では谷文晁に画を学んだ.らしい.どうやら医者の家に生まれて,藩から禄をもらい医学を教える立場に着いたが,早々に隠居し,年金生活で文人を楽しんでいたようだ.

文人というのはインテリ.文人画というのは職業絵師ではない文人(つまりマニア・おたく.)が書いた絵.南画(=南宗画.南宋画は間違いだそうだ.)は中国絵画の様式をまねて空想した風景を描いたもの.というのがぼくの理解だ.つまり田能村竹田は理想郷オタクではないかと.

ぼくは南画をかきはじめる前の作品のほうが好きだ.いわゆる南画は,オタクが人の作風をまねて書いた絵のような,どこかで見たような絵が多い.なんとなくオリジナリティが感じられない.ひとつひとつは描線も細やかで美しいのだが,迫力に欠ける.重要文化財だけれども.

南画で面白かったのは,天保2~3年(55歳頃)に描かれた3作品.並んで展示されていた.古いものから順に縮尺が細かくなっていく.望遠から広角にズームされていく感じだ.

好きな人にはたまらない魅力のある作品郡かもしれないが,ぼくにはそれほどでもなかった.例えば興味のない鉄道模型かなんかを見せられている感じに近い.そもそも文人画というのは”自娯”(人に見せるわけではなく自分が楽しければいい)という精神でかかれるものだそうだ.

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October 06, 2005

谷岡ヤスジ展(三鷹市美術ギャラリー)

谷岡ヤスジ展をみてきた.場所は三鷹市美術ギャラリー.ここはクールベ展以来の2回目だ.
ぐるっとパスが使えるので行きたくなる美術館だ.

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谷岡ヤスジ(1942-1999)の原稿や掲載誌などが年代ごとに部屋を分けて展示されている.

谷岡ヤスジの漫画はほとんど読んだことがなかったが,展示されていた原稿は今読んでおもしろい.ブームが起きていたころは10代以下だったが,そのころ読んでいたらどう感じただろうか.谷岡ヤスジの第1次ブームは1970年.”鼻血ブー”なんていうのは確かに流行っていたような記憶がある.

谷岡ヤスジは忙しいときには月に200枚も原稿を描いていたそうだ.氏が記録していた執筆スケジュールが展示されていたが毎日締め切りだ.大変なペースで仕事をしていたようだ.

シンプルな絵柄なのだが,原稿の線がきれいだ.年代順に見ていると,どんどんペンの線がシンプルに迷いなく,美しさをましているように見える.内容もなにかこう”境地”に達したというか,達観したような感じになってくる.

美術館はどのような経緯でこのような企画に至るのだろうか.いわゆる絵画作品ではないが,漫画家の生涯の仕事を振り返るという試みは面白いと思った.

会場外には記念撮影用のセットがあった.見ているとミュージアムショップの方が「撮りましょうか」と声をかけてくれたので撮ってもらった.

鼻血ブーーーーーー
hanadi


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September 23, 2005

関東南画大集合(板橋区立美術館)

板橋区立美術館にいってきた.企画展は「関東南画大集合 ~のぞいてみよう心の風景~」.

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南画というのは中国の南宋画をちぢめたものだが,日本では南宋画や北宋画のような中国の風景を想像して描いたものを南画というらしい.それで,~のぞいてみよう心の風景~となっている.

板橋区立美術館はとにかく面白い.地味に面白い.今回もキャプションに笑わせてもらった.

前回の館蔵品展「江戸狩野派ってなに?」(拙blogの記事)では,新タイトルを楽しんだが,今回は他館から借りている作品も多いので勝手なタイトルは付けられない.しかし,キャプションは相変わらず振るっている.

注目は佐竹蓬平(ほうへい)(1750-1807).信濃国(長野県飯田市)出身.明和4年(1767),白隠禅師の高弟,寒山禅師に学び,明和8年に江戸に出て宗紫石に学ぶ.その後,京に上り,池大雅を訪ね,天明元年(1781)に郷里に戻った.

この人の作品は5点あったがどの絵も面白い.きっと普通に展示してあれば,あまりうまくない絵だなと通り過ぎてしまうはずだが,キャプションのツッコミが強烈で笑えるのだ.

以下,『』内がツッコミキャプションの一部.

「柘榴小禽図」.この鳥は明らかに変.頭はげてるし.ツッコミはおとなしく『間のびした面白さ』
「浅縫山水松下閑談」.石だか舟だかわからない三角形に対して『一体これは何なのだ』
「古木竹石図」.この絵もめちゃくちゃだ.『天衣無縫』・・・
「宗周胡蝶夢図」.蝶がいい加減に描いてある.『ごっつい蝶』←これには笑った.
「渓山棋楽図」.『山の中で囲碁を楽しんでいる変なおじさんたち.大地が右下にかたむいているのに平気な顔だ』といった感じ.

佐竹蓬平展が観たい.是非,板橋区立美術館で.

(9/23)

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July 31, 2005

模写・模造と日本美術(東京国立博物館)

この展覧会はちょっとすごかった.きっとまた行くだろう.

模写・模造の展覧会なのだが・・・

会場に入るといきなり,浄瑠璃寺の吉祥天像(模造)だ.こういうママが客を出迎える店は安くない.(しかし,この特別展は平常料金でご覧いただけます♪)

そして会場の仏像,すごいぞ!おい!

百済観音像(法隆寺),広目天(東大寺),月光菩薩(東大寺),などなど,さらに無著・世親像(興福寺)まで!
こんな豪華なメンバーが集まるなんて,なにかのチャリティーコンサートですか?(決して「ものまね王座決定戦」ではない!)

九面観音像(法隆寺)の模造は森川杜園によるもの.このディテールもすごい.

模写・模造というと”贋物”のイメージを持っていたが,目からウロコだ.

絵巻では,餓鬼草子や平治物語絵巻.写真や印刷よりも模写がいいなあ.

書では平家納経や本願寺本三十六人家集がすごいぞ.こんなの模写するか!できるのか!

日本画では,大観による牧谿,雪舟の模写がある.雪舟いいなあ.傷みがないし.

工芸品のレプリカも侮りがたし!

正倉院宝物のレプリカがすごいぞ.螺鈿細工のすばらしい琴やハープ,琵琶.まさに宝物!

そして,法隆寺金堂壁画と高松塚古墳壁画.模写をみると失われた現物の大切さがわかるなあ.

今日は「遣唐使と唐の美術」という企画展をみたあと,「模写・模造の日本美術」を見たのだが,遣唐使展ふっとんだな.(井真成さん,ごめんなさい.)

さらに,平成館と本館の間でおこなわれている「文化庁購入文化財展」!

「郡仙図」(曾我蕭白)! おい,なんでこんなところにあるんだよお~.通勤電車で有名人に出会ったような驚きだ. 「かりがね帖」なんかもある! グッジョブ,文化庁! オイラの所得税も「郡仙図」や「かりがね帖」の購入費になるなら納得だ.

9/11まで.またいくぞ!

ちょっと乱暴な記事になったな.(7/31)

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July 10, 2005

小林古径展(後期)(東京国立近代美術館)

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後期も楽しめた.(前期の感想はこちら

「竹取物語」,「雨」,「花」などが気に入った.「柿」や「栗」も印象深い.

そして「孔雀」.直球勝負の画題・構図に画家の力量があらわれていると感じた.すばらしいバランスだ.

前期では,エロスなら「踏絵」,萌えなら「丘」,色気なら「河風」と感じた.
後期では,エロスなら「髪」,萌えでも「髪」,色気なら「花」かなあ.
(「機織」も萌え作品なのだが通期展示なので,あえて入れない.)

<エロスな一点>
今回は「髪」.
乳房をだしているからエロス,というわけではない.

