May 23, 2006

大山崎山荘美術館(2006)

寝台急行「銀河」は4/27の7:18に大阪駅に着いた.中ノ島近辺を少し散歩してから大山崎山荘美術館に向かった.昨年はJR京都線で山崎駅まで行ったのだが,今年は阪急京都線で大山崎駅に行った.まあ,たいした違いがあるわけではない..(昨年の大山崎山荘の記事

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大山崎山荘美術館は新緑がきれいだった.庭園には小学生が遠足に来ていた.

大山崎山荘美術館では,開館10周年特別企画として「大山崎山荘の10年」という展示をしていた.
リーチの大皿,濱田のマグカップなどが良かった.昨年は気がつかなかったが喫茶室の入り口にある温度計・湿度計つきの時計がなかなか面白い.今年はオルゴールも聴くことが出来た.

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喫茶室のバルコニーで去年と同じ熟撰を味わう.昼間からビールが飲める幸せ.

安藤忠雄設計の「地中の宝石箱」ではモネの大きな睡蓮が5点展示されていた.椅子にすわって眺めると窓のようだ.絵画の展示は少ないが,いつまででも見ていたくなる作品・環境だ.

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October 29, 2005

京の雅び・都のひとびと(出光美術館)

10/29~11/9は読書週間ということらしい.まったく知らなかった.が,毎年10月末におこなわれる神保町ブックフェスティバルにはここ数年足を運んでいる.文庫本ばかり3冊買ったあとは,露天の店でビールと肉まんを買って昼食にした.気持ちよく酔ってきたので有楽町まで歩いていった.

今日行ったのは出光美術館.展示は「京の雅び・都のひとびと -琳派と京焼-」.

「柳橋水車図屏風」がすごい!

金色の夜だ!金色の夜に黄金の月が懸かる.橋も金色にかがやく.そこに柳の黒い幹と緑の葉.

柳の黒い幹は自由に曲がっている.月に向かって伸びた太い枝が,月にかぶらないようにばっさり切られているのもイイ.

そして,河の水がすごい.水車から流れ落ちる水は墨のように真っ黒だ.河の水も,(様式化した描き方だが)どうどうと流れてくる感じが気持ちイイ.

金色の夜.これが”雅”なのか!こういう感性なのか!すごいぞ!

金色の夜を見るのは初めてではないはずだが,今日はびっくりした.夜を金色にし,水を黒くする感性に感動した.作品の状態がすばらしく良かったのも感動の一因だと思う.金屏風の金は背景くらいにしか思っていなかったが,夜を表現する金もあるのだ.金色の夜だったんだ.
(10/29)

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August 26, 2005

大原美術館

夏休みを利用して倉敷にある大原美術館にいってきた.今回が初めての訪問だ.

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大原美術館は国内の美術館を特集した記事などにはよく顔をだす美術館なので,ギリシャ建築風な本館の写真は目にすることがある.(上の写真参照) このような写真から,広い前庭の奥にどっしりと建っていると想像していたが,実際は門をくぐるとすぐ目の前にギリシャ風の本館は控えていた.ちなみに門の外には運河が流れている.この運河沿いの地域が美観地域になっている.

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大原美術館はいくつかの建物で構成されている.

本館:西洋の近代・現代美術(印象派を中心とした画家・児島虎次郎のコレクション)
分館:日本の近代・現代美術
工芸館+東洋館:民芸+東洋古代美術

以下,それぞれの感想を記しておく.

<本館>
大原美術館の入館券は1日有効で,なんどでも出入りすることができる.本館には昼間に一度入館し,夕方,再訪した.昼間は観覧者がおおく,ゆっくり絵を見る気分になれなかった.観光地の中心にある美術館なので,美術に対する興味には関係なく,皆が足を向けるのだろう.さいわい土曜日は開館時間が延長されていたので,夕方の人の少ない時間にゆっくりと観てまわることができた.

最初の印象だが,絵画・建物(壁)ともに古いなあと感じた.額もちょっとくたびれた感じだ.
しかし,絵には面白いものがある.エル・グレコやゴーギャン,キリコは完成度が高く,イイ感じだ.マティスの作品も気に入った.
マティスの「マルグリット嬢の肖像」は,ブリヂストン美術館にある大好きな作品「縞ジャケット」と並べてみたくなる作品だ.縦長のカンバスに(おそらく)同じモデル(マルグリットなら娘)を描いている.
モネの「睡蓮」も好きな絵なのだが,ブリヂストン美術館の「睡蓮」のほうが好きかなあ.
本館は2階の連絡通路で新展示棟につながっている.こちらに現代美術が展示されている.熊にひっかかれたような切口のあるフォンタナの「空間概念」やジャクソン・ポロックの「カット・アウト」は近代美術館の痕跡展で見知った作品だが,倉敷で出会うとまた新鮮な感じだ.
サム・フランシスを集めた部屋もあるが,壁が汚く,興ざめ.

<別館>
ここは楽しい!
まず,青木繁.小品だし完成度も低いが,青木繁好きにはうれしい.
大きな部屋には,小出楢重,佐伯祐三,藤田嗣治など.好きな作家が多い.
なかでも佐伯祐三がカッコイイ.パリの街を描いた「広告”ヴェルダン”」.うまく言えないがカッコイイんだよな.異郷の地でうろたえていない.そして郷愁を感じることもなくカンバスに向かう画家の強さが感じられる.
もう一点,「陽の死んだ日」(熊谷守一).死んだ息子の枕元で描いた作品だ.悲しみや怒りをカンバスにぶつける作家の姿が目に浮かぶようだ.しかし,その中にも絵のうまさがある.それがいっそう悲しい.『~画家は当時を回想して、「~”絵”を描いている自分に気がつき、嫌になって止めました」と語っている。』(「日本の美術館を楽しむ No.2 大原美術館」の山下裕二氏の記事より引用).味わい深い作品だ.

別館の地下がまた楽しい.地下は現代美術の展示室で大きな作品,大きなオブジェが多数展示されていた.田嶋悦子の奇妙な花をモチーフにした大きなオブジェが気に入った.

