September 04, 2006

美術のなかの「写(うつし)」(三井記念美術館)

三井記念美術館で開催していた『美術のなかの「写(うつし)」展』にいってきた.
たまたま最終日の閉館間際であったが,見ておいてよかった.
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応挙の「雪松図屏風」(国宝)はイイ感じだ.これを写した応陽の「雪松図屏風」と隣り合わせに展示されていた.

茶道具は正直良くわからないのだが,絵の写しよりは陶磁器の写しのほうが自由な印象をうけた.
能面は面白いのだが,ガラスの映り込みが気になる.

さて,今回見たかったのは,高瀬好山の自在昆虫置物と安藤緑山の染象牙置物.

安藤緑山の染象牙置物は”貝尽くし”と果物数点.リアリズムを追求した置物だ.こういう作品は人に頼まれて作れるものではない.

高瀬好山の自在昆虫置物は,一昨年,静岡で見ている.今回も堪能させてもらった.
自在昆虫置物は細部にわたって写実的でとてもリアルだが,高瀬好山は本物と見まごうものを作ろうとはしていない.ハイクオリティな玩具だ.可動部のデフォルメがイイ感じだ.それと色・質感.

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June 23, 2006

ウィリアム・モリス展(群馬県立館林美術館)

群馬県立館林美術館で開催していたウィリアム・モリス展にいってきた.6月10日のことだから,2週間前のことである.

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ウィリアム・モリスと聞いて思い出すのは,印刷博物館でみた三大美書のひとつ「チョーサー著作集」(ケルムスコット・プレス刊)だ.(拙ブログの記事

ケルムスコット・プレスはウィリアム・モリスが作った印刷所で,ここで出版した本の活字・装飾はウィリアム・モリスがこだわりぬいたものだ.

ウィリアム・モリス(1834-1896)はイギリスのデザイナーであり起業家であった.画家を目指したが,うまくいかず,デザイナーになったようだ.壁紙やカーテンなどの室内装飾のデザインを手がけ,その商品を売るモリス商会を起こした.モリスのデザインした壁紙やカーテンなどは,今でも人気があるそうだ.

機械による大量生産を良しとせず職人の技に敬意を表す姿勢は,柳宗悦の民藝の思想と共通のものを感じる.

展示は,壁紙や内装用のファブリック,モリスがデザインを手がけたステンドグラスの写真など.ステンドグラスの写真は暗い部屋に展示され,裏から照明されていた.なかなかイイ感じだった.

ケルムスコット・プレスの本も多数展示してあったが,これは併設された特集展示「ロセッティとバーン=ジョーンズ」の中に.ロセッティとバーン=ジョーンズはケルムスコット・プレスの本の挿絵を手がけている.

「チョーサー著作集」もあった.印刷博物館の所蔵品ではなかった.(状態も印刷博物館のものほどよくない.)4百数十冊しかない本が何冊も日本にあることが驚きだ.

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April 02, 2006

花より工芸(東京国立近代美術館工芸館)

最近,blogはほったらかしで,更新していなかった.4月になったのでリスタートのつもりで更新していこうと思う.けど,いつまで続くかわかりません.

前回は東京理科大学近代科学資料館について記事を書き,次回はここで見た微分解析機について記事にすると書いた.しかし資料があまりなく,実物ももう一度(以上)見る必要があるので,微分解析機およびアナログコンピュータについてはいずれまとめようと思っている.

さて,東京近代美術館工芸館にいってきた.企画展は「花より工芸」.2001~2005年の新収蔵作品を中心とした展覧会となっている.
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チラシにでている人形は吉田良の「すぐり」という作品だ.見逃しやすいのだが,工芸館には無料の解説カードがおいてある.写真もすばらしい素敵なカードだ.この作品の解説カードをみると,『妖気とも魔性ともいいうる、きわめて抽象的なエロティシズムをただよわせた独特の作風・・・』と解説されている.

たしかに,ぼくもグッとくるものを感じた.それはエロティシズムかもしれない.しかしそれほど単純に性的な作品というわけではない.解説カードの”抽象的なエロティシズム”という表現はうまいなあと思う.

ぼくはこの人形が着ている着物の古着のような感じが,抽象的なエロティシズムを漂わせるのに一役買っていると思う.見る人の嗅覚のスイッチが入るような,湿った感じがあるのだ.

この人形「すぐり」は床の高さに展示されている.この展示の高さもイイ.展示台に載るといかにも作品という感じだが,「すぐり」はそこに居るという感じだ.「すぐり」の目の高さで鑑賞したい.

「すぐり」の隣には対照的な作品がある.四谷シモンの「解剖学の少年」.この人形は少年が人形にされてしまったような切ない雰囲気の人形だ.またハンス・ベルメールの球体関節人形の写真や平田郷陽の作品も展示されているので人形好きは存分に楽しむことができる.

人形以外にも陶磁器,ガラス,織物など広いジャンルの作品が展示されていた.

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October 16, 2005

ブラウン展(AXIS GALLERY)

「ブラウン展 -形を超えたデザイン」にいってきた.場所は六本木のAXIS GALLERY.

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最終日にやっといくことができた.間に合ってよかった.実はブラウン製品は大好きで,シェーバー,時計,電卓などを持っている.ディーター・ラムスの名前も知っていた.

ラムスの名前がでるとまず出てくる製品はレコードプレーヤーSK4(1956)だ.白い直方体のレコードプレーヤーは「白雪姫の棺」と呼ばれた.写真では見たことがあるが,実物は初めてみた.美しい.ラムスがブラウンに入社したのは1955年ということだから,入社後まもなくにデザインに参加したのだ.

マルチバンドラジオやテレビも実物をみるのは初めて.電子ブロックもあった.これは写真も見たことがなかった.

ブラウンの全てのデザインには一貫したものがある.これは生半可なことでは実現できないことだ.日本に,いや世界に,これほど一貫したデザインを持つ家電メーカーがほかにあるだろうか.(Appleは家電メーカーではないが近いかな.)

ラムスのデザインの10原則というのがあった.いくつか引用してみる.「良いデザインは、美的である」 「良いデザインは、誠実である」 「良いデザインは、できるだけ少なく」 などなど.柳宗悦の「民藝」の理念と共通する.

1965年に日本でブラウン展が開かれたそうだ.監修したのは柳宗理.柳宗理のことも良く知らないのだが,ブラウン製品に「用の美」を感じたのだと思う.

今回は久々に図録を買った.

ギャラリーと名のつくところにはあまり行かないのだが,ここは入り易く,また展示も良かった.(10/23)

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September 09, 2005

日本民藝館

日本民藝館にいってきた.