「髪」がエロス! 短く無造作に切られた髪だ.

「髪」には二人の女性が描かれている.髪を梳いてもらっている女性と,髪を梳いている女性だ.

髪を梳いてもらっている女性は上半身裸で正座している.右手を左腿の付根におき,左手は右腿の先においている.クロスした腕は体を支えるように硬い印象だ.太い腰も,あらわな乳房も,顔の表情も硬い.髪だけがたっぷりと長く,やわらかい.

髪を梳く女性は,膝立ちで,左手に髪を抱き,右手の櫛で梳いている.その表情!長い髪に焦がれるような表情!うっすらと頬を染めている.その女性の髪は無造作に短く切られている.そして耳のところのほつれがまたイイぞ.

髪を梳く女性を美しいと感じると,もうこの女性が主人公になるんだよな.
(☆☆☆☆★)
(7/9)

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June 11, 2005

小林古径展(東京国立近代美術館)

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小林古径展に行ってきた.

小林古径(1883-1957)の日本画は清々しい.細く均一な描線によって描かれる写実的な形態からは,まるで時間が止まったような印象をうける.そして,そこに幻想的な色彩が施されている.背景の余白がすごく気持ちイイ.

ちょうど紫陽花の咲く季節だが,紫陽花を題材にした作品が2点あった.すべての花が開いた毬のような紫陽花ではなく,外周の花だけが開いた状態の花を描いている.(ガクアジサイという種類らしい.)実際の紫陽花は密集しているし,葉が多くて鬱陶しいのだが,白い背景のなかに描かれた紫陽花は涼しげでイイ感じだった.

本展覧会では60数点の作品を見ることが出来た.目録をみると前期・後期でほぼすべての作品が入れ替わるので後期も見たいと思っている.(というか後期の方が楽しめそうな気もする.)

<エロスな一点>(←勝手なコーナー作りました.)
チラシを飾る「極楽井」もきれいだ.グッと来るものがある.しかし,ここでは「踏絵(異端)図」をあげたい.古径の作品では背景のないものが好きなのだが,これは特別だ.物語がある.そして古径のえがく穢れのない女性が踏絵という状況に置かれることで,なんかイイ感じにエロチックでもある.裾から覗く足先,手の表情,目線や口元,見所満載だ.そして全体のバランスがとんでもない緊張感をはらんでいる.踏絵と人物の距離が絶妙だ.そして時間は止まったまま緊張が持続する.心拍上がるぜ!(☆☆☆★★)

(6/11)

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May 19, 2005

江戸絵画への熱いまなざし(栃木県立美術館)

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「江戸絵画への熱いまなざし インディアナポリス美術館名品展」をみてきた.栃木県立美術館へ行くのは2度目になる.(前回はマイセン展だった)

お目当ては,蕭白・若冲・暁斎に狩野派など.このあたりは大好物だ.

会場に入るといきなり「松に鷹図」(蕭白).イイ絵です.つぎの部屋に展示してある「柏鷹図」「鷹図」(曾我二直庵)をみると蕭白が曾我派の鷹の影響を受けていることがわかるが,それは形態のみのことであり,細部の描きこみや全体のバランス,色調は蕭白ならではの味わいだ.蕭白は他に4点.いずれもイイ感じだ.「虎渓三笑図」も楽しいが,「太公望図」のような感じが好きだなあ.

狩野派では清原雪信の「鷺図」.清原雪信の名前は先日の「江戸狩野派ってなに?」(板橋区立美術館)で知った.この人は女性です.めずらしいそうです.

土佐光起・鈴木其一も良かった.「孔雀図」(岸岱)は表装含めていい感じだった.孔雀の羽の青と同じような青い中廻し(額にあたる部分)がすばらしい.損保ジャパンの「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」では額の変遷にも目を奪われたが,掛軸の表装もなかなかおもしろい.

栃木県立美術館では「日本の絵 初めの一歩」という冊子を配っている.屏風の数え方や各部の名称など説明してある.上記の”中廻し”はこの冊子で覚えた名前だ.

栃木県とインディアナ州は姉妹提携しているらしい.ということで「インディアナポリスとインディーカー・シリーズ」という展示が併設されている.インディーカーを見るのは初めてだ.F1より大きい印象を受けた.インディでは決まったベースマシンを使うそうだ.たしかに細部はシンプルで,F1ほど神経質に空力設計しているようには見えない.一度レースを見てみたくなった.

常設展もイイ.モネ,コロー,青木繁など.今回は特に青木世一の「AOKIT 「フットボールをする人々」」が面白かった.ルソーの「フットボールをする人々」をベニヤ合板で立体化したものだ.調べてみると,ゴッホ,セザンヌもキット化している!

(5/14)

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May 04, 2005

江戸狩野派ってなに?(板橋区立美術館)

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板橋区立美術館はたのしい!今回は館蔵品展「江戸狩野派ってなに?」だ.

まず,観覧無料!そして展示室内撮影OK!さらにガラスなしで屏風を展示した「お座敷コーナー」まである.

展示作品はどうかというと,数こそ少ないが楽しめた.楽しめた理由のひとつにタイトルがある.たとえば「誘う女」(英一蝶,旧タイトル 朝妻舟図),「チャイニーズ・キッズ」(狩野典信,旧タイトル 唐子遊図屏風),「ひそかなデート」(清原雪信,旧タイトル 源氏物語 浮舟図)など.従来のタイトルを改め,大胆な新タイトルをつけている!

特に面白かったのは「ドデカ大黒」(狩野典信,旧タイトル 大黒図).ドデカって,ふざけすぎのような気もするが,印象に残るタイトルだ.

そして,ベストは「ドラゴン・タイガー最終決戦」(河鍋暁斎,旧タイトル 龍虎図屏風)!すごいぜ!特撮のにおいがするタイトルだ.金屏風を見ながら,江戸の町を踏み倒して着ぐるみの巨大怪獣が死闘を演じるイメージが頭に浮かぶ.どっちが勝つんだ!

5/29までが前期で,5/31から後期が始まる.後期の作品には「身分が違うぞ」(英一峰),「お雛さまのヒ・ミ・ツ」(狩野章信)などがある.見逃せないな.
(2005 5/4)

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写真は「お座敷コーナー」.大画面の屏風シアターをあぐらで楽しめます.

<追記(6/12)>
後期の展示を見てきました.
河鍋暁斎の「ホネ・骨・ロック」や狩野一信の「源氏平家の紅白合戦」などが面白かった.
「お雛さまのヒ・ミ・ツ」は表装の裂地も描かれた変わったものだった.
「お座敷コーナー」では徒然草を題材にした「人生イロイロ」がたのしい.

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April 25, 2005

曾我蕭白-無頼という愉悦-(京都国立博物館)

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今回の京都・大阪旅行の主目的は京都国立博物館でおこなわれている「曾我蕭白」展だ.

京都駅についてから,まず東寺に行き「東寺名宝展」を拝観し,京都国立博物館近くのホテルにチェックインした.京都国立博物館には5時過ぎに入館したが,金曜は8時まで観ることができる.平日夜間のゴッホ展は大混雑であったが,こちらは空いていた.ゆっくりと観てまわることができた.

とにかく絵がうまい.そして個性的で面白い.間近でみるとその執拗な描きこみに関心する.すべてが丁寧なのだ.毛髪,衣服,岩肌,樹皮,水の表現など本当に丁寧でうまい.また墨の濃淡を使った着色もとても丁寧だ.それが勢いのある荒々しい筆使いと同居している.いや,荒々しい筆使いも計算ずくの印象さえある.