<工芸館+東洋館>
いよいよ,工芸館+東洋館だ.工芸館と東洋館は展示室となる複数の倉から構成されており,倉ごとに特定作家の展示室になっている.それぞれの倉はひとつにつながっている.(下写真参照.)展示をプロデュースしたのは芹沢銈介.

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展示されているのは,いわゆる民芸運動の中心になった作家の作品だ.こういう作品は倉の中で展示すると実にイイ感じだ.特に驚いたのは棟方志功.棟方志功の作品は,印刷物で見るとそれなりに味わい深いのだが,実物をみても,どこかそらぞらしい感じがして,あまり好きではなかった.しかし,この棟方志功を展示した倉はびっくりするくらいイイ感じだった.特に壁中央の目線よりかなり高い位置に展示した「門舞神板画柵(10枚組)」は壁全体を額にして収まっているようにみえる.作品も展示室になっている倉も同じような素朴なぬくもりを持ち,絶妙に馴染んでいる.棟方志功の作品は,こういう環境で見るのがベストかと思う.民芸というのはこういう感じを楽しむものかもしれない.これは得がたい快感だ.

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今回の旅行では,大原美術館と倉敷市美術館が面白かった.そして,町並みを歩くのが楽しかった.
倉敷の美観地域は日中は観光地という感じでざわついているが,夕暮れ時にはグッといいムードになる.

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May 02, 2005

茶陶の源流(出光美術館)

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「茶陶の源流 和のうつわの誕生」という展示を見てきた.場所は出光美術館.
茶陶の源流というと,桃山から遡って室町あたりを想像する.しかし,サブタイトルに”和のうつわの誕生”とあるように,この展示では古墳時代の須恵器にまで遡る.

古墳時代の須恵器は穴窯で焼かれた陶器だが,かぶった灰が溶けて釉薬になる灰釉がかかったものがある.それが奈良時代になると,意図的に灰釉をかけて焼く猿投窯がでてくる.平安になると常滑窯・渥美窯.そして桃山時代の信楽窯・備前窯に至るのが”焼き締め陶器の系譜”らしい.

陶器の知識と経験がないので,どのような製作過程なのか,また技術革新があったのかどうなのか,よくわからないが,茶陶の源流をたどってみると一貫して日本人の美意識みたいなものが感じられて面白い.(現代の美意識で選んだものが並んでいるだけだとは思いたくない.)

展示は,茶陶の源流(焼き締め陶器)→茶陶の誕生(唐物飾りから茶陶へ)→茶陶の展開(茶碗や名品,乾山とか)とすすむ.展示品は制作時代順というわけではないが,古代からの美意識が大陸の技術を取り入れ(模倣し)独自に進化していく過程を感じることが出来る.

陶器の展覧会の経験があまり無いので断言しかねるが,これはとてもスマートな展示・企画なのではないだろうか.

-追記-
特別公開の酒井抱一の八ッ橋図屏風もカッコイイ.

(2005 5/1)

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April 26, 2005

ロイヤル・コペンハーゲン(東洋陶磁美術館)

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かねてから大阪市立東洋陶磁美術館には行ってみたいと思っていた.京都に行くこの機会に訪ねることにしたのだが,特別展の「ロイヤル・コペンハーゲン」は皇居の三の丸尚蔵館で昨年見ているし(感想はこちら),常設展示が少ないのは残念だと思っていたのだ.

しかし,特別展の「ロイヤル・コペンハーゲン」は三の丸尚蔵館の70点に対して190点と展示数も多く,キャプションも充実していて楽しめた.また常設展は,展示数こそ少ないが東洋陶磁美術館が名前どおりの性格をもつ美術館であることを強く印象づける好展示であった.

「ロイヤル・コペンハーゲン」だが,やはり『フローラ・ダニカ』のシリーズがすばらしい.『フローラ・ダニカ』はデンマークに自生する植物を描いた植物図鑑の図案を描いた食器類だ.食器に花をモチーフにした図案というのは珍しくないが,植物図鑑の図案だから,根も描かれているし,花弁などの部分拡大図なども描かれている.

『フローラ・ダニカ』の展示数にはキャプションに原画をつけているのも良かった.実際の植物図鑑『フローラ・ダニカ』も展示されていたが,この図鑑の図が精密でうまい.これを食器に絵付けするには大変な技量がいるだろう.と思って見ていたのだが,実際の植物図鑑に携わっていた人物が絵付けをおこなっていたのだ.この名前だけはメモしておいた.ヨハン・クリストフ・バイアー(1738~1812).12年間,絵付けを行い,失明したそうだ.

また『フローラ・ダニカ』の見込(皿の中)の図案もすばらしいのだが,縁を飾る金彩の内側の小さい飾りがテーマとなっている植物の一部を用いたものになっていて味わい深い.

アーノルト・クロー時代の『ブルー・フルーテッド』も楽しめた.アーノルト・クローは花入れを手にしたブロンズ像があり,ブロンズ像が手にしている花入れもあった.

陶磁美術館だけあって,釉薬に関するキャプションや説明がしっかりしていた.白熊の物入れは三の丸尚蔵館でみたが,これに結晶釉という技法が使われているのは知らなかった.

常設展示ではやはり「飛青磁」(国宝)がすばらしかった.なめらかさ,色の均一感,形状の均整は完璧に近い感じだ.そこに鉄釉の文様が緊張感や調和を与えているように感じた.また日本陶磁室も少ない作品数ながら日本の陶磁史を概観できる好展示だった.

それと「李乗昌コレクション韓国陶磁」の解説で,日本の磁器制作が秀吉の朝鮮侵略によりつれてこられた朝鮮の陶工により始められたことが書かれていたが,こういう点は美術館の性格があらわれていて面白い.

次の機会があれば,常設展示をじっくりと見てみたいものだ.