大原美術館の工芸館をみて,とても感動した.棟方志功を展示した倉がすばらしかった.民藝の展示はかくあるべしと感じた.普通の美術館の展示室にそのまま展示したのでは真価はわからないと感じた.そこで,まだ行ったことのない日本民藝館を見なくてはと思ったのだ.

民芸というのは「民衆的工芸品」のことで,柳宗悦・濱田庄司・河井寛次郎らの造語だそうだ.(日本民藝館では”同人”と表現していた.)柳宗悦は人々が日常使う無名の工芸家の手になる道具・用具に”用の美”があるとして「民芸運動」を起こした.民芸は「用の目的に誠実でなくてはならない」という.それは,すぐ壊れるようなものでもダメ,また商業主義的な量産品でもいけないそうだ.

日本民藝館は,民藝運動の創始者,柳宗悦を中心とする同志により企画され,大原孫三郎らの援助のもと1936年(昭和11年)10月に開館した.大原美術館の開館は1930年なので,日本民藝館があとに作られたことになる.

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さて,日本民藝館にいくのは今回が初めて.まず外観だが本館の白い壁は倉敷の大原美術館との接点を感じさせる.入り口は木製の引戸.すべり出しはやや重いがガラガラ開けて中にはいると,正面には階段がある.まるで古い旅館か病院のような印象を受けた.靴を脱いであがるのだが,下駄箱が無いのが粋でイイ.

受付で入館料を払うと,そこには無料で貸し出している団扇がおいてある.そこで初めて冷房が効いていないのに気がついた.むわっと暑いのもこの建物には似合っているように思う.

団扇をパタパタやりながら,2階から見てまわった.特別展は「琉球の美」.染物・織物は図柄も繊細で美しいが,麻でできた衣の薄さが涼しげでイイ感じだ.椀や扁壺は濱田庄司を思い出させるような作品だった.濱田や河井は沖縄で学んだそうなので,そのルーツにあたる作品だ.今回一番かっこいいなと思ったのは厨子甕だ.建物の形をした陶器や石器で骨壷として使うものだ.高さは70cm以上ある.重厚で美しい.

特別展の展示以外にも同人の作品として濱田や棟方の作品などが展示されている.また海外の手吹きガラスなどもコレクションされていた.陶磁器・ガラス器や衣などの展示はすばらしかったが,大原美術館の濱田の大皿の展示や,棟方を展示した倉ほどのインパクトはなかった.大原美術館の工芸館は大胆で素朴だったが,日本民藝館は繊細で粋な印象だ.

パンフレットには柳宗悦の「日本民藝館案内」の抜粋がある.

『陳列はそれ自身一つの作物となるやうに育てたいと思ふ。とかく美術館は冷たい静止的な陳列場に陥り易いのであるから、もっと親しく温かい場所にしたいといつも念じてゐる。』(パンフレットより引用)

日本民藝館は他の美術館とは違う種類の風格を持っている.日本民藝館が似合う男なりたいなあ.つぎは冬の寒い時期にいってみようか.

(9/3)

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July 31, 2005

模写・模造と日本美術(東京国立博物館)

この展覧会はちょっとすごかった.きっとまた行くだろう.

模写・模造の展覧会なのだが・・・

会場に入るといきなり,浄瑠璃寺の吉祥天像(模造)だ.こういうママが客を出迎える店は安くない.(しかし,この特別展は平常料金でご覧いただけます♪)

そして会場の仏像,すごいぞ!おい!

百済観音像(法隆寺),広目天(東大寺),月光菩薩(東大寺),などなど,さらに無著・世親像(興福寺)まで!
こんな豪華なメンバーが集まるなんて,なにかのチャリティーコンサートですか?(決して「ものまね王座決定戦」ではない!)

九面観音像(法隆寺)の模造は森川杜園によるもの.このディテールもすごい.

模写・模造というと”贋物”のイメージを持っていたが,目からウロコだ.

絵巻では,餓鬼草子や平治物語絵巻.写真や印刷よりも模写がいいなあ.

書では平家納経や本願寺本三十六人家集がすごいぞ.こんなの模写するか!できるのか!

日本画では,大観による牧谿,雪舟の模写がある.雪舟いいなあ.傷みがないし.

工芸品のレプリカも侮りがたし!

正倉院宝物のレプリカがすごいぞ.螺鈿細工のすばらしい琴やハープ,琵琶.まさに宝物!

そして,法隆寺金堂壁画と高松塚古墳壁画.模写をみると失われた現物の大切さがわかるなあ.

今日は「遣唐使と唐の美術」という企画展をみたあと,「模写・模造の日本美術」を見たのだが,遣唐使展ふっとんだな.(井真成さん,ごめんなさい.)

さらに,平成館と本館の間でおこなわれている「文化庁購入文化財展」!

「郡仙図」(曾我蕭白)! おい,なんでこんなところにあるんだよお~.通勤電車で有名人に出会ったような驚きだ. 「かりがね帖」なんかもある! グッジョブ,文化庁! オイラの所得税も「郡仙図」や「かりがね帖」の購入費になるなら納得だ.

9/11まで.またいくぞ!

ちょっと乱暴な記事になったな.(7/31)

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May 06, 2005

柳宗悦の民芸と巨匠たち展(埼玉県立近代美術館)

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 うらわ美術館から歩いて20分ほどで埼玉県立近代美術館にいける.きれいな公園のなかに美術館はある.GWだけあって公園には人が多いが,美術館はそうでもなかった.

 企画展は「柳宗悦の民芸と巨匠たち展」.

 民芸というのは「民衆的工芸品」のことで,柳宗悦・濱田庄司・河井寛次朗らの造語だそうだ.柳宗悦は人々が日常使う無名の工芸家の手になる道具・用具に”用の美”があるとして「民芸運動」を起こした.民芸は「用の目的に誠実でなくてはならない」という.それは,すぐ壊れるようなものでもダメ,また商業主義的な量産品でもいけないそうだ.

 柳宗悦(1889-1961)は志賀直哉・武者小路実篤らと「白樺」を発行する.この頃は西洋美術に傾倒し,ロダンの彫刻を手に入れて大喜びしていた.そして朝鮮の日用陶器に美を見出し,朝鮮民族美術館を開く.東洋の美に目を向けた柳は,木喰仏の調査をおこなう.また全国各地の日用雑器に用の美を発見し,民芸というジャンルをつくり,日本民藝館を開館.茶道や仏教にも傾倒した.研究者であり評論家,プロデューサーでもあったようだ.(赤瀬川源平とか,みうらじゅんに近いかも・・・)

 展示は,日本民藝館所蔵の民芸品と,柳と親交のあったリーチ・濱田・河井・富本の陶磁器や棟方志功らの作品が展示されていた.