一部の即興で描かれたもの以外はじっくり見ても見飽きることがない.といったら言い過ぎかもしれないが,それくらい細部に見ごたえがあり,全体のバランスもイイ.特に面白かったのは,重文でないほうの「寒山拾得図」.「寒山拾得図」は2組あったが,重文でないほうの「寒山拾得図」がよかった.寒山・拾得ともに服の輪郭は荒々しい筆使いだが,背景や墨による色付けは繊細ですばらしい.毛髪や爪,筋肉の表現にはエグイ印象も受けるがそれがおもしろいと思う.

「月下狸図」や「韓信図」,「関羽図」,「鉄拐仙人」,「蝦蟇仙人」,「太公望」など人物・動物を描いた墨絵が特に気に入ったのだが,カラー作品もおもしろかった.「郡仙図屏風」の描きこみはすごい.右隻の右から2番目の仙人の服の鳳凰は金泥で立体的に表現されている.これはまだ良い.左隻の耳を掘ってもらっている蝦蟇仙人に乗っている白い蝦蟇の表面には白いぶつぶつが立体的に描きこまれているのだ.気持ち悪いが面白い.

これもカラーの代表作,「雪山童子図」もイイ感じだ.作品の内容もそうだが,保存状態もよく,まったく古さを感じない.この童子のポーズや表情がなあ.イッちゃってる感じだ.翌日,横尾忠則さんの講演を聞いたのだが,横尾さんはこの絵を参考にした絵を描いたこともあり,会場でこの絵を見たとき「俺の絵だ」と思ったそうだ.

「雪山童子図」の赤と青の色のバランスもイイ感じなのだが,墨絵の風景画の墨の濃淡を使った画面のバランスはすばらしい.墨絵はコントラストが高くなりすぎるのだが,蕭白の墨絵は中間色が豊かで気持ちがいい.

残念ながら展示替があるので122作品中100点弱しか見られなかったが,大満足の展覧会であった.また400頁以上あるタウンページのような図録は縦横に折りたたまれた見開きページもあり見ごたえ十分.(しかし重すぎ)

本館の常設展示の一室もすべて蕭白だった.予告編?それとも隠しアイテムかな.

(4/22,23)

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April 10, 2005

唐絵の屏風(根津美術館)

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根津美術館で「唐絵の屏風」を見てきた.展示数は少ないが,屏風の楽しさを満喫できた.

まず,屏風の楽しさについて.
展示室の奥にあった「龍虎図」(雪村 室町時代)は展示室の椅子に座ってみるとちょうどいい感じだった.10mほど離れていただろう.屏風シアターという感じだ.座って見るのがいい.寝転びたいぐらいだった.
常設展示の屏風,「藤花図」(応挙 1776),「赤壁図」(長沢芦雪 江戸時代)もよかった.「藤花図」は,ツルを描く筆の勢いと,藤の花の繊細な描画が楽しい.

そして,オリジナルの写実性について.
先日,出光美術館で「長谷川等伯の美」を観て,写実的ではない動物などを等伯のオリジナルキャラとして評価したが,どうやらそうではないように思えてきた.それは,今回の展示で見た「二十四孝図」(清宝 室町時代)に描かれた虎と象を観たのがきっかけだ.虎の体格は実にリアルだが,象はマンガのようだった.「中国には象はいないからな.」と納得したのだが,では等伯の虎はどうだったのか.つぎに「龍虎図」(雪村)みると等伯の虎によく似ている.龍も虎も中国から誰かの描いた絵として伝わり,みんなそれを観て龍と虎を想像し,自分の絵を描いたのだと思う.等伯の虎の毛並みがフェイクファーのように見えたのも,他人のキャラクターをもとに想像でリアリティーを追加しようとしたためではないか.

虎や龍を描いた屏風を眺めるのは,大画面のホームシアターでアニメを見るようなものだったかもしれない.

庭の桜はイイ感じに散り始めていた.
(4/9)

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March 27, 2005

長谷川等伯の美(出光美術館)

03_19_1「長谷川等伯の美」と題する展示をみた.場所は出光美術館.

長谷川等伯(1539-1610)は写実的じゃない.脳内ワールドを描いてるような気がする.劇画じゃない漫画のようだ.

「松に鴉・柳に白鷺図屏風」:鴉も鷺も写実的ではない.等伯のキャラになってる.味のあるキャラクターだ.

「竹虎図屏風」:この虎も決して写実的ではない.何かを参考にしたのだろうか?等伯のキャラだな.近くでみるとコートの襟のフェイクファーのような毛並みだ.離れてみると等伯ワールドが動き出すような気がする.楽しい.アニメ化してもいいくらいだ.

「萩ススキ図屏風」:金屏風.装飾的な図柄だが,今回の展示では最も写実的に感じた.離れてみると奥行きを感じる.(近くで見ると同じ形の繰り返しであまり面白くない.)風がふいている.もう少し離れて見たいのだが,柱がじゃまだった.

「柳橋水車図屏風」:同じモチーフの3組の屏風が並べて展示されている.中央が等伯筆.左右が長谷川派.柳も水も橋も記号化されている.決まった記号の繰り返しだ.写実とかリアリティーなんか関係ありませんよ.って感じだ.しかし,虚構の世界が存在感をもっている.

長谷川等伯はおもしろい.こういう日本画は楽しい.

*等伯の「松林図屏風」が東博(東京国立博物館)の国宝室で公開される.(05' 12/27~06' 1/29)

(05' 3/19観覧,27記事)

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March 19, 2005

雪舟の四季山水図と高野切を中心に(ブリヂストン美術館土曜講座)

「修復の現場から」という全5回の講座の3回目.講師は光影堂の藤岡春樹氏.「雪舟の四季山水図と高野切を中心に」と題して修復についての講演くださった.掛け軸などの裏紙は100~200年ごとに交換しなくてはならない.その技術を装潢(そうこう)技術という.1000年続く技術だそうだ.

「四季山水図」と「高野切」はブリヂストン美術館の姉妹館の石橋美術館の所蔵品で光影堂で修復がなされたそうだ.まずは荒野切の修復について説明してくれた.

今回の高野切は紀貫之の筆とされる古今和歌集巻第一断簡(重文)だ.料紙は麻紙(まし).麻紙には「なめらかだがテカリがなく,地肌がふっくらしている」という特徴がある.麻紙は奈良時代に全盛期をむかえ,平安時代には漉かれなくなった.また”キラびき”といって雲母の細かい破片が表面に散らしてある.修復に当たっては雲母がはがれないようにすることが課題だったそうだ.

本紙だけではなく,裂地(表具の布)の損傷も修復される.新しいものに置き換えることもあるそうだが,今回の修復ではすべてオリジナルを利用するようにしたそうだ.

今回の修復は現状維持修理・再修理可能な修理で,ポイントは「雲母の状態」,「料紙の風合い」,「紗裂の修理」だ.紙の損傷は斜光で折れや雲母の状態をみたり,透過光によって料紙の均一具合や裏打ちの状態を確認してから始められる.

「雲母の状態」に関して:修復前に20箇所の雲母(墨の文字にかかっている雲母を選んでいる)を顕微鏡で観察しておき,修復途中で雲母が移動・剥落していないかどうか顕微鏡で確認しながら作業を進めたそうだ.修復前後の雲母の顕微鏡写真を見比べると,雲母の移動はみられない.この高野切の雲母はしっかり着いていたそうだ.

「料紙の風合い」に関して:裏には肌裏・増裏・総裏の3種類の裏打ちがなされる.上下には3種類の裏打ちがあったが,本紙の裏には増裏がなかった.裏打ちをはがすときは,水分を含んだ紙ではさんで湿気を与えてはがす.裏打ちをはがした本紙を吸取り紙の上に置き,水分を噴霧し,汚れを吸取り紙に吸わせる.乾燥は生乾きの状態で板にはさんでおこなうが,このときの荷重で料紙の風合いが変わるので注意したそうだ.軽めの荷重で乾燥させた.