書き忘れていた.展示を見た後に喫茶室に入った.頼んだのは特別展にあわせた「ロイヤル・コペンハーゲン ブレンド コーヒー」! ブルー・フルーテッドで供された.すばらしい!
(4/24)

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January 23, 2005

香合の美(小田急百貨店)

01_23_0「香合の美」と題された展覧会をみてきた.場所は新宿・小田急百貨店.
1976年にカナダのモントリオール美術館で発見されたフランスの元首相クレマンソーの香合コレクション3000点のうち600点近くを展示している.
場所柄,みなさんワイワイと話をしながら,気楽に観て回っていた.混んでいたので長く立ち止まって観ることができなかったのが残念だが,香合の面白さを楽しむことができた.
水鳥は人気のあったモチーフらしい.数が多かったが出来はピンキリ.モチーフとしては蟹が好きだ.
桃の種を素焼きで作ったものがあった.これは味わい深い.
染付けの筆の線の細かいものや,色絵で発色のよいものが気に入った.
('05 1/23)

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January 08, 2005

華やかなうつわたち(根津美術館)

「華やかなうつわたち -伊万里・鍋島・柿右衛門-」をみてきた.場所は根津美術館.

文字通り,「華やかなうつわたち」の展示だった.磁器を時代順に展示するならば,染付の初期伊万里から展示するのが常道だが,初期伊万里も青手や色絵のものが展示されていた.伊万里・鍋島・柿右衛門手・染錦手と17世紀初頭から18世紀中期にいたるまでの色絵磁器を味わうことができる.

学芸員さんの作品解説を聞いた.作品解説中は作品解説を聞くものであって,作品をしっかり見ることはできないと考えたほうがいい.作品は解説を聞いた後にゆっくりと見て回った.今回は50人ほどの人間が学芸員さんを取り囲んだ.学芸員さんは上品な御婦人だ.作品自体の解説も作品鑑賞の助けとなるが,ちょっとしたトリビアがおもしろかった.たとえば,「17世紀のヨーロッパではナイフとマグカップで食事をしていたので,アジアの食器文化に驚いた.やがてイタリアでフォークがうまれるが,その理由は・・・」というような話など.

作品では,やはり鍋島が好きだ.鍋島は大人数で食事をすることのある大名が使う器なので,おなじ器を複数作る必要がある.そのために下絵は版をつくっていたようだ.複数枚ある組皿の柿右衛門手と鍋島を比べると,柿右衛門手は微妙に違うところがあるが,鍋島はまったく同じにできている.また,丸くない鍋島は型を用いていたそうだ.型を用いると,熟練ではない職人が成型できるという利点と,ろくろ税を払わなくてよいという利点もあった.鍋島には三・五・七寸・一尺という大きさの規格もあったそうだ.七寸の鍋島がぼくは好きだ.

染錦手というのは17世紀末から18世紀中期にかけての色絵磁器のようだ.型で作った飾り皿がきれいだった.

('05 1/8)

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January 05, 2005

華麗なるマイセン磁器(栃木県立美術館)

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栃木県立美術館に「華麗なるマイセン磁器」を見に行った.昨日,戸栗美術館でマイセン窯の起源に関する記述を読んで興味が沸いたのでちょうどいい.

ザクセン選帝侯のアウグストI世は伊万里などの磁器を2万5千点も集めていたらしい.そのアウグスト強王が1710年にドレスデンに開いたのがマイセン王立磁器製作所だ.このマイセンが欧州初の磁器製作所となった.

最初の展示品はマイセン窯で磁器を完成させた錬金術師のベットガーの作った炻器.(炻器=せっき:素地がよく締まり,給水性のないやきもの.)マイセンの誕生だ.日本では1610年頃,朝鮮の陶工が有田に磁石を発見し,磁器の制作が始まった.約100年後に欧州の磁器が誕生したのだ.

つづいて,シノワズリー(中国趣味)のカップなど.そして,柿右衛門様式の影響を受けた作品が並ぶ.18世紀半ば頃までの作品だ.このあたりまでは,戸栗美術館でみた古伊万里の延長として鑑賞できる.

しかし,マイセンは東洋磁器の模倣にはとどまらなかった.華麗な色彩,精緻な造形の「華麗なるマイセン磁器」に進化していく.具体的には,豪華なテーブルウエア(セルヴィス,センターピース)や人形が展示されている.シャンデリアやキャビネットまである.王侯貴族の生活を彩る豪華絢爛アイテムだ.(展覧会のみどころは当然こっち!)

歌麿・北斎の浮世絵の時代にマイセンでは精巧な磁器の人形が作られていたのだ.文化が違うなあ,と思うのだ.文化というか生活というか.

―栃木県立美術館について―

喫茶室で休憩してから,常設展を観た.
ケーキセットは出てくるまでに時間がかかったが美味しかった.展示期間はここでもマイセンを使えばいいのに.と思った.

常設展は地元の作家の作品を集めているところがイイ.また近代から現代までの作品がある.
青木繁の「わだつみのいろこの宮」の下絵があった.こういう思わぬ出会いがうれしい.
立体作品では,篠田守男「クロンボルグ城 T-C 4305」.篠田守男の作品もっと観たい!
('05 1/5)

―追記―
栃木県立美術館の展示室は変わった構造をしていたので気になった.
企画展の順路に沿って回るとショップ・喫茶室・出口に行き着く.常設展を観るには企画展を戻って途中にある常設展入り口でチケットを切ってもらわなくてはならない.流れがよくない気がした.
調べてみると,栃木県立美術館は1972年に建造され,常設展示場は1980年に増築されている.設計は川崎清.
企画展の展示室だが,入口は1階にあるが出口は地下1階にある.螺旋階段を下りるような構造になっているようだ.展示室と展示室の間には階段とスロープがある.展示室自体も結構広い.壁際のガラスケースに小さいものを展示するより,部屋の真ん中に大きなものをドーンと展示するような展覧会が面白いかもしれない.
屋外の彫刻作品はいい感じだった.池には大きな氷が張っていた.寒かった.
ドライブにちょうどよい距離なので,機会があればまた行こうと思う.
('05 1/8)

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January 04, 2005

古伊万里、色絵の誕生と変遷(戸栗美術館)

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初めての美術館に行くのは楽しい.陶磁器専門の戸栗美術館に行ってきた.企画展は「古伊万里、色絵の誕生と変遷」.

館内に入ると広々としたエントランスホールは休憩所になっている.展示室は2階だ.特集展示のほかに,磁器の製作過程を説明する展示があり,理解を助けてくれる.