 いくつかの作品には柳宗悦による解説文がキャプションされていたが,思い入れたっぷりでおもしろい.日本民藝館にも足を運んでみたくなる.


 -常設展-
 前回は常設展の印象が薄かったのだが,今回はおもしろかったのでメモしておく.

 モネ「積みわら」:この作品は海外の美術館の企画展に何度も貸し出している.その「貸し出し依頼書」や,貸し出す際に作品の状態を示す「状態調書」,そして絵の輸送に使う「梱包用の木箱」などを絵と一緒に展示している.おもしろい企画だ.この「積みわら」が展示された企画展の図録も閲覧できるようになっている. 

 藤田「横たわる裸婦と猫」:ブリヂストン美術館に同じ画題の作品が2点展示されている.好きな絵だ.

 伊東深水「宵」:赤い下着が浴衣に透けてる.透け方がほのかで解説を見るまで透けてるのに気が付かなかった.不覚!これはもうエロス認定だな.(☆☆☆☆★)

('05 5/5)

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April 26, 2005

国立国際美術館

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国立国際美術館は昨年11月に大阪・中ノ島に移転し開館したばかりの美術館だ.同じ中ノ島にある東洋陶磁美術館に行ったついでに行ってみた.企画展が「エミール・ガレ展」.東京での展示は見ていない.ちなみに次回展は「ゴッホ展」で,4月29日からは「シュテファン・バルケンホール:木の彫刻とレリーフ」という面白そうな現代アートの展示があるそうだ.

国立国際美術館の展示室は地下にある.B1が受付などで,B2・B3が展示室だ.展示室に下るエスカレータ横の壁には大きなミロの陶板画があった.「ガレ展」はB3だったが,途中,B2で「シュテファン・バルケンホール展」の準備をしていた.木箱を開梱して作品を出していた.おもしろそうな展示になりそうだ.

で,B3の「ガレ展」だが,結構たのしめた.ガラス器っていうのは実物がとにかく美しい.ライティングもよく,いい影を出していた.
(4/23)

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April 16, 2005

鎧(朝霞市博物館)

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「鎧-伊澤昭二コレクションとともに-」という展示を見てきた.小さな博物館の小さな企画展だ.

実は通勤途中でこの展示のポスターを目にした.カッコイイ鎧の写真のポスターをみて,この展示は見に行きたいと思っていたのだ.

室町から江戸幕末までの鎧や具足が展示されている.

東京国立博物館に展示されている鎧は特別なものばかりだが,ここでは一般的なものも観ることができた.東博の鎧は美術品って感じだが,ここの展示品には民具に近い印象のものが多い.

リアルな損傷もある.右の側頭部に弾痕のある兜は賎ヶ岳の戦いで柴田家の武将が着用したものだそうだ.弾痕は大きくへこんでいるが,貫通はしていないように見える.武将は無事だったのだろうか?
(4/16)

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ベルリンの至宝展(東京国立博物館)

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花見散歩のついでに見てきました.「ベルリンの至宝展」@東京国立博物館.

ベルリン国立博物館郡はシュプレー河の中州に作られた5つの博物館のことで,博物館島と呼ばれているらしい.歴史は古く,旧博物館が建てられたのは1830年だそうだ.

相変わらず,東博の企画展は混んでいたが,動線はシンプルで中国国宝展のような混雑はなかった.

エジプト美術,ギリシャ・ローマ美術に関心のある人は楽しめるのではないだろうか.ぼくがイイと思ったのは,ギリシャの黒像式陶器やローマ時代のコイン,エジプトの彫像など.ラファエロ,ボッティチェリも目玉の一つだろう.「聖なるもの」をテーマに厳選して紹介とチラシにはあるが,信仰・神話に関するキャプションが細かいのはそういうテーマがあった為かもしれないな.
(4/9)

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March 19, 2005

所蔵作品展(東京国立近代美術館工芸館)

03_19_0工芸館では所蔵作品展(3/8~4/17)がおこなわれている.「I 人間国宝の花」と「II 近代工芸の百年」の2部構成だ.

「人間国宝の花」は花を題材にした作品約25点が第1室と和室に展示されていた.平田郷陽の衣装人形「桜梅の少将」がカッコイイ.堀柳女の人形「供花」も味わい深い.人形も結構いいなあ.平田郷陽の名前は聞き覚えがあった.調べてみると今年の1月に群馬県立近代美術館で作品を見ていた.森口華弘の「友禅訪問着 映光」もすてきだった.

「近代工芸の百年」の展示品も多岐にわたる.陶磁器に蒔絵,染物,オブジェなど多数.竹細工の「手箱」はいい感じだった.バーナード・リーチの「ティーセット」と浜田庄司の「刷毛目汲出しセット」が並んで展示されていた.どちらもいい感じだ.浜田の汲出しは小ぶりだが,口が開いた形がきれいだ.オブジェでは家住利男の「P.050901」がカッコよかった.まるで植物プランクトンのようだ.上原美智子の織物もあった.上原美智子の作品は「非情のオブジェ展」で見たが,今回の作品もいい風合いだった.

「近代工芸案内」という冊子が発刊されたので,見本が会場の長いすに置いてあった.小さな冊子だが図版が多かったので買ってみた.近代工芸史が年代順に紹介されている.
('05 3/19)

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March 13, 2005

刀の極めどころ(五島美術館)

「刀の極めどころ」と題した五島美術館の館蔵名刀展をみてきた.

『刀剣は、時代や地域の特色が姿・刃文・地鉄からはっきり分けられ、無銘でも作者や制作地を推定することができる。館蔵の刀剣コレクションから約30振を選び展観し、無銘の刀剣を極める初歩として、そうした鑑定の仕組みの概要も明示する。(五島美術館HPより)』

刀ばかりを35振もみるのは当然初めてのことだ.平安から江戸まで時代順に展示されていた.備前のものが多い.

良し悪しはわからない,というか,みな良いものだ.好き嫌いもまだはっきりしないが,展示番号4「太刀 銘 恒光」がカッコイイとな思った.幅が広いので持ったら重いと思われる.刃文はあっさりしていて,地肌は細かい.反りは少ない(かな).

入館時に出品目録をくれるのだが,その裏に用語集がある.これにより刀と太刀(たち)の違いをはじめて知った.刀は刃を上,棟を下にして帯の間にさす.太刀は棟を上,刃を下に身に付け,これを「佩く」という.展示も刀は刃が上に,太刀は刃が下になっていた.