「紗裂の修理」に関して:欠損部分があったがそれらしく修復したそうだ.

本紙を透過光でみた画像から左右の文字を削った後がはっきりわかった.右側の歌一種と左側の詞書を軸装のときに削ったらしい.

雪舟の「四季山水図」に関しては簡単に説明があった.

高野切,四季山水図を見る機会がいつかあるだろうか.是非見てみたいものだ.そのときはこの修復のことを思い出したい.

('05 3/19)

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February 27, 2005

源氏絵-華やかなる王朝の世界-(出光美術館)

02_26_2出光美術館の展示は欠かさずに見たいと思っている.今回の展示「源氏絵」も開催前から見に行こうと決めていたのだが,終了間際に行くことになった.それは,源氏物語を読んだことがないからだ.これを機会に現代語訳で読んでみようと思ったのだ.結果,読んだのは桐壺・帚木・空蝉・夕顔・若紫のみ.54帖中,たった5帖!つづきはおいおい読むとして,出光美術館で源氏絵を見てきた.

源氏絵は源氏物語を題材にした絵だ.たとえば「源氏物語図屏風」(土佐光吉)には桐壺から夢の浮橋までの54帖のそれぞれについて1場面,計54場面が描かれている.

やはり読んだことがある場面の絵が楽しめる.「帚木」では男たちが輪になって座っているが,読んでいればこれは女の話をしているところだとわかる.また「空蝉」では空蝉とその姪が囲碁を打っている場面が描かれているが,源氏はこの後・・・.

また,その帖にでてくるアイテムのみを描きその場面をあらわす蒔絵もあった.鳥カゴと雀は「若紫」.蕨の絵は「早蕨」だろう.

雪遊びをしている場面や,なにか演奏会をしているような場面もある.源氏物語は読んでおいたほうが楽しめそうだ.
('05 2/25)

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February 05, 2005

若冲と京の画家たち(静岡県立美術館)

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静岡県立美術館にいってきた.企画展は「若冲と京の画家たち」.

伊藤若冲だが,作品は8点展示されている.
まず,”升目描き”の作品が2点.「白象郡獣図」と「樹花鳥獣図屏風」だ.「白象郡獣図」はモノトーンな感じでカッコイイ.象の形も,猿の形も面白い.「樹花鳥獣図屏風」は右隻は動物尽くし,左隻は鳥尽くし.正面から見た象やブログペットのような兎,オシドリ,鷺などが気に入った.「樹花鳥獣図屏風」の升目はタイルのような立体感がある.対して「白象郡獣図」の升目はデジタル的なグリッドにみえる.濃淡の色の使い方が違う.この2点,特に「樹花鳥獣図屏風」は面白い.作品の前にソファが据えられているので,じっくりと眺めることが出来る.

「枯木鷲猿図」はクヌギの葉っぱが楽しい.葉っぱ一枚一枚の形や染みがみな異なる.葉っぱに個性がある.今回の展覧会には多くの作家の作品が展示されていたが,葉っぱ一枚一枚をこれほど個性的に描き分けている作家は他にいない.
「水墨游」には鳥や植物が墨絵で描かれている.この中の鶏は東京国立博物館で見た「松梅郡鶏図屏風」の鶏にそっくり.

若冲以外も楽しい作品が多い.丸山応挙の「竹雀図屏風」や「木賊兎図」もイイ.「木賊兎図」の兎のほっぺはふかふかだ.モグモグしているようにさえ見える.

「群鶴図屏風」は2作家の作品が並ぶ.応挙と石田幽汀.見比べると楽しい.石田幽汀の鶴は騒がしいが,応挙の鶴は静かだ. 

楽しい作品ばかりだったのだが,もう1点だけ書いておく.長澤芦雪の「鷲・熊図」. 熊の体のぬいぐるみの様なやわらかさと爪の硬さが見事だ.

―静岡県立美術館について―
静岡県立美術館にいくのは2回目だが(前回の感想はこちら),今回の企画展も満足できた.
企画展を観終わると,収蔵品展に続く.収蔵品展は「西洋の風景画」.油絵と版画作品が展示されている.

ちょうどギャラリートーク 「鑑賞講座プラス」が始まったところだったので,参加させていただいた.テーマは「西洋版画:主題と技法から迫る!」.
講師は学芸員の新田建史さん,福元清志さん.いわゆるギャラリートークなのだが,プラスがある.
収蔵品展の西洋版画をみながらエッチングについて解説&実演.タールを塗った銅板にニードルで線を描く.
主題については,風景画の発生に関して解説してくれた.もともと風景画というものはなかった.物語の背景としてのみ存在した.それが観光地などの写実になった.(浮世絵と同じだ!)そして独自の世界を描くようになった.
プラスの部分は実技だ.実習室に移り,版画の実演を見学.銅版を暖め油絵具を塗る.白い部分の油絵具を念入りにふき取る.白い空が難しいそうだ.西洋は乾燥しているので油絵具.水性だとすぐ乾燥してしまい,摺れない.1枚摺るのに10分もかかるので,多色摺りは普及しなかった.浮世絵は30秒から1分で摺ったらしい.

レストランでケーキセット.フルーツタルトがうまかった.
フルーツタルトには小さいフォークが添えられてくるが,タルトの基板は硬くてフォークでは切れないですよね.いつも悩むのですが,最近は手掴みでいってしまうこともあります.

(05' 2/5)

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January 18, 2005

平安朝貴族生活と白氏詩巻(東京国立博物館 月例講演会)

東京国立博物館の月例講演会にいってきた.テーマは「平安朝貴族生活と白氏詩巻」.「白氏詩巻」は現在国宝室に展示されている藤原行成の筆跡だ.

講師は展示課長の島谷弘幸氏.書が専門とのこと.会場は平成館大講堂.天気が悪かったので満席ではなかったが盛況だ.事前予約や整理券に関するアンケートを渡されたので,きっといつもは満員なのだろう.資料はA3用紙一枚.表が簡単なレジュメで裏には白氏詩巻全文とその書き下し文が印刷されている.

「白氏詩巻」は白楽天の「白氏文集」から藤原行成が8つの詩を書き写したものだ.平安時代には白楽天は人気があった.藤原公任の和漢朗詠集には804の和歌・漢詩が撰集されているが,うち135が白楽天の詩だ.

「白氏詩巻」に書かれた,8つの詩に関しては解説されなかったが,奥書については詳説された.

まず,行成の奥書.”長和”と書いて,その横に傍点を打っている.これはミセケチと呼ぶそうだ.字の上から墨で消すと汚いので,傍点を打って訂正をあらわす.行を改め,”寛仁二年”と書いている.そして「経師(表具職人)の筆を借りて書いたので,間違いがあっても笑わないでください.」とつづく.行成の性格がでていて面白いと語る島谷さんも楽しそうだ.

行成の書の後に紙を継いで藤原定信(行成から4代目)が奥書を足している.「保延六年10月22日の朝8時頃,物売りの女が蓬門より入って手本二巻(一巻は小野道風,一巻はこの本)を売りにきた.一目で価値がわかったので直ちにXXXXXX XXXXXX(←値段は消してある)を与えたら女は機嫌よく帰って行った.」署名の後に追記している.「件の女は経師の妻なり.」値段を消しているのも面白いし,売りにきた女が経師の妻というのも深い.行成が経師の家で筆を借りて書いたものが経師の家に伝わっていたのだろうか.想像が膨らむ.きっと定信もそんなことを考えたのだろう.

小野道風は野道風と書かれている.唐人風の苗字にするのがカッコイイことだったのだ.