ここは解説文がおもしろい.学術的なこだわりが感じられる.正確に記述すること徹底している.見えないところも「高台内には目跡が3つある」という調子だ.研究者が専門家に説明するような語り口.ちょっと難しい授業に出ているような気分で鑑賞できる.また味わい・評価が語られ場合には思い入れたっぷりで楽しい.

展示室もイイ.鏡でうつわの裏面・側面が見られるようになっている.また木製の手すりが展示ケースの前にあるので,手をついて展示品を間近にゆっくりと鑑賞できる.

内容は「色絵の誕生と変遷」ということで,古九谷様式から柿右衛門・金襴手にいたる変遷が概観できる.展示品は数も多く,バラエティーに富んでいるので見ごたえがある.解説文を読んで展示を見て回れば2時間位かかるだろう.

第1室の青手もよかったが,第2室の柿右衛門様式が楽しめた.「色絵 竹虎文 八角鉢」や「色絵 梅竹粟鶉文 皿」が気に入った.第3室の「赤玉瓔珞文 鉢」がよかった.外側は瑠璃釉に金泥で宝相華唐草を描いている.細部は掻き落とし.

ミュージアムショップにはラーメンどんぶりばかり数十点.これも気になる.会期中にもう一度行ってもいい.
戸栗美術館は渋谷から徒歩10分.渋谷区松濤の住宅に隠れるように存在している.HPに割引券がある.

――以下は作品についての覚書――

第1室「色絵磁器誕生期の資料」
「『三官』銘入り陶片資料」:初代柿右衛門の書き残したものに,中国人「しいくわん」に色絵の技法を教わったとある.「しいくわん」は「四官」と推測できる.「三官」・「五官」銘は発見されているが,「四官」は発見されていない.

第1室「色絵の誕生 -古九谷様式~初期輸出磁器を中心に-」
出光の「古九谷-その謎にせまる-」では産地問題にも照明を当てていたが,ここでは産地は肥前の立場をとっているようだ.よって伊万里(古九谷様式)とキャプションされている.
山辺田(やんべた)窯出土陶片類:青手大皿の大半は山辺田窯で作られたらしい.
「色絵 葡萄文 瓜型壺」(古九谷様式):色絵は素朴な感じ.形状は味わい深い.
「色絵 瓜文 鉢」(古九谷様式):青手大皿.緑がきれいだ.
「色絵 渦文 鉢」(古九谷様式):見込は黄色に細かい渦文.裏面は緑に細かい渦文.
「色絵 山水家屋文 鉢」(古九谷様式):緑,黄色の発色が美しい.

「色絵 花卉文(はなくさもん) 角瓶」(伊万里):淡い色がうつくしい.
「染付 花鳥文 皿」,「色絵 花鳥文 皿」(伊万里):同じ芙蓉手の図案.染付と色絵.
「鉄釉色絵 鳥文 輪花皿」(伊万里):丁寧に描かれた鳥がかわいい.鉄釉は白磁釉に鉄を混ぜたもの.

第2室「華麗なる輸出色絵磁器の展開 -柿右衛門様式から古伊万里金襴手様式へ-」
柿右衛門様式に明確な定義はないが,白い磁肌(乳白手=にごしで:オフホワイトの素地)に明るい色彩の磁器を古九谷様式(初期色絵)に対して柿右衛門様式と呼ぶ.
輸出品は型を用いたものが多いようだ.ゆがみがなく好きだ.

「色絵 竹虎文 八角鉢」(柿右衛門様式):色絵の細い線の精密感がたまらない.虎がかわいい.
「色絵 梅竹粟鶉文 皿」(柿右衛門様式):鶉がイイ.

フィギュアがあった.「色絵 婦人像」,「色絵 盤上童子水注」など.

ザクセン選帝侯のアウグトゥスが1710年代にドレスデンにマイセン窯を開き,欧州で初めて磁器ができるようになった.中国や日本から磁器を輸入しなくてよくなった.17・18世紀に中国趣味(シノワズリー)が流行した.伊万里柿右衛門様式を写したマイセン窯の「色絵 花鳥文 皿」が展示されていた.東洋の磁器と西洋の磁器のつながりがわかった.すごいぜ!伊万里!

西洋に輸出された大型の作品をまとめて展示してあった.輸出染錦(オールド・ジャパン)というらしい.「色絵 山水唐子唐草文 皿」がかっこよかった.上絵の金がまぶしい.

第3室「古伊万里金襴手様式の世界」
献上伊万里と呼ばれるらしい.鍋島のような献上品ではなく,町人が用いる上等品.元禄の町人文化が反映されている.それ以前の庶民は陶器&漆器なのか.当然だよな.
「赤玉瓔珞文 鉢」がカッコイイ.外側に瑠璃釉を施し,その上に金泥で宝相華唐草を描いている.細部は掻きおとしで精密感あり.
「色絵 五艘船文 鉢」はサントリー美術館でみたポルトガル船の鉢と同じ文様だ.大きさはやや小ぶり.
('05 1/4)

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January 02, 2005

博物館に初もうで(東京国立博物館)

01_02_0謹賀新年!
今年もよろしくお願いいたします.

東京国立博物館は新年1月2日から開館.ということで,「博物館に初もうで」に行ってきた.

和太鼓の演奏を聴いてから,本館へ.正面ホール・階段踊り場のいけばなが美しい.新年気分が高まる.

まずは2階の新春特別展示「酉・鳥・とり」. 今年の干支「酉」にちなんで,鶏や鳳凰をモチーフにした作品が特集されている.「松梅郡鶏図屏風」(伊藤若冲)は六曲一双の屏風で,デフォルメされた鶏がかわいい.丸くてやわらかい感じがイイ.「竹鶏図」(羅窓 南宋 13c)は目つきの悪い鶏がかわいい.フキゲンって感じだ.午前4時の鶏らしい.朝は機嫌が悪くてもしかたない. 鶏を意匠とした鍔・小柄・目貫も赤銅魚子地(ななこじ)に金細工の鶏がかわいかった.