反りの大きさや位置,地肌の肌理,刃文の中の粒子(沸(にえ),匂(におい))が鑑賞のポイントらしい.地肌に関しては面白そうだ.また反りについても今後注目してみたい.

ぼくは高度技術に裏打ちされた工芸品として刀剣を観た.しかし刀は人体を切断したり,刺し通したりして人間を殺すための道具である.そう考えると,ちと怖くなる.
('05 3/11)

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February 12, 2005

椅子のデザイン(埼玉県立近代美術館)

02_11_1うらわ美術館でフルクサス展を観たあと埼玉県立近代美術館へ向かった.徒歩で20分.企画展は「椅子のデザイン-日本の<座>の誕生から未来へ」.

こういう工芸品の展示は大好きなのだが,今回の展示も予想以上に面白かった.

面白かったことなど,箇条書きにしていく.

1.鹿鳴館の椅子.美しい形だ.日本人が椅子に座るようになった時代.
2.絵画「椅子による女」(吉岡堅二 1931)と絵画の中の椅子「MR」(1927)の実物.
3.椅子の加工・組立.「バタフライ・スツール」(柳 宗理),「マッシュルームスツール」など.
4.実際に座れる椅子も多い.「丸椅子」(剣持 勇)など.
5.大阪万博のスライド上映.(ビデオではなくスライドだ!) 椅子に座って観ることができる.
6.アートな椅子.「ミス・ブランチ」(倉俣史朗)は薔薇の造花の入ったアクリルで出来ている.美しい.
7.アートな椅子.「XL」.でかい.座れる.「Room S」(奈良美智).入れる.
8.インスタレーション 「Honey-pop」(吉岡徳仁).紙の椅子.
9.いろいろあって,展示品のバランスがイイ!
10.公募部門! こどものデザインした椅子の絵を紹介.美術館賞の作品は実物を作成.優秀賞は模型を作成.すごく面白い.
11.美術館各所にある椅子が収蔵品!キャプションついてる.当然,座れる.
12.図録がイイ.椅子の収蔵品図録はファイルになっている.目次に小さい写真があるのもイイ.
13.企画展の図録は,収蔵品図録のファイルに挿めるようになっている!
14.ショップには椅子の模型などたくさん!
15.常設展の鑑賞券はカードになっていて,集めて組み立てることが出来る!
16.展示室外にも彫刻・絵画(そして椅子)がある.
17.館内・館外に野外展示もある.
18.ロッカーの37番は展示品だ!(解説カードが館内にある!)

埼玉県立近代美術館は椅子に力を入れているようだ.
今度行くときはレストランも利用してみたい.
('05 2/11)

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January 22, 2005

「日本のわざと美」展(群馬県立近代美術館)

01_22_0「この展覧会の最大の特色は、歴代すべての重要無形文化財保有者(いわゆる人間国宝)および保持団体の代表的作品と、工芸技術分野の選定保存技術の関係資料を、ひとつも欠くことなく一堂に展示することです。重要無形文化財保持者(72件のべ148人)の作品184点、重要無形文化財保持団体(14件、14団体)の作品23点、工程見本3件、選定保存技術21件の関係資料を紹介します。(チラシから引用)」

見応えのある展覧会だった.「ひとつも欠くことなく一堂に展示することです。」というのが重要だ.

展示は,陶芸,木竹工,金工,截金,染織,漆芸,人形,手漉和紙と多岐にわたる.

サブタイトルは―重要無形文化財とそれを支える人々―だが,まさにその通りの展示だった.重要無形文化財保持者が使う材料や道具も熟練を要する特殊な技術をもった人たちに支えられている.

着物・織物もきれいだった.が,それにかかわるものが重要で,またすばらしい技術であることを知った.”伊勢型紙”は染物の精巧な型紙だ.型紙を彫る技術が重要無形文化財となっている.また,”琉球藍製造”・”烏梅製造”はともに染料の製造技術だが選定保存技術だ.機織の器具も必要だ.”手機制作”・”筬(おさ)制作”・”杼(ひ)制作”も選定保存技術.(筬は機織の櫛状の器具.杼は左右に糸を送るボビン.)

日本刀もすばらしかった.日本刀も重要無形文化財だが,”刀剣研磨”も重要無形文化財.また,刀剣を作るための”玉鋼製造(たたら吹き)”も選定保存技術だ.

和紙や和紙を漉く道具,漆の生産や漆を塗る刷毛.芸術作品ではないが職人技はうつくしいと感じる.

美しい陶磁器,着物,人形や漆器,和紙,木工品.これらのものが作られなくなると悲しい.重要無形文化財保持者のキャプションには没年が記されているものも多かった.重要無形文化財保持者が増えていくことを願う.

先週なくなった”三彩”の加藤卓男氏の没年は手書きで記されていた.平成17年1月11日没.氏の三彩の釉薬はつるりと透きとおり美しかった.

今回はためらいなく図録をゲット.織物の質感は写真からは感じられないが,陶芸・日本刀などの写真はイイ感じ.重要無形文化財の解説などは会場のキャプション通りだが,読み応えがありそうだ.


―群馬県立近代美術館について―
群馬県立美術館は県立群馬の森公園内にある.大きな駐車場があるのでうれしい.美術館の前には大きな馬の彫刻.群馬だから馬なのでしょうね.

もうひとつの企画展「数寄者達[琳派以後の方法]」は閑散としていたがいい展示だった.小野田賢三の「Colors at the screen "W"2005」はひとつの展示室を使った展示.しかし部屋には入れない.明り取りの窓から眺める.参考展示の「鷺図」「萩図」(尾形光琳)がうれしい.
常設展も数は少ないが,企画展がメインなら,デザートにちょうどいい.

正午前に到着し2時すぎにレストランで食事をした.天気がよかったので窓からの眺めもきれいだった.ポークカレーはたまねぎが多い甘めな味付けだが美味かった.

美術館の隣は県立歴史博物館だ.時間はあったが天気がよかったので公園を散歩して帰った.今度来たときは歴史博物館にも立ち寄りたい.
('05 1/22)

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January 02, 2005

博物館に初もうで(東京国立博物館)

01_02_0謹賀新年!
今年もよろしくお願いいたします.

東京国立博物館は新年1月2日から開館.ということで,「博物館に初もうで」に行ってきた.

和太鼓の演奏を聴いてから,本館へ.正面ホール・階段踊り場のいけばなが美しい.新年気分が高まる.