「白氏詩巻」は初めは一行11文字だが,最後は一行6文字になっている.能書家は紙(場合によってはテキストも)を渡されて写書を依頼されるが,紙を余らせるのはよくないことだったそうだ.それで,後半は字が大きくなる.

島谷さんは書の鑑賞についても話された.「筆が立ってる」とか「筆が紙に食い込んでいく」とか.同じ字でも書き方を変えているとか.

いろいろ話があったが,あっという間の1時間半だった.その後は国宝室に直行して「白氏詩巻」を眺め倒した.
('05 1/15)

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January 02, 2005

博物館に初もうで(東京国立博物館)

01_02_0謹賀新年!
今年もよろしくお願いいたします.

東京国立博物館は新年1月2日から開館.ということで,「博物館に初もうで」に行ってきた.

和太鼓の演奏を聴いてから,本館へ.正面ホール・階段踊り場のいけばなが美しい.新年気分が高まる.

まずは2階の新春特別展示「酉・鳥・とり」. 今年の干支「酉」にちなんで,鶏や鳳凰をモチーフにした作品が特集されている.「松梅郡鶏図屏風」(伊藤若冲)は六曲一双の屏風で,デフォルメされた鶏がかわいい.丸くてやわらかい感じがイイ.「竹鶏図」(羅窓 南宋 13c)は目つきの悪い鶏がかわいい.フキゲンって感じだ.午前4時の鶏らしい.朝は機嫌が悪くてもしかたない. 鶏を意匠とした鍔・小柄・目貫も赤銅魚子地(ななこじ)に金細工の鶏がかわいかった.

国宝室には「白氏詩巻」(藤原行成).寛仁2年(1018),行成が47歳のときの筆跡.白居易の「白氏文集」を書写したもの.昨年の出光美術館の「書の名筆」展で藤原行成の升色紙をみている.升色紙は万葉仮名のちらし書きだったが「白氏詩巻」は漢字の行書だ.隣の部屋(平安~室町コーナー)には,藤原行成の「升色紙」,「大字和漢朗詠集切」があるので比較できる.「升色紙」はカッコイイ.墨の濃淡,文字の大小が遠近法のように奥行きを感じさせる.

1階に下りて,ぐるっと観て回った.やきもので「色絵寿字宝字尽鉢」が気に入った.サントリー美術館でみた「鍋島 寿字宝尽文八角皿」と同じモチーフだ.近代工芸の部屋では鍋島と七宝の作成過程を示す資料が展示されている.

そして,東洋館へ.

中国工芸の部屋では「油滴天目」・「禾目天目(のぎめてんもく)」がカッコイイ.「馬蝗斑」もここにあった.

東洋館の新春特集陳列は「吉祥 -歳寒三友を中心に-」.三友は松・竹・梅.これらを中心に,中国の吉祥図を特集している.美人図扇面が数点あったがよかった.作品ワールドに入り込める.

帰りがけに,新春イベントの「江戸売り声」(宮田章司氏)をきいた.楽しめた.

東京国立博物館は見所満載だ.一日では全部見ることができない.特集展示や興味のある展示を押さえつつ,ぐるっと観て回ったが楽しめました.
(新春特別展示は30日まで.)

ところで,東京国立博物館の門前には次期企画展「唐招提寺展」の看板が立てられていた.これも面白そうなのだが(きっと混雑するのだが),表慶館の特別展「踊るサテュロス」(2/19~3/13)が面白そうだ.1998年にシチリア島沖で漁師の網に掛かったブロンズ像の特別展示だ.「踊るサテュロス」はこのあと愛知万博のイタリア館で展示される.
('05 1/2)

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December 31, 2004

御長寿美術展(板橋区立美術館)

12_26_9変わった名前の展覧会に行ってきた.「御長寿美術展 日本美術に見る長寿と老い」.場所は板橋区立美術館.

作品は「長寿とめでたさ」と「長寿を生きる」の2室にテーマわけて展示されている.

第1室「長寿とめでたさ」
まず,能面.能「翁」の白式尉,「三番叟」の黒式尉.(能も見たことないので記述に間違いあるかもしれません.調べてないので.機会があれば来年は能も体験したい.) そして高砂.高砂は「長寿=めでたい」をあらわすときの定石らしい.熊手を持った尉と箒をもった姥が「相生の松」でめでたいらしい.高砂袱紗には箒と熊手のみ.これで高砂=長寿=めでたい をあらわしている.
浦島太郎の絵巻もあった.浦島は船で竜宮城へ.最後は浦島は鶴に,乙姫(竜宮の女房)は亀になってめでたしめでたし.万祝という大漁を祝う羽織にも浦島太郎の絵が描かれていた.この亀が怖い.こんな亀をいじめることはできないと思った.
七福神のあった.福禄寿は福星・禄星・寿星を擬人化したものだが頭の長い寿星を福禄寿と誤解したまま「七福神が結成されてしまった.」 カッコ内は会場のキャプションのまま.”結成”って,バンドかよ!七福神.この展示はキャプションも面白い.また,大きな字で書かれている.さすが御長寿を配慮してます.

第2室「長寿を生きる」
「老人六歌仙画賛」(仙崖),「田家茶話六老之図」(国芳)ともに同じ狂歌を賛としている.おもしろい.
「養生訓」(貝原益軒)文化4年(1807)刊はロングセラーだ.この手の本が当時はやったらしい.妻の病中に書いたそうだ.
「職人尽絵」はサントリー美術館蔵.作品ワールドに没入できる屏風だ.
「老いの坂」というのは熊野観心十界図の中の定型図案.坂を上って降りるまでに一生終わる.
「瑞亀之図」(北斎)などもあった.

老化とか介護とか言い出すと暗いイメージもあるが,御長寿と言えばめでたい気がしてきた.
100歳以上は無料の上に図録ももらえるので是非ご観覧ください.
(12/25)

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December 27, 2004

国芳・暁斎 なんでもこいッ展だィ!(東京ステーションギャラリー)

12_26_8『勇壮な武者絵をきっかけに、幕末の浮世絵界で大活躍した歌川国芳(1797-1861)。狩野派の号をもち、正統な画歴をもちながら、浮世絵、挿絵など幅広い分野で活躍した河鍋暁斎(1831-1889)の展覧会。(HPより)』

国芳の作品には江戸の空気が,暁斎の作品には明治の空気が感じられた.国芳は江戸時代に生きた.暁斎は江戸時代にうまれ明治期に活躍している.坂本竜馬(1835~1867)の生没年と比べると,国芳・暁斎が年表に収まる.

国芳は幕府によって役者絵が禁止されていた天保の改革期に役者をカエルとして描いた「蝦蟇手本ひやうきん蔵」や壁の落書きを装った「むだ書き」シリーズを作っている.また奢侈の罪によって江戸所払いとなった五代目市川海老蔵を出迎える八代目市川団十郎という作品もある.国芳の幕府に対する反骨精神がうかがえる.しかし,幕府が役者絵を禁じるというのはどんなものだろう?発泡酒に税金をかけるようなものか.(ちがうなあ.発泡酒は奢侈じゃないしなあ.)

暁斎には「枯木寒鴉図」がある.『明治十四年に開催された第二回内国勧業博覧会で妙技二等賞(このときの絵画での最高賞)を得た作品。暁斎が当時この作品に「百円」の値をつけたところ、会場係員が高価すぎると非難したが、暁斎は“鴉の値ではなく数十年間、絵のために大変な苦労を重ねてやっと学びえたものにたいする値だ。全国的な規模の展覧会なので買い手の有無に関わりなく値をつけた”という内容を答えたという。(HPより)』 内国勧業博覧会といえば国主催だ.明治維新によって開国したことにより,なにかが変わった,と思う.国芳は絵師(職人)だったが暁斎は芸術家になってきたのではないか.明治は万国博覧会の時代だ!役者絵が禁じられた時代とえらい違いだ.