国宝室には「白氏詩巻」(藤原行成).寛仁2年(1018),行成が47歳のときの筆跡.白居易の「白氏文集」を書写したもの.昨年の出光美術館の「書の名筆」展で藤原行成の升色紙をみている.升色紙は万葉仮名のちらし書きだったが「白氏詩巻」は漢字の行書だ.隣の部屋(平安~室町コーナー)には,藤原行成の「升色紙」,「大字和漢朗詠集切」があるので比較できる.「升色紙」はカッコイイ.墨の濃淡,文字の大小が遠近法のように奥行きを感じさせる.

1階に下りて,ぐるっと観て回った.やきもので「色絵寿字宝字尽鉢」が気に入った.サントリー美術館でみた「鍋島 寿字宝尽文八角皿」と同じモチーフだ.近代工芸の部屋では鍋島と七宝の作成過程を示す資料が展示されている.

そして,東洋館へ.

中国工芸の部屋では「油滴天目」・「禾目天目(のぎめてんもく)」がカッコイイ.「馬蝗斑」もここにあった.

東洋館の新春特集陳列は「吉祥 -歳寒三友を中心に-」.三友は松・竹・梅.これらを中心に,中国の吉祥図を特集している.美人図扇面が数点あったがよかった.作品ワールドに入り込める.

帰りがけに,新春イベントの「江戸売り声」(宮田章司氏)をきいた.楽しめた.

東京国立博物館は見所満載だ.一日では全部見ることができない.特集展示や興味のある展示を押さえつつ,ぐるっと観て回ったが楽しめました.
(新春特別展示は30日まで.)

ところで,東京国立博物館の門前には次期企画展「唐招提寺展」の看板が立てられていた.これも面白そうなのだが(きっと混雑するのだが),表慶館の特別展「踊るサテュロス」(2/19~3/13)が面白そうだ.1998年にシチリア島沖で漁師の網に掛かったブロンズ像の特別展示だ.「踊るサテュロス」はこのあと愛知万博のイタリア館で展示される.
('05 1/2)

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December 27, 2004

人間国宝の日常のうつわ -もうひとつの富本憲吉(東京国立近代美術館工芸館)

12_26_10「人間国宝の日常のうつわ -もうひとつの富本憲吉」をみてきた.場所は東京国立近代美術館工芸館.

富本憲吉(1886-1963)は色絵磁器で第一回重要無形文化財保持者(人間国宝)に選ばれた男で,板谷波山につぐ二人目の文化勲章受賞者である.富本は色絵・金銀彩の大作を作る反面,「万民のための安価な陶器」を作ることを試みた.そんな量産目的の日常のうつわを特集した展示だ.

第1室:「カレー皿」の色・形がイイ感じだ.出張時によく行った「パイプの煙」のカレーを思い出した.

第2室:大作の展示.「色絵金銀彩羊歯模様八角飾箱」「色絵金銀彩四弁花模様飾皿」.パターン化された模様だが,印刷ではないとわかる揺らぎがある.工芸品の魅力・迫力を感じた.「白磁大壺」もしっとりと水分を含んだような半艶の表面が大きな球面を形作っていて美しい.

第3室:イッチン.イッチンとは顔料をスポイトに入れて絞り出すように泥絵具で模様を描いたもの.薊模様は富本憲吉のお気に入りらしい.日常のうつわとしての量産化を考えた図案・手法の簡略化が見られる.「模様図鑑」では自ら写した写真から植物を図案化している.

第4室:量産のうつわ.「染付竹林月夜模様皿」は3000枚に描いた.富本憲吉の意図は,(3000枚に描くことで)模様の変化,筆致の順序,濃淡が簡単化される様子を実験することにあったという.さいごにオリジナルとライセンス生産品の比較があった.職人が量産したものは図案の形状に堅さがみられる.


<人間国宝・巨匠コーナー>
四谷シモンの「解剖学の少年」は異世界感覚に捕らえられるような作品だ.
斉藤悦子の「ミューズ」(木彫).森口華弘の「友禅訪問着 早春」が気に入った.

(12/24)

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December 18, 2004

サントリー美術館名品展(サントリー美術館)

12_18_1現在公開中の「ゴジラ ファイナル ウォーズ」がゴジラ映画の最終作だそうだ.こちらも赤坂見附でのファイナル展覧会.「ありがとう赤坂見附 サントリー美術館名品展」(12/18~12/30)を見てきた.

『サントリー美術館は、今回の展覧会をもって赤坂見附での展観を終了し、2007年春には六本木(旧防衛庁跡地)に場所を移して新美術館を開館します。1961年に「生活の中の美」をテーマに東京・丸の内に開館したサントリー美術館は、1975年、現在の赤坂見附に移転しました。ゼロからスタートした館蔵品は、今では日本の古美術やガラスを中心に、国宝1点、重要文化財12点を含む約3000点に及び、展覧会は今回で303回目を数えます。今回の展覧会では、絵画・漆工・陶磁・染織・ガラスなどの多岐にわたる館蔵品から粋を集めた約80点を展示し、改めて「生活の中の美」という視点から見直しながら、赤坂見附での長年の活動を振り返りたいと思います。(HPより)』

主任学芸員さんの展示解説を聞いた.作品ごとの解説で展示の工夫などもよくわかった.2007年の新美術館でのオープニングも同様に名品展になるそうだ.(まず,自分の所蔵品を展示しないと他の美術館が安心して作品を貸してくれないそうだ.)以下,気に入った作品ごとに聞いたこと,思ったことを書いておく.

・舞踊図(江戸時代):着物の柄が美しい.手の表情などは簡単.6枚のパネルとして収蔵されているが,本来は屏風であったかもしれないので,屏風風の展示をしたそうだ.

・ひとよ茸ランプ(エミール・ガレ 1902年):堂々とした感じがイイ.3本あるのは成長の過程を現している.投票2位.

・藍色ちろり(江戸時代):ちろりは酒をそそぐ急須のようなもの.藍色一色のちろりはとても妖しく美しい.投票1位.

・色絵鶴香合(野々村仁清 江戸時代):「これを展示するのは怖い」と学芸員さん.首が細い.首からくちばしにかけての形もイイが,羽根の色も味わい深い.