まずは2階の新春特別展示「酉・鳥・とり」. 今年の干支「酉」にちなんで,鶏や鳳凰をモチーフにした作品が特集されている.「松梅郡鶏図屏風」(伊藤若冲)は六曲一双の屏風で,デフォルメされた鶏がかわいい.丸くてやわらかい感じがイイ.「竹鶏図」(羅窓 南宋 13c)は目つきの悪い鶏がかわいい.フキゲンって感じだ.午前4時の鶏らしい.朝は機嫌が悪くてもしかたない. 鶏を意匠とした鍔・小柄・目貫も赤銅魚子地(ななこじ)に金細工の鶏がかわいかった.

国宝室には「白氏詩巻」(藤原行成).寛仁2年(1018),行成が47歳のときの筆跡.白居易の「白氏文集」を書写したもの.昨年の出光美術館の「書の名筆」展で藤原行成の升色紙をみている.升色紙は万葉仮名のちらし書きだったが「白氏詩巻」は漢字の行書だ.隣の部屋(平安~室町コーナー)には,藤原行成の「升色紙」,「大字和漢朗詠集切」があるので比較できる.「升色紙」はカッコイイ.墨の濃淡,文字の大小が遠近法のように奥行きを感じさせる.

1階に下りて,ぐるっと観て回った.やきもので「色絵寿字宝字尽鉢」が気に入った.サントリー美術館でみた「鍋島 寿字宝尽文八角皿」と同じモチーフだ.近代工芸の部屋では鍋島と七宝の作成過程を示す資料が展示されている.

そして,東洋館へ.

中国工芸の部屋では「油滴天目」・「禾目天目(のぎめてんもく)」がカッコイイ.「馬蝗斑」もここにあった.

東洋館の新春特集陳列は「吉祥 -歳寒三友を中心に-」.三友は松・竹・梅.これらを中心に,中国の吉祥図を特集している.美人図扇面が数点あったがよかった.作品ワールドに入り込める.

帰りがけに,新春イベントの「江戸売り声」(宮田章司氏)をきいた.楽しめた.

東京国立博物館は見所満載だ.一日では全部見ることができない.特集展示や興味のある展示を押さえつつ,ぐるっと観て回ったが楽しめました.
(新春特別展示は30日まで.)

ところで,東京国立博物館の門前には次期企画展「唐招提寺展」の看板が立てられていた.これも面白そうなのだが(きっと混雑するのだが),表慶館の特別展「踊るサテュロス」(2/19~3/13)が面白そうだ.1998年にシチリア島沖で漁師の網に掛かったブロンズ像の特別展示だ.「踊るサテュロス」はこのあと愛知万博のイタリア館で展示される.
('05 1/2)

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December 18, 2004

サントリー美術館名品展(サントリー美術館)

12_18_1現在公開中の「ゴジラ ファイナル ウォーズ」がゴジラ映画の最終作だそうだ.こちらも赤坂見附でのファイナル展覧会.「ありがとう赤坂見附 サントリー美術館名品展」(12/18~12/30)を見てきた.

『サントリー美術館は、今回の展覧会をもって赤坂見附での展観を終了し、2007年春には六本木(旧防衛庁跡地)に場所を移して新美術館を開館します。1961年に「生活の中の美」をテーマに東京・丸の内に開館したサントリー美術館は、1975年、現在の赤坂見附に移転しました。ゼロからスタートした館蔵品は、今では日本の古美術やガラスを中心に、国宝1点、重要文化財12点を含む約3000点に及び、展覧会は今回で303回目を数えます。今回の展覧会では、絵画・漆工・陶磁・染織・ガラスなどの多岐にわたる館蔵品から粋を集めた約80点を展示し、改めて「生活の中の美」という視点から見直しながら、赤坂見附での長年の活動を振り返りたいと思います。(HPより)』

主任学芸員さんの展示解説を聞いた.作品ごとの解説で展示の工夫などもよくわかった.2007年の新美術館でのオープニングも同様に名品展になるそうだ.(まず,自分の所蔵品を展示しないと他の美術館が安心して作品を貸してくれないそうだ.)以下,気に入った作品ごとに聞いたこと,思ったことを書いておく.

・舞踊図(江戸時代):着物の柄が美しい.手の表情などは簡単.6枚のパネルとして収蔵されているが,本来は屏風であったかもしれないので,屏風風の展示をしたそうだ.

・ひとよ茸ランプ(エミール・ガレ 1902年):堂々とした感じがイイ.3本あるのは成長の過程を現している.投票2位.

・藍色ちろり(江戸時代):ちろりは酒をそそぐ急須のようなもの.藍色一色のちろりはとても妖しく美しい.投票1位.

・色絵鶴香合(野々村仁清 江戸時代):「これを展示するのは怖い」と学芸員さん.首が細い.首からくちばしにかけての形もイイが,羽根の色も味わい深い.

・色絵五艘船文独楽形鉢(伊万里 江戸時代):色絵が美しい.南蛮貿易をしのばせる.人物の表情,船のデフォルメも面白い.

・浮線稜螺鈿蒔絵手箱(鎌倉時代 国宝):当時の社長,佐治敬三は「清水の舞台から飛び降りる」気持ちでこれを買い求めたとのこと.傷みがあるので時間をかけた修復が必要らしい.透かし彫りの螺鈿が美しい.見る角度によってはピンク色にも見える.金具もカチッとできていて鎌倉時代らしい.

・貝尽蒔絵螺鈿絵文箱(小川破笠 江戸時代):「超絶技巧.今でいう海洋堂です.」とのこと.鮑もイイが,ウニの骨やサザエの蓋に感動を覚えた.落款の印も浮き彫りだ.

・酒伝童子絵巻(狩野元信 室町時代 1522):酒伝童子が酒を飲んで正体を現した場面が展示されている.「いつもはこの後の首を切る場面を展示することが多いのですが,”ありがとう赤坂見附”ですので首を切る場面はやめました・・・」ということでした.酒伝童子の表情や体毛の感じ,まわりの女人のしぐさなど見飽きない.作品世界に入り込める.

・秋草蒔絵文箱(桃山時代):秋草が渋い.秋草は高台寺蒔絵の定番らしい.

・邸内遊楽図屏風(江戸時代):ここに行きたい!こういう店で飲みたいよう.これも作品世界に入り込める一品.
二組の屏風の前には蒔絵の膳・椀などが展示されていた.器が使われていたものということを味わって欲しいとのことだった.屏風絵のなかの器と見比べると興が尽きない.

・色絵壽字宝尽文八角皿(鍋島 江戸時代):イイ.色絵が味わい深い.鍋島だけに色絵・造形ともに完璧.描かれているアイテムがおもしろい.