最後の展示室が美人画だ.美人画で締めくくる心意気やよし!国芳の美人画はやっぱり江戸な感じがするのだが,暁斎の 「文読む美人図」,「地獄太夫と一休」などは近代日本画のような新しさを感じた.いい感じだ.

最後の展示室のキャプションには『(二人の)「違いがわかる」とか「共通性を探る」とか,「優劣を付ける」などという,小さな我々の目論見などは,二人の巨匠に撥ね除けられたに違いない』とあったので,まあ小さな男の感想を書いてみた.ほとんどの作品は理屈ぬきに楽しめるものだったが,風刺画などはキャプション要参照というところか.
(12/24)

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December 18, 2004

サントリー美術館名品展(サントリー美術館)

12_18_1現在公開中の「ゴジラ ファイナル ウォーズ」がゴジラ映画の最終作だそうだ.こちらも赤坂見附でのファイナル展覧会.「ありがとう赤坂見附 サントリー美術館名品展」(12/18~12/30)を見てきた.

『サントリー美術館は、今回の展覧会をもって赤坂見附での展観を終了し、2007年春には六本木(旧防衛庁跡地)に場所を移して新美術館を開館します。1961年に「生活の中の美」をテーマに東京・丸の内に開館したサントリー美術館は、1975年、現在の赤坂見附に移転しました。ゼロからスタートした館蔵品は、今では日本の古美術やガラスを中心に、国宝1点、重要文化財12点を含む約3000点に及び、展覧会は今回で303回目を数えます。今回の展覧会では、絵画・漆工・陶磁・染織・ガラスなどの多岐にわたる館蔵品から粋を集めた約80点を展示し、改めて「生活の中の美」という視点から見直しながら、赤坂見附での長年の活動を振り返りたいと思います。(HPより)』

主任学芸員さんの展示解説を聞いた.作品ごとの解説で展示の工夫などもよくわかった.2007年の新美術館でのオープニングも同様に名品展になるそうだ.(まず,自分の所蔵品を展示しないと他の美術館が安心して作品を貸してくれないそうだ.)以下,気に入った作品ごとに聞いたこと,思ったことを書いておく.

・舞踊図(江戸時代):着物の柄が美しい.手の表情などは簡単.6枚のパネルとして収蔵されているが,本来は屏風であったかもしれないので,屏風風の展示をしたそうだ.

・ひとよ茸ランプ(エミール・ガレ 1902年):堂々とした感じがイイ.3本あるのは成長の過程を現している.投票2位.

・藍色ちろり(江戸時代):ちろりは酒をそそぐ急須のようなもの.藍色一色のちろりはとても妖しく美しい.投票1位.

・色絵鶴香合(野々村仁清 江戸時代):「これを展示するのは怖い」と学芸員さん.首が細い.首からくちばしにかけての形もイイが,羽根の色も味わい深い.

・色絵五艘船文独楽形鉢(伊万里 江戸時代):色絵が美しい.南蛮貿易をしのばせる.人物の表情,船のデフォルメも面白い.

・浮線稜螺鈿蒔絵手箱(鎌倉時代 国宝):当時の社長,佐治敬三は「清水の舞台から飛び降りる」気持ちでこれを買い求めたとのこと.傷みがあるので時間をかけた修復が必要らしい.透かし彫りの螺鈿が美しい.見る角度によってはピンク色にも見える.金具もカチッとできていて鎌倉時代らしい.

・貝尽蒔絵螺鈿絵文箱(小川破笠 江戸時代):「超絶技巧.今でいう海洋堂です.」とのこと.鮑もイイが,ウニの骨やサザエの蓋に感動を覚えた.落款の印も浮き彫りだ.

・酒伝童子絵巻(狩野元信 室町時代 1522):酒伝童子が酒を飲んで正体を現した場面が展示されている.「いつもはこの後の首を切る場面を展示することが多いのですが,”ありがとう赤坂見附”ですので首を切る場面はやめました・・・」ということでした.酒伝童子の表情や体毛の感じ,まわりの女人のしぐさなど見飽きない.作品世界に入り込める.

・秋草蒔絵文箱(桃山時代):秋草が渋い.秋草は高台寺蒔絵の定番らしい.

・邸内遊楽図屏風(江戸時代):ここに行きたい!こういう店で飲みたいよう.これも作品世界に入り込める一品.
二組の屏風の前には蒔絵の膳・椀などが展示されていた.器が使われていたものということを味わって欲しいとのことだった.屏風絵のなかの器と見比べると興が尽きない.

・色絵壽字宝尽文八角皿(鍋島 江戸時代):イイ.色絵が味わい深い.鍋島だけに色絵・造形ともに完璧.描かれているアイテムがおもしろい.

・染付松樹文三脚皿(鍋島 江戸時代):マイベスト.完璧.いい色.完璧な形.脚もイイ.松の葉の広がりが美しい.染付けの発色も均一で隙がない.まるで画像が投影されているかのような滑らかな表面.

・日吉山王・祇園祭礼図屏風(室町時代):群集が精緻に描かれている.細部が楽しい.窓から見える室内や屋根の上の鶏など.ワールドに入り込むことができる.通常はガラスから離して展示するのだが,細部がよく見えるようにガラスに近づけて展示しているとのこと.ありがたし.

・薩摩切子紫色ちろり(江戸時代):藍色ちろりもいいが,これも美しい.

・薩摩切子藍色船形鉢(江戸時代):蝙蝠マークの鉢.バットマンボートだ.肉厚のガラス.縁の濡れたような艶やかさがイイ.これは,朝倉文夫の所蔵品だったもの.

・南蛮屏風(桃山時代):右隻は日本,左隻は異国.右隻で陸揚げされているものが面白い.鹿(?)の脚や景徳鎮風の磁器など.竈の様子.左隻では犬や中国風の衣装,人物の表情が面白い.

・茶道具では一群の蒔絵香合.蔦下絵新古今和歌色紙(光悦筆・宗達下絵 桃山時代)がよかった.

今回の展示では,奥のスペースの障子が開かれており,弁慶堀や首都高4号線,そのむこうに新宿のビルがみえる.窓からの景色を見ていると「ここもこれで最後だなあ」と自分が引越しをするような気分になった.


六本木の新しい美術館は隅研吾の設計になる建物に入る.天井が高くなるらしい.場所が変われば展示品の見え方もかわるだろう.また,2年間でぼくの作品を見る目も成長していてほしいと思う.2007年に六本木の新しい美術館で名品と再会するのが楽しみだ.同じ頃にはゴジラも復活しそうな予感が・・・

(今回は,2007年に読み返すために煩雑だが書きたいことは書いた.今回の展示にあわせて,所蔵品ベスト10を投票で決めるイベントがあり,その結果もパネルで紹介されていた.また展示も順位が考慮されている.1位の「藍色ちろり」は特等席に展示されていた.この順位付けだが,あまり興味が沸かなかったので記事中には載せていない.)
(12/18)

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December 12, 2004

水茎のあと-古筆名葉-(根津美術館)

12_12_1原宿駅から表参道の人込みを突き抜けて根津美術館へいった.企画展は「水茎のあと-古筆名葉-」.「水茎のあと」は筆跡・手紙をあらわす言葉で拾遺和歌集には「水茎のあともうるわし」とあるようだ.日本語はカッコイイなあ.

先月,出光美術館で「書の名筆 <三色紙>とちらし書き」を見た.ほとんど読めないうえに釈文をみても意味がわからないものが多かったのだが,筆先の動きを想像し平安王朝に思いを馳せるのが楽しかった.それに気を良くしての今回の観覧なのだ.