・色絵五艘船文独楽形鉢(伊万里 江戸時代):色絵が美しい.南蛮貿易をしのばせる.人物の表情,船のデフォルメも面白い.

・浮線稜螺鈿蒔絵手箱(鎌倉時代 国宝):当時の社長,佐治敬三は「清水の舞台から飛び降りる」気持ちでこれを買い求めたとのこと.傷みがあるので時間をかけた修復が必要らしい.透かし彫りの螺鈿が美しい.見る角度によってはピンク色にも見える.金具もカチッとできていて鎌倉時代らしい.

・貝尽蒔絵螺鈿絵文箱(小川破笠 江戸時代):「超絶技巧.今でいう海洋堂です.」とのこと.鮑もイイが,ウニの骨やサザエの蓋に感動を覚えた.落款の印も浮き彫りだ.

・酒伝童子絵巻(狩野元信 室町時代 1522):酒伝童子が酒を飲んで正体を現した場面が展示されている.「いつもはこの後の首を切る場面を展示することが多いのですが,”ありがとう赤坂見附”ですので首を切る場面はやめました・・・」ということでした.酒伝童子の表情や体毛の感じ,まわりの女人のしぐさなど見飽きない.作品世界に入り込める.

・秋草蒔絵文箱(桃山時代):秋草が渋い.秋草は高台寺蒔絵の定番らしい.

・邸内遊楽図屏風(江戸時代):ここに行きたい!こういう店で飲みたいよう.これも作品世界に入り込める一品.
二組の屏風の前には蒔絵の膳・椀などが展示されていた.器が使われていたものということを味わって欲しいとのことだった.屏風絵のなかの器と見比べると興が尽きない.

・色絵壽字宝尽文八角皿(鍋島 江戸時代):イイ.色絵が味わい深い.鍋島だけに色絵・造形ともに完璧.描かれているアイテムがおもしろい.

・染付松樹文三脚皿(鍋島 江戸時代):マイベスト.完璧.いい色.完璧な形.脚もイイ.松の葉の広がりが美しい.染付けの発色も均一で隙がない.まるで画像が投影されているかのような滑らかな表面.

・日吉山王・祇園祭礼図屏風(室町時代):群集が精緻に描かれている.細部が楽しい.窓から見える室内や屋根の上の鶏など.ワールドに入り込むことができる.通常はガラスから離して展示するのだが,細部がよく見えるようにガラスに近づけて展示しているとのこと.ありがたし.

・薩摩切子紫色ちろり(江戸時代):藍色ちろりもいいが,これも美しい.

・薩摩切子藍色船形鉢(江戸時代):蝙蝠マークの鉢.バットマンボートだ.肉厚のガラス.縁の濡れたような艶やかさがイイ.これは,朝倉文夫の所蔵品だったもの.

・南蛮屏風(桃山時代):右隻は日本,左隻は異国.右隻で陸揚げされているものが面白い.鹿(?)の脚や景徳鎮風の磁器など.竈の様子.左隻では犬や中国風の衣装,人物の表情が面白い.

・茶道具では一群の蒔絵香合.蔦下絵新古今和歌色紙(光悦筆・宗達下絵 桃山時代)がよかった.

今回の展示では,奥のスペースの障子が開かれており,弁慶堀や首都高4号線,そのむこうに新宿のビルがみえる.窓からの景色を見ていると「ここもこれで最後だなあ」と自分が引越しをするような気分になった.


六本木の新しい美術館は隅研吾の設計になる建物に入る.天井が高くなるらしい.場所が変われば展示品の見え方もかわるだろう.また,2年間でぼくの作品を見る目も成長していてほしいと思う.2007年に六本木の新しい美術館で名品と再会するのが楽しみだ.同じ頃にはゴジラも復活しそうな予感が・・・

(今回は,2007年に読み返すために煩雑だが書きたいことは書いた.今回の展示にあわせて,所蔵品ベスト10を投票で決めるイベントがあり,その結果もパネルで紹介されていた.また展示も順位が考慮されている.1位の「藍色ちろり」は特等席に展示されていた.この順位付けだが,あまり興味が沸かなかったので記事中には載せていない.)
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November 24, 2004

三菱・岩崎家の茶道具(静嘉堂文庫美術館)

三菱・岩崎家の茶道具 -親子二代蒐集の至宝-をみてきた.場所は静嘉堂文庫美術館.
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文庫というのは楽しい.いままでに永青文庫,三井文庫にいってきた.blogのカテゴリーにも”文庫”を作ってみた.”文庫”は文字通り書庫のことで,転じて個人のコレクションをあらわしている.上記の文庫美術館は個人の邸宅が母体となっているので閑静な住宅街にあって気持ちがよかった.静嘉堂文庫も気持ちのいい美術館だった.バス停から歩くのだが,木立の間の坂道を登っていくうちに期待感が高まる.坂を上りきると瀟洒な建物がまっていた.いい感じだ.

今回の展示は三菱の二代目・四代目の岩崎父子が,財閥解体以前に蒐集した茶道具の展示だった.茶道具に関してもシロウトなのでその良し悪しは判らないが,印象としては”大切にされてきたオーラ”のでている名品ぞろいだ.由来・伝来がはっきりしているものが多かった.

有名な曜変天目は展示室の外の廊下に展示されていた.窓からの光で照明されていた.傾きかけた日の光をあびてメタリックに輝いていた.美しかった!

今回は,Takさんのblog「弐代目・青い日記帳」のチケットプレゼントに応募していただいたチケットで観覧させていただきました.ありがとうございます.
(「弐代目・青い日記帳」に三菱・岩崎家の茶道具に関して記事があります.)

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November 14, 2004

鍋島と伊万里の世界(港区立港郷土資料館)

鍋島と伊万里の世界という特別展示をみてきた.場所は港区立港郷土資料館.田町駅の近く,三田図書館の4階にある.
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先週,サントリー美術館で初期伊万里をみた.今週は「鍋島」と「伊万里」だ.