・染付松樹文三脚皿(鍋島 江戸時代):マイベスト.完璧.いい色.完璧な形.脚もイイ.松の葉の広がりが美しい.染付けの発色も均一で隙がない.まるで画像が投影されているかのような滑らかな表面.

・日吉山王・祇園祭礼図屏風(室町時代):群集が精緻に描かれている.細部が楽しい.窓から見える室内や屋根の上の鶏など.ワールドに入り込むことができる.通常はガラスから離して展示するのだが,細部がよく見えるようにガラスに近づけて展示しているとのこと.ありがたし.

・薩摩切子紫色ちろり(江戸時代):藍色ちろりもいいが,これも美しい.

・薩摩切子藍色船形鉢(江戸時代):蝙蝠マークの鉢.バットマンボートだ.肉厚のガラス.縁の濡れたような艶やかさがイイ.これは,朝倉文夫の所蔵品だったもの.

・南蛮屏風(桃山時代):右隻は日本,左隻は異国.右隻で陸揚げされているものが面白い.鹿(?)の脚や景徳鎮風の磁器など.竈の様子.左隻では犬や中国風の衣装,人物の表情が面白い.

・茶道具では一群の蒔絵香合.蔦下絵新古今和歌色紙(光悦筆・宗達下絵 桃山時代)がよかった.

今回の展示では,奥のスペースの障子が開かれており,弁慶堀や首都高4号線,そのむこうに新宿のビルがみえる.窓からの景色を見ていると「ここもこれで最後だなあ」と自分が引越しをするような気分になった.


六本木の新しい美術館は隅研吾の設計になる建物に入る.天井が高くなるらしい.場所が変われば展示品の見え方もかわるだろう.また,2年間でぼくの作品を見る目も成長していてほしいと思う.2007年に六本木の新しい美術館で名品と再会するのが楽しみだ.同じ頃にはゴジラも復活しそうな予感が・・・

(今回は,2007年に読み返すために煩雑だが書きたいことは書いた.今回の展示にあわせて,所蔵品ベスト10を投票で決めるイベントがあり,その結果もパネルで紹介されていた.また展示も順位が考慮されている.1位の「藍色ちろり」は特等席に展示されていた.この順位付けだが,あまり興味が沸かなかったので記事中には載せていない.)
(12/18)

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October 23, 2004

永青文庫の国宝(永青文庫)

永青文庫の秋季展,「永青文庫の国宝」をみた.
永青文庫は目白台の細川家の屋敷跡にあり,同家に伝わる美術品などを保存・公開している.
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永青文庫が所蔵する国宝は8点.そのうち7点が展示されていた.7点の内容は刀剣が4点(鎌倉),鞍(鎌倉),銅鏡(中国・戦国),銅盤(中国・漢)となっている.国宝以外にも刀剣,鎧,鍔,など武家(細川家)アイテム目白押し.武家好き,鎌倉時代好きにはたまらない内容だ.

ぼくは刀剣に関しても予備知識のない素人なのだが,刀剣の歴史や製法も調べてみたくなった.

国宝の銅鏡(金銀錯狩猟文鏡)は金銀の象嵌でトラと剣で戦う騎乗の武人が描かれている.象嵌の精密感がイイ!

かわったものでは,江戸時代の天球儀があった.渋川春海・津田友正作.(似たものは科博で見たと思う.)

織田信長の自筆書状もあった.へろへろっとかかれている.

能面(般若)は伝般若坊作.般若坊がつくった「女の嫉妬顔」の面が有名になり,般若の面と呼ばれるようになったらしい.ここにあるのは般若の面のオリジナルだ.(伝だけど.)

以上,いろいろ書いたがすべて3階に展示されている.

2階には,2室.1室は小部屋で中国陶器・傭など.そして大きな部屋に菱田春草が2点.「落葉」(左隻).「黒き猫」.

展示室がいい.そもそもこの建物がいい感じだ.古い学校,その薄暗い音楽室に菱田春草の作品が展示されている.という感じなのだ.3階の展示も大学の研究室という感じだったが,2階はもっといい.江戸川乱歩っぽい感じだ.(表現力ないなあ・・・)

「永青文庫の国宝」は~11/21迄.冬季展は「中国の仏像」(12/7~3/5).

微妙にアクセスが悪いが,その分,隠れ家的博物館って感じでオススメです.(内容的にも!)
(10/23)

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October 13, 2004

非情のオブジェ 現代工芸の11人(東京国立近代美術館工芸館)

 非情のオブジェと題された,11人の現代工芸家の作品展を観て来た.場所は東京国立近代美術館工芸館.
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 ”非情”の意味がわかりにくい.チラシにはこうある.「いずれもすっきりとしていて軽く、そしてどこかプラスティックな印象をもたらします。(中略)かつての前衛的なオブジェ制作のうちに展開された詩情や隠喩、苦闘の影のようなものはほとんどみられません。」 この説明もよくわからないが,実際は「同じテーマの作品をたくさんつくっている現代工芸家の作品展」であった.(と思う.)

 半券にでてるガラス器はダンテ・マリオーニの作品で,最初の部屋にドーンと3本置かれている.カッコイイ.同じ部屋には築城則子の小倉織の木綿帯があるが,この取り合わせ,展示はいい感じだった.
 次の部屋では高橋禎彦の「花のような」というガラス器がカラフルできれいだった.雑貨店においてありそうな感じなのだが,数が多いと威力がある.
 3室では高見澤英子のガラス器がきれいだった.柄の長いグラスに植物を模したガラス(オーナメントというらしい)をつけた一連の作品. 同じ部屋の上原美智子の「あけずば織」(”あけずば”はトンボの羽の琉球古語)もきれいだった.細工が細かい.触ってみたいところだ. 
 4室ではボディル・マンツの「シリンダー」という磁器鋳込みの作品群がいい感じ.薄い白磁の器を鋳造でつくり,顔料のシートを貼って焼き付けるらしい.これも数が多いのがいい.バリエーションがいい.

 途中の休憩室ではガラス工芸のビデオを流していた.ダンテ・マリオーニもでている.ガラス工芸がどんな感じかよくわかる.

 工芸館には人間国宝・巨匠コーナーがある.森口華弘の「訪問着 薫秋」がかっこいい.(着てみたい!)
 このコーナーには展示にあわせた無料の解説カードがある.(うれしい!)
(10/11)

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October 11, 2004

〈彫刻〉と〈工芸〉 (静岡県立美術館)

 静岡県立美術館で”〈彫刻〉と〈工芸〉 近代日本の技と美” という企画展を観てきた.
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 「まろ茶 ひとひら」のボトルの伊藤若冲に感動し,伊藤若冲を調べていたら,静岡県立美術館のHPにぶつかった.若冲の絵は.現在公開されていないが,企画展が面白そうなので行ってきた.