会場は空いていたので,一文字ごとに釈文と見比べて読んでいく.音声ガイドが音読してくれると便利だと思った.さらに和歌の意味が理解できると楽しいだろう.古典の基礎知識や万葉仮名を覚えて,気長に鑑賞力をつけていこうと思う.

三色紙のお三方(紀貫之,藤原行成,小野道風)の筆跡もあった.出光でも感じたのだが,同じ人物の筆跡といわれているものでもそれぞれずいぶんと印象がちがう.ちらし書きとしての美しさは出光の展示品が勝っているように感じた.

なんとなく注目は藤原公任.藤原公任は和漢朗詠集の選者だが,『和漢朗詠集』断簡の大田切は選者本人の筆跡だ.出光で見た公任の筆跡もいい紙に書かれていたが,今回展示されている公任もいい紙を使っている.

根津美術館は初めてだった.常設展の中の殷周時代の青銅器コレクションが見ごたえあった.今回は庭の散策をしなかったが次回はまわってみようと思う.
(次回の展示は「華やかなうつわたち -伊万里・柿右衛門・鍋島-」平成17年1月8日(土)~2月13日(日))
(12/11)

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December 04, 2004

書の名筆 <三色紙>とちらし書き(出光美術館)

書の名筆 <三色紙>とちらし書き を見てきた.場所は出光美術館.
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三色紙は「寸松庵色紙」(伝 紀貫之),「升色紙」(伝 藤原行成),「継色紙」(伝 小野道風)のことをあらわす.「ちらし書き」は文字を散らして配置する表現技法である.

かな書きの美を味わう趣旨の展示で,僕にはほとんど馴染みのない世界だった.今回の展示では展示されている書の”釈文”(どんな字が書かれているか)がキャプションされていたので全体のバランスを味わうだけでなく,1字づつ追っていくことができてよかった.

特に三色紙は何度も見返して個性みたいなものを読み取る努力をしてみた.

紀貫之は三十六歌仙の一人で,女にふりして「土佐日記」を書いたネカマの元祖だ.この人の字はシャープで美しい.配置は無為な感じだが,全体のバランスも妙にイイ.

藤原行成は清少納言の男友達(?)で枕草紙にも登場するらしいが,よく知らない.この人,筆に墨をあまり付け足さない.かすれても書ききる.潔い感じだ.字形は無為な印象だが,流麗でスピード感がある.配置も絶妙.ちらし書きらしい.

小野道風は花札の人だ.お札に肖像を残した人は多くいるが,花札といえばこの人.柳に蛙は11月だから季節も調度よかった.(かな?) この人のちらし書きは考えた配置をしているように思える.配置も美しいし,字形もカッコイイ.

今回は久しぶりに図録を買ってみた.展示されてる本物よりも見やすかったからだ.800年を経たちらし書きの墨蹟はかなりかすれており,その上,展示の照明は和紙でできた作品を保護するために弱めだった.

鶴下絵三十六歌仙和歌巻(光悦),伊勢物語色紙(宗達),萩・雪図(乾山)などもあるので琳派好きにもオススメです.

最後に波田陽区風に.
三色紙~ 三色紙~ 三色紙っていうじゃな~い.
でも,ぜんぶ”伝”ですから.残念! 高野切!
拙者,万葉仮名も読めません.切腹!
(11/23)

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October 24, 2004

浄瑠璃本と江戸文化(大倉集古館)

浄瑠璃本は人形浄瑠璃(=文楽)の台本をさす.人形浄瑠璃なんか見たことないし,どんなものかも知らないが,見てきました.(興味もあるかどうか・・・)
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浄瑠璃本はよくわかりませんでした.文字も読みにくいし.でも江戸文化の香りは嗅いだような気がしないでもない.

江戸期の絵画も展示されていたが,こちらはわかりやすい.「扇面流図」(宗達派)はなかなかきれいだ.近くで見ると色のはげが気になる.源氏物語の絵も貼られている.源氏物語は必須教養らしい.2階にも別の扇面屏風があった.

「百鬼夜行図」は原在中の屏風と,作者不明の巻物があった.これは楽しい.妖怪の絵だ.京都の大徳寺真珠庵の「百鬼夜行図」(土佐光信 室町時代)が有名(オリジナル?)らしいが,摸本などがいろいろあるらしい.

展示品では原在中の屏風のほうが面白かった.解説に妖怪の名前が出ている.

琴の妖怪は”琴古主(ことふるぬし)”さん.琵琶は”琵琶牧々(びわぼうぼう)”さん.沓を頭にのせたふさふさしたお方は”沓頬(くつつら)”さんというらしい.

”鳴釜(なりがま)”さんは両手に笹をもった後姿がかわいい.この屏風はまた見たい.

(10/24)

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October 23, 2004

永青文庫の国宝(永青文庫)

永青文庫の秋季展,「永青文庫の国宝」をみた.
永青文庫は目白台の細川家の屋敷跡にあり,同家に伝わる美術品などを保存・公開している.
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永青文庫が所蔵する国宝は8点.そのうち7点が展示されていた.7点の内容は刀剣が4点(鎌倉),鞍(鎌倉),銅鏡(中国・戦国),銅盤(中国・漢)となっている.国宝以外にも刀剣,鎧,鍔,など武家(細川家)アイテム目白押し.武家好き,鎌倉時代好きにはたまらない内容だ.

ぼくは刀剣に関しても予備知識のない素人なのだが,刀剣の歴史や製法も調べてみたくなった.

国宝の銅鏡(金銀錯狩猟文鏡)は金銀の象嵌でトラと剣で戦う騎乗の武人が描かれている.象嵌の精密感がイイ!

かわったものでは,江戸時代の天球儀があった.渋川春海・津田友正作.(似たものは科博で見たと思う.)

織田信長の自筆書状もあった.へろへろっとかかれている.

能面(般若)は伝般若坊作.般若坊がつくった「女の嫉妬顔」の面が有名になり,般若の面と呼ばれるようになったらしい.ここにあるのは般若の面のオリジナルだ.(伝だけど.)

以上,いろいろ書いたがすべて3階に展示されている.

2階には,2室.1室は小部屋で中国陶器・傭など.そして大きな部屋に菱田春草が2点.「落葉」(左隻).「黒き猫」.

展示室がいい.そもそもこの建物がいい感じだ.古い学校,その薄暗い音楽室に菱田春草の作品が展示されている.という感じなのだ.3階の展示も大学の研究室という感じだったが,2階はもっといい.江戸川乱歩っぽい感じだ.(表現力ないなあ・・・)

「永青文庫の国宝」は~11/21迄.冬季展は「中国の仏像」(12/7~3/5).

微妙にアクセスが悪いが,その分,隠れ家的博物館って感じでオススメです.(内容的にも!)
(10/23)

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October 18, 2004

菜蟲譜(葛生町立吉澤記念美術館)

 伊藤若冲の「菜蟲譜」を見てきた.栃木県の葛生町立吉澤記念美術館だ.「まろ茶 ひとひら」の原画である.
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 「画家たちの宴」と題された所蔵企画展をやっているが,特別展示として菜蟲譜の前半部分が公開されている.(前半部分(10/16~11/14)と後半部分(11/16~12/5)に分けて公開される.)前半部分は”菜”の部分です.

 原画はいい.慈姑の青.みかんの実,ざくろの実の輝き.ブドウの葉の葉脈・シミ.とうもろこしのヒゲ.カッコイイ.(とうもろこしの実,ゆり根は色が剥がれそうで心配.)ちょうど真ん中のキノコのパートまでが展示されていた.筆づかいが丁寧でいい.また,光沢のある絵の具,淡い色の絵の具をうまく使い分けている.細部が丁寧な作品は見飽きない.「まろ茶 ひとひら」の原画部分,やまももと干し柿もあった.後半部分(蟲)も見たい!ショップでは「まろ茶」も販売されている.