「鍋島」は鍋島藩窯製品をさす.佐賀城主鍋島家が献上・贈答用に作らせた上手の磁器だ.「御用陶器」と呼ぶらしい.伊万里のスペシャル版だ.17世紀前半から明治維新期に藩窯が廃止されるまでつくられた.

鍋島焼の特徴は,高台に櫛文,高台内部にも釉薬,裏面には唐草文.木盃形の皿がおおい.

「丁寧できれい」が鍋島の印象だ.サントリー美術館でみた初期伊万里は磁器を作り始めたばかりのおおらかさがあったが,鍋島はずいぶんと陶工も磁器に慣れた感じがする.染付は繊細な図柄で発色も安定しているし,器の形状もゆがみがない.「御用陶器」だけに高品質だ.

なぜ,港区立港郷土資料館で鍋島の特別展示をしているかというと,都内の大名・武家屋敷跡から鍋島が多く発掘されているからだ.面白かったのは「青磁染付輪繋文皿」(旧芝離宮庭園遺跡出土品)と「色絵輪繋文皿」(佐賀県立九州陶磁文化館蔵)のサイズ・図柄が同じことだ.都内出土品は青磁&染付だが,九州のものは色絵(3色).享保の奢侈禁止令以降は磁器の色に制約がでたらしい.

伊万里の展示は,初期伊万里から明治大正期の宮中使用の食器まであった.

サントリー美術館でみた初期伊万里(「染付山水文輪花大皿」)に似た大皿もあった.「染付山水唐草文輪花大皿」だ.カッコイイ.
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November 02, 2004

初期伊万里展(サントリー美術館)

サントリー美術館の初期伊万里展 -染付と色絵の誕生-を見てきた.今日は有給休暇だぜ!やったね!

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これまでに出光美術館で「古唐津」,「景徳鎮」,「古九谷」の展示を見た.なんとなく焼き物が好きになってきたところだ.

歴史を整理してみる.有田を中心とした肥前では唐津焼(陶器)が桃山時代からつくられてきた.1610年頃,朝鮮からきた陶工が磁器の材料になる石(磁石)を有田に発見し,磁器の制作が始まった.

はじめは中国から輸入される景徳鎮の不足を補う程度に生産されていたが,1644年に明清の王朝交替を期に景徳鎮が輸入されなくなると,磁器の需要が多くなった.肥前では窯場の整理・統合がおこなわれ,生産量が増やされた.

1610~30年代の初期伊万里は中国から輸入された呉須(青い染料)で染付がおこなわれていたが,1640~50年頃には色絵が誕生した.(古九谷と呼ばれる.)

初期伊万里の特徴は,素地が厚手・高台に砂(砂は窯道具との溶着を防ぐために着けられた.)・釉薬が厚手・高台そばに指跡・降灰跡などがある.高台径が小さいのは朝鮮様式らしい.これも初期伊万里の特徴だ.

なんとなく,17世紀の磁器の歴史がわかってきた気がする.そろそろ本でも読んでみるか.

展示の内容はというと,数が多いのがよかった.たくさん見たので初期伊万里の特徴が(少し)つかめた気がする.

一点一点の質では出光美術館の古九谷展の方が上だと思った.しかし,磁器を作り始めた陶工がおおらかに中国・朝鮮を模倣しながらつくってる感じが初期伊万里にはよく出ていて好ましい.

カッコイイ皿もあった.「染付山水文輪花大皿」は縁が鎬になっていて(アルミ皿みたいな感じ)カッコイイ.よく焼成されていて呉須の発色もよい. 「色絵双蝶大皿」は青手だ.2匹の蝶が向かい合ってる.アールヌーボー的.青手は素地の傷を隠すために全面に色をつけるようになったらしい.
(11/2)

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October 31, 2004

永楽和全の茶陶(三井文庫)

三井文庫 2004年秋季展「永楽和全の茶陶」を見てきた.

今回の展示は、保全のあとを継いで、幕末から明治維新へと動乱の時代の中で茶陶制作を続け、今日の永楽家の作風を定着させた和全の作品を、館蔵品約60点でたどるものです。(三井文庫のHPより)

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先週,目白の永青文庫に行ったのだが,そこがすごく気持ちのイイ美術館だった.”文庫”っていうのはいいぞ.と思ったので,今週は三井文庫だ.

三井文庫もよかった.門から展示室までの感じがいいぞ.”文庫”の特徴は,庭・瀟洒な展示室だと思った.

展示もよかった.ゆっくり見られた.自分のペースで見られることは本当にうれしい.

「紫釉内銀天目」・「仁清写銀縁天目形数茶碗」・「交趾釉草花文蓋物」(黄色)・「交趾写福字輪花皿」(緑)は好きな色だった.

「仁清写竜田川絵茶碗」・「淀屋金襴手写茶碗」は絵・形ともにイイ感じ.持ってみたいと思った.

香合もたくさんあった.香合は黄色が美しい.フキノトウの香合!欲しい.

「黒茶碗 銘三番叟」は渋い迫力あり.「菊谷焼十二ヶ月絵替茶碗」は月ごとに絵が変わるのは当然だが,形も変わっている.

金襴手では「赤地金襴手象宝相華文食籠」がカッコよかった.

三井文庫,気に入った.残念ながら三井文庫はこの展示限り.来年秋からは日本橋の三井本館に「三井記念美術館」として開館するらしい.
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October 12, 2004

ロイヤル・コペンハーゲン (三の丸尚蔵館)

 皇居内の三の丸尚蔵館で「デンマーク王室の陶磁コレクション ロイヤル・コペンハーゲン」を見せていただいた.
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 「フローラ・ダニカ」というシリーズがすごい.

 ”『フローラ・ダニカ』は、デンマーク領土内に育成するすべての植物を科学的な観察態度で正確に写生、記録することを目指して1761年に刊行が開始され、120余年をかけて完結した大部の植物図譜集である。そして、これらの植物図譜をそのまま原画として、王室の命により王立ロイヤル・コペンハーゲン磁器製作所で1790年から製作されはじめたのが、世界で最も優美なディナーサービスと謳われる〈フローラ・ダニカ〉なのである。”(パンフから引用)

 国家事業として植物図譜集をつくるのもすごい.それも120年もかけて.そして,それを器に描こうとするのがすごい.しかも,そのまま.磁器に描かれた植物(きのこなどの菌類もある!)は図案化されず,そのまま写されている.つまり,食器が植物図鑑になってる!デンマーク王室の自国の科学事業に対する誇りと愛着が感じられる.
サラダ皿や塩器などもある.実際につかったのだろうか.また,器の表には解説・題名は入っていない.裏返すと書いてあるかな?

 「フローラ・ダニカ」のほかに,「ブルー・フルーテッド」というシリーズも展示されている.「ブルー・フルーテッド」は「フローラ・ダニカ」より新しい.19世紀末にアート・ディレクターになったアーノルト・クローが作ったそうだ.そのクローの原画・自画像も展示されていた.ぼくの乏しい知識で整理してみると,「フローラ・ダニカ」は江戸時代で,古九谷・初期伊万里より少し時代が新しい.「ブルー・フルーテッド」は万国博覧会の時代だ.(リンク先は拙blogの記事) 実際,クローはジャポニズムの影響を受けたようで,関連する展示があった.木に鰈が吊るされている図柄の花瓶がカッコイイ.広重の作品に影響を受けた作品らしい.

 今日までロイヤル・コペンハーゲンという名前は聞いたことがあるが,よく知らなかった.今回の展示でデンマーク文化が少し身近になった気がする.
(10/11)

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September 20, 2004

古九谷-その謎にせまる-(出光美術館)

 出光美術館で古九谷を見てきました.出光美術館の展示を見るのは4回目です.
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 ここのパンフレットの裏には日本・中国・朝鮮の年表があり,展示作品の製作された時代に色がついています.古九谷は桃山・江戸時代に色がついています.中国の明・清に色がついているのは,景徳鎮の磁器も展示されているからでしょう.

 日本の磁器の発展に中国が大きくかかわっていることも解説されていました.桃山時代に鉱山開発が進み,銀の産出量が増えました.そしてポルトガルとの貿易が盛んになり,中国のやきものが日本に入ってきたそうです.それが「つかう器」から「見る器」への革命をもたらしたといいます.しかし,明・清の王朝交代によって,景徳鎮の磁器が輸入されなくなりました.そこで,国産の磁器を作ろうとして古九谷ができたようです.また,景徳鎮の陶工が日本に来て技術指導したようです.歴史の知識があると陶器の鑑賞もより楽しくなるでしょうね.

 -その謎にせまる- と副題があるのは,古九谷には産地問題というのがあるそうです.産地が加賀か肥前かという謎です.加賀からは1656年の陶片,肥前からは1653年の陶片が発掘されたそうです.このような研究自体,70年代に入ってからことだそうです.今回の展示では,窯跡から発掘された陶片も多数展示されています.マニアックな感じです.

 作品で気に入ったのは,やはり会場中央に展示されている色絵大皿.「色絵菊文大皿」は深く透明感のある緑と黄色がとても美しい.裏側の模様もカッコイイ.「色絵山水文大皿」も緑と黄色がきれいだ.緑と黄色の絵皿を青手というらしい.会場右側には屏風を背景に青手の皿が展示されているがとても美しい.展示もイイ.色絵の大皿はハレの日(特別の日)につかったらしい.屏風には宴会の様子が描かれていた.

 小物では瑠璃釉の青い水注が気に入った.
(9/20)

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August 28, 2004

景徳鎮1000年記念 中国陶磁のかがやき(出光美術館)

 中国江西省景徳鎮はカオリン(白色陶土)を産することから唐代末から窯業村であったが,やがて商店・住居が増えて小商業都市(鎮)となった.そして景徳元年(1004年)に宋代第三代真宗趙恒から「景徳」の鎮名を授かったそうだ.
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 展示は時代ごとになっている.青白磁(宋)→白磁青花(元・明)→色絵磁器(明代後期)→粉彩(清).
青白磁がすばらしかった.青白磁は影青ともよばれる.浮き彫りをした白磁の上に釉薬を施すが,釉薬の厚い部分が青みを帯びるのでこう呼ばれる.入って正面にある(チラシの表も飾る)「青白磁刻花牡丹唐草文吐魯瓶」がすばらしい.まるで白玉を薄いゼリーで包んだような,艶やかな,涼しげな趣がある.大きさ,形も絶妙.対になってるのもイイ.

 青花では「青花龍濤文鉢」がよかった.鉢の側面・底に龍の絵が描かれている.青花(花は文様の意)はコバルトによる染付けだ.「青花龍濤文鉢」はラーメンどんぶりのサイズ.ふちの部分の薄さ・カーブが口をつけてスープを飲むのに調度いい感じだ.これにはスープ,いやラーメンがよそわれたに違いない!
ラーメンとくれば,ビールが欲しくなるが「青花人物馬文水注」はビアジョッキにちょうどいい.「祥瑞詩文角茶碗」には筑前煮なんかを入れたい.実際に使われていたときにはどんな料理が盛られていたのだろうか.考えてると口の中がつばで一杯になってしまう.
(8/29)

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July 18, 2004

蒐集家・出光佐三のこころ(出光美術館)

「これが本物なら,いくらでももってこい.」 「絵唐津丸十文茶碗」を手にした出光佐三(当時54歳)は言ったそうな.これをきっかけに唐津焼が集まる.

『今から100年前、出光美術館創設者・出光佐三がまだ19歳の学生であった頃、当時それほど知られていなかった仙崖(←ガイは上の山がない字)の「指月布袋」の軸に目を留め、父に頼んで手に入れたのが出光コレクション形成の第一歩となりました。それ以降、古唐津、田能村竹田にはじまり、中国陶磁や青銅器、小杉放菴、板谷波山、さらにはルオーやサム・フランシスの作品へと蒐集は広がって、現在のコレクションの核となる逸品が集まっていったのです。』(出光美術館HPから)

7/17 出光コレクション誕生100周年「蒐集家・出光佐三のこころ」(出光美術館)を見てきた.仙崖・唐津・手鑑(奈良・平安がバンバンある.)など蒐集品には禅味があふれるが,蒐集に対する姿勢は