 お目当ては「自在置物」.先日,東京国立博物館の「万国博覧会の美術 展」で鷹や海老,龍,蟷螂の自在置物に感動し,すっかり自在置物が好きになったのだ.自在置物は,金属製のリアルアクションフィギュアだ.江戸時代になって,仕事のなくなった甲冑師がつくったそうだ.

 今回,静岡県立美術館で見た自在置物も感動的だった.カマキリ・ショウリョウバッタ・トノサマバッタ・キリギリス・アゲハチョウ・カミキリムシ・トンボ2種・セミ・スズメバチ・クワガタ・カブトムシの12種類.高瀬好山の作で三井文庫蔵.明治から昭和初期の作品らしい.バッタの羽の佇まいが美しい.カミキリムシの可動触覚がすごい.そして,スズメバチの羽.スズメバチはかっこよすぎ.顔といい腹といい,完全なリアルではなく,工芸品的にアレンジされてるところがイイ.クワガタの顔もチャーミングだ.脚や羽のジョイント部を単眼鏡で眺めたが,よくできている.手にとって動かしてみたい!

 自在置物は会場入ってすぐにあったが,以降の展示も味わい深いものだった.

 竹内久一の木彫が数点あったがかっこよかった.米原雲海の「仙丹」は以前にどこかで見たことがあるが,あやしい感じがイイ.高村光太郎の「手」(ブロンズ)は朝倉文夫の所蔵品だった.高村と朝倉はライバルだったそうだ.この「手」がカッコイイ.チラシには高村の「腕」が載ってるが,「手」のほうが好きだ.朝倉の作品もあった.
佐藤朝山の「白菜」(木彫)は,彩色がはげているが,白菜の芯のみずみずしさが感じられる.佐藤の弟子,宮本理三郎の「たまねぎ」「雨蛙」もリアルでイイ.同じく,佐藤の弟子,横田七郎の「めざし」は感動.グッとくるものがあった.他にもいい作品が多数あった.

 収蔵品展もよかった.そして,ロダン館.

 ロダン館はいい.彫刻はこういう環境で見れたら最高だ.屋外にある彫刻もイイが,背景がシンプルなロダン館でみる彫刻はすごい存在感がある.SF映画の中のようだ.地獄の門もすばらしい.階下の展示室には地獄の門の鋳造風景が展示されていて,これもなかなか良かった.

 レストランも良かった.窓の外の景色も.

 来年2月には「若冲と京の画家たち」という展示があるそうだ.また行きたい.ポイントカードもらったし.
(10/10)

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September 26, 2004

建築のフィギュア展(INAXギャラリー)

 銀座のINAXギャラリーで「建築のフィギュア展」を観てきた.09_25_3r.JPEG
 いろいろあったが藤沢みのるさんの粘土細工のミニチュアがイイ.着色されていない白いミニチュア建築が130ほど展示されている.大きさは大小あるが,大体は150mm角くらいだろうか.縮尺は統一されていない.そして超精密というわけではないが,独特の味わいがある.作品は制作年代順に展示されている.多くは明治期の建築だ.その中に「日本水準原点標庫」があった!これは1891年に建てられた建物で,日本の標高の基準を収めている.ぼくの好きな建物だ.フィギュア化されていてうれしい!また,「わが家」というのもある.この気持ちも良く分かる.作者の藤沢さんは電子顕微鏡の開発者で,英国に転勤の際にミニチュアハウスに出会い,帰国後に独学で作り始めたそうだ.恐るべし.自分だけのコレクションってうらやましい.

これが,日本水準原点標庫.国会議事堂の近くにあります.
今年5月,カメラ買って間もない頃に撮りました.(白黒で・・・)
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(9/25)

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September 12, 2004

中国宋時代の彫漆など(東京国立博物館)

マティス展を見に上野に行ったので東京国立博物館によった.先週,年間パスポート(3000円)を買ったので何度でも入れる.
まず,平成館の企画展示「中国宋時代の彫漆」をみた.彫漆は何層にも漆を塗った漆器に彫刻を施したものである.先週,単眼鏡を買った.使うのは今回が初めてだ.単眼鏡で「酔翁亭堆黒盆」をじっくり眺めた.細かいところまで細工がされている.いい感じだ.酔翁亭は僧侶の智遷が北宋の政治家,欧陽脩に送った建物だそうだ.欧陽脩は酔翁亭記を書いた.この盆には酔翁亭記の内容が描かれているらしい.(内容が気になる!) 単眼鏡がなければ,盆に描かれた人物・建物の細部は見えなかっただろう.
本館にもどり,特集陳列「古筆を楽しむ」を見た.単眼鏡で料紙の飛び雲(藍・紫の模様.漉き込まれている.)や揉み箔(細かく散らされた金・銀箔)を眺めてみた.字が読めるときっと楽しいだろう.
次は国法室へ.「普賢菩薩像」を今週も眺める.今週は単眼鏡で眺めた.先週は作品解説にある截金(きりかね)が良く見えなかった.今週は堪能できました.本当に細かい金箔の細切りによって模様が描かれている.普賢菩薩はすばらしい衣装を着てました.
(9/11)

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August 23, 2004

動物のモチーフ(東京国立近代美術館 工芸館)

琳派展の帰りに工芸館によった.動物のモチーフと題して所蔵作品展をしている.
「野獣」(チャスワフ・ズベル)はガラスをハンマでカットして彩色した作品で存在感があった.
ルネ・ラリックの馬の首(カー・マスコット)は前に来たときにも見た.結構すきな作品だ.
「陶製黒豹置物」(小川雄平)は肩の筋肉や太い尻尾がカッコイイ.よく見ると体表の模様も味わい深い.
「替蓋付赤銅虫型香合」(介川芳秀)は蓋の取替えで赤てんとう虫→黒てんとう虫となる作品.てんとう虫の顔がカッコイイ.
「野原蒔絵小箱」(田口善国)はバッタの意匠のある蒔絵小箱.作品解説カードがもらえる.解説カードによると,青い螺鈿は青貝(鮑)だそうだ.黒いバッタは黒漆.作品解説カードは絵葉書より大きいサイズで作品の写真が表にあり,裏に解説がある.すごくうれしい.
「戦野」(山下恒雄)は抽象化されたバッタのオブジェで,なかなかカッコ良かった.
(8/22)

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August 22, 2004

七宝工芸の近代(三の丸尚蔵館)

皇居内の三の丸尚蔵館で近代七宝の名品を見せていただいた.
七宝の歴史は古いが,高度に技術が飛躍したのは明治期であるとのこと.その明治期の作品が半分ほどである.先日,東博で見た「万国博覧会」と同じ時代だ.
並河靖之の「四季花鳥図花瓶」(1899)がすごい.有線七宝である.有線七宝は金属線で輪郭を作り,そこに釉薬を施して焼成する手法である.花瓶の表面を彩る写実的な紅葉の葉や鳥々を有線七宝の手法で作るのには,とんでもないほどの手間がかかったことだろう.発色も透明感があってすばらしい.
安藤重壽の「籠に菊花文文房具」などの小物も美しかった.
(8/22)

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August 17, 2004

「万国博覧会の美術」(東京国立博物館)

 19世紀後半に開かれたパリ・ウィーン・シカゴ万博に出品された工芸品を展示している.11日に観覧したが,混んでいたので再観覧した.