 所蔵企画展は栃木生れの画家,高久靄厓(あいがい)(1796~1843)の作品と葛生に暮らした吉澤松堂(1796~1866)の作品,書簡,当時の画壇にまつわる資料などが展示されている.展示は1室.小さな展示だ.(美術館自体,小さい.板谷波山の展示のある部屋,企画展の部屋,菜蟲譜の部屋の3室.)「過眼録」が面白かった.過眼録は眼にした書画を記録したものだ.新書版ほどの手帳に絵画を模写している.賛や落款まで筆でさらっとかいてある.また,「神社仏閣書画名器虫干し都乃日並」というのがあった.江戸時代の特別展示ガイドブックだ.江戸時代の美術好きはこういうガイドを持って京の町を回ったのだろう.ほかにも江戸時代の文人の生活をうかがわせる書簡などがあって面白かった.高久靄厓の「趙左筆雪中山水図模本」は落款も写している.原画は静嘉堂文庫にあるそうだ.
(10/17)

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September 26, 2004

古代中国の文字と至宝(サントリー美術館)

 古代中国の文字と至宝 初公開≪馬王堆と走馬楼≫出土品 をサントリー美術館で観てきた.09_26_0.JPEG
 馬王堆は1972年に発掘された.女性のミイラとともに多くの副葬品が発掘された.馬王堆出土品としては帛(=絹)書,木簡,印,漆器,織物などが展示されている.前漢時代(2200年以上前!)のものだ.走馬楼は1996年に古井戸から発掘された三国時代(1700年前)の木簡が展示されている.馬王堆・走馬楼ともに湖南省長沙市にある.展示のみどころは古代中国文字の美しさであるらしい.残念ながら書に関しての基礎知識はない.とりあえず,面白そうなので見にいった.

 会場に入ると,順路最初は銅印,封泥,石印などがならぶ.最初の銅印は戦国時代のものらしいが,かっこよかった.文字は楚の公用体というらしい.最初の展示品がかっこよかったので安心した.封泥は泥で封印したものに印を押したもの.そして,副葬品として随葬した印が並ぶ.漢時代には官印は返上したので副葬品は模造品だったらしい.官印には県名などが彫られているが,副葬品の彫りは荒く,文字が反転されていないものもある.馬王堆の埋葬者,利蒼の玉印もあった.これもかっこいい.亀の乗った金印が二つあったがこれもいい感じだ.字の形が美しい.

 中国の文字だが,篆書→大篆・小篆→隷書→草書→行書・楷書と変化してきたらしい.今回の展示では篆書,隷書がメインだが,草書の木簡が1本だけある.走馬楼から発見された14万本のうちのこの一本だけが草書体だった.

 面白かったものを書いておく.竹簡は幅5mm程度の竹に細かい文字が筆書されている.目が悪くなるのではないかと思うような細かさだ.内容は副葬品の内容であったり,料理のレシピであったり.「合陰陽」は性交法について書かれている.”振動”とか”尻”という字が読み取れる.内容が気になるところだ.
 木牌は荷札だ.鹿肉・兎肉の塩漬け・クワイ・すずめの炒め物などと書かれているらしい.この字がいい感じだ.よだれが出てくる.(木牌の絵葉書買いました!兎肉の塩漬けと藍染の布の荷札!)
 展示のメインは照明を暗くしている馬王堆の帛書だ.隷書で書かれている.占いや医療に関する内容らしい.これも細かい字だが丁寧に書かれている.
 漆器や人形,織物も2000年以上前のものとは思えない保存状態だ.

 中国の文字はおもしろい.なんとなく読める文字もあるし.
 (日本のかな書きも読めればおもしろそうなのだが・・・)
(9/26)

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September 23, 2004

かっぱの世界 清水崑 漫画展(江戸東京博物館)

 両国の江戸東京博物館に行った.「エルミタージュ展」は会場に入るのに10分待ち.入ると中は狭く,人であふれていた.ロシアの歴史に詳しい人ならともかく,普通の人は解説を読まなければ(または音声ガイドで聞かなければ)なにがなんやらさっぱり判りません.よって,解説を読む人も多く,なかなか進まない.あまりの混雑に観る気をなくし,適当に眺めて出てしまった.エルミタージュはフランス語のermitage(隠者の庵)に由来するそうだが,会場は人込みのとんでもない状態でした.

 常設展も繁盛していたが,会場が広いのでゆっくり観ることができた.5階・6階が吹きぬけになっており,江戸や昔の東京の町並み,風俗などが展示・再現されている.なかなか楽しい.写真OKの場所には案内があり,みんな記念撮影していた.
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 企画展「かっぱの世界 清水 崑 漫画展」は初日だった.清水 崑先生のご子息が寄贈した原画や資料が展示されていた.清水 崑が活躍していたのは,ぼくが生まれる前だが,黄桜の河童のキャラクターを作ったことは知っている.(今は「ヒゲとボイン」の作者,小島功が描いている.) 清水 崑の漫画は小学館漫画文庫の「かっぱ天国」を読んだだけだ. 実は,あまり絵の上手な人じゃないなぁと思っていたのだが.大間違いでした.すみません.漫画の原稿も味わい深いが,とくにカラーの原稿はいい感じだ.そして,似顔絵がうまい.「椿三十郎」「蜘蛛巣城」の似顔絵,マジ欲しい.風刺画もいい.懐かしい昭和の匂いがする.企画展ではもったいない.小さいコーナーでもいいので月替わりで原稿が見られるようにして欲しい.江戸東京博物館にぴったりの収蔵物だと思う.


(9/23)

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July 18, 2004

蒐集家・出光佐三のこころ(出光美術館)

「これが本物なら,いくらでももってこい.」 「絵唐津丸十文茶碗」を手にした出光佐三(当時54歳)は言ったそうな.これをきっかけに唐津焼が集まる.

『今から100年前、出光美術館創設者・出光佐三がまだ19歳の学生であった頃、当時それほど知られていなかった仙崖(←ガイは上の山がない字)の「指月布袋」の軸に目を留め、父に頼んで手に入れたのが出光コレクション形成の第一歩となりました。それ以降、古唐津、田能村竹田にはじまり、中国陶磁や青銅器、小杉放菴、板谷波山、さらにはルオーやサム・フランシスの作品へと蒐集は広がって、現在のコレクションの核となる逸品が集まっていったのです。』(出光美術館HPから)

7/17 出光コレクション誕生100周年「蒐集家・出光佐三のこころ」(出光美術館)を見てきた.仙崖・唐津・手鑑(奈良・平安がバンバンある.)など蒐集品には禅味があふれるが,蒐集に対する姿勢は精神世界の悟りを求める禅とは程遠く,物欲に徹底している.まさにコレクター.金に糸目は付けずって感じ.「私の好きなものは,こつこつと買っては倉庫にいれて,積み重ねておいた」結果,仙崖・唐津のいいものは全部集めたらしい.また集めたものも,出光コレクションの宝ではなく,日本人の宝である,と大切にしたらしい.出光美術館自体,蒐集品を散逸させないために作った.出光佐三カッコイイぞ.

仙崖は味があって面白い.当時は禅僧の伝記などがあって出光佐三もよく読んだそうだ.仙崖の軸にあるエピソードなどもわかると面白そうだ.出光が19歳のときに最初に求めた「指月布袋」にも「を月様幾ツ 十三七ツ」と書かれているが,なんのことやら.ほかの軸も仏教・禅のエピソードを基にしているらしい.面白そうなので「仙崖カレンダー」予約してきた.

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