 前回見た「十二羽の鷹」(鈴木長吉 1893)がもういなかった.「十二羽の鷹」は青銅の鋳造品ですごくリアルだ.重いのか軽いのか想像がつかない.胸羽に脚をうずめた鷹もいるが,胸羽がつかんだらふわっとつぶれそうなやわらかさがある.鈴木長吉は実際に鷹を飼って写生し,3年半かけて作りあげたそうだ.

 カザール・コレクション 蒔絵小物一式が面白かった.鶴・琴・琵琶がすばらしい.琵琶の木目の表現や,琴の竜額に施された市松模様の象嵌は美しい.柿や桃,双六盤・碁盤もイイ.蒔絵小物を所有できたら楽しいかも.

 自在置物も超合金感にあふれている.蟷螂自在置物(大倉集古館蔵)はカッコイイ.照明がいいのか影がまたカッコイイのだ.

 浅井忠の図案による「春秋蒔絵螺鈿巻煙草箱」,「漫画蒔絵菓子皿」もいい味わい.

 高村光雲の「老猿」もいた.生で見るのは初めてだが思っていた以上に大きかった.実物の2倍くらいか.

 「染付花唐草文大灯籠」などの大物も手が込んでて,いい感じの絢爛ぶりだ.江戸時代にうまれて,明治維新を経験した職人が作ったものだろう.明治時代の職人が開国により西洋文化にインスパイアされた感じが伝わってくる.
手間をかけて作られた工芸品には見飽きないすばらしさがある.

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 表慶館では国宝「吉祥天画像」が公開されている.天平時代の美人画で,薬師寺に奉られている.正倉院の「鳥毛立女」と同様,ふくよかな顔,ぷりっとした唇,細い目をなさっている.現代の小悪魔的な美人と違って,徳がありそうな感じの美人だ.女神ですから当然ですね.

 表慶館に入れるのがうれしい.表慶館は片山東熊の設計により1908年に建てられ,1923年の大震災を生き延びた建物だ.ホールに立ち,天井ドームの採光窓を見上げた.円形に並んだ大理石の柱が力強い.かっこいいぞ表慶館!
(8/17)
写真追加(8/24)

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August 15, 2004

近代日本画と香道具(大倉集古館)

大倉集古館は伊東忠太の設計により1927年に建てられた.建物自体が国登録文化財だ.虎ノ門のホテルオークラの敷地内にある.大倉集古館へ行くのはこれで2回目.当然,ぐるっとパスを利用.展示は1階に香道具,2階に近代日本画.香道具の展示が面白かった.香木の説明から,香道の歴史,香席,香道具と展示している.2代目’バロン’喜七郎の妻,久美子夫人が香を嗜んだということらしい.香木の展示ケースの前に立つとなんとなく香の香りが漂っているような気がした.名香というものを一度聞いてみたくなった.併催企画として聞香体験もあるようだ.近代日本画の展示では,川合玉堂の2作品が良かった.
大倉集古館の企画展示品は趣味がいい.しかし展示はどことなく学校か旅館の展示のような素人くさい感じがする.まあ,それも味わいだと思うけど.

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July 25, 2004

姫君の華麗なる日々(サントリー美術館)

 徳川美術館名品展「姫君の華麗なる日々」をサントリー美術館で見学した.尾張徳川家由来の調度品などが展示された.目玉は尾張徳川二代光友に輿入れした三代将軍家光の長女千代姫の婚礼調度だ.贅の限りを尽くした姫君の婚礼調度は華麗であっても派手さはなく,日本的な美しさがある.

 江戸の姫君にはご幼少のころから節目の行事があり,その道具も展示されていた.5歳でおこなう深曾木,16歳でおこなう鬢曾木などの行事でたった一度使われた道具は400年後にも残るほどの名品である.姫君は姫君として生まれ姫君として育てられることを強く感じた.

 また調度の中には手鑑(習字の手本)や源氏物語に由来する意匠なども多く,姫君の教養もうかがうことができる.

 暗い部屋に置かれた蒔絵の調度.十代で輿入れした若い姫君が香を焚き染めた小袖をまとって古筆の手になる源氏物語を読んでいる・・・なんて情景を妄想するだけで官能のきわみである.

 ただ,どの調度にも使用感がなく姫君の実存感があまり伝わってこない.それもまた姫君らしい気もする.
いろいろな視点で見ることのできる好企画だ.

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June 30, 2004

聖杯(国立西洋美術館)

6/29 年休を取って国立西洋美術館へ行った.
「聖杯-中世の金工美術」の初日で,記念講演会も聴講した.記念講演会は往復はがきで応募.定員を超えると抽選になっていたが,当日は空席があり館内放送で参加者を募った.前ハイデルベルグ大学教授のフリッツ氏は中世ドイツの金細工師の工房・技術などについて講演された.公演内容は(あとでわかったが)図録に掲載されている.図録はかさばるので買わなかったが,金工技術や宗教的な背景(ルターの宗教改革)について詳説されており面白そうだ.
展示は聖杯に代表される典礼具を時代を追って見比べることができる.美術品の展示だけでなく,宗教的意匠の説明や,製作技術についても説明があり興味深い.
また,西洋美術館では「建築探検」と題してル・コルビュジェの設計した本館の見所を紹介するプログラムを行っている.常設展の1階ホールにはル・コルビュジェ設計の椅子が据えられ,天井の窓を見上げられるようになっていた.
美術館を建築美術として紹介する今回のプログラムは味わい深い.新館には関連資料として当時の新聞記事のスクラップや,設計図面,模型などが展示されている.館長室のトイレや屋上庭園は紹介のみで公開されないのは惜しい.
平日の美術館は空いてて気持ちいい.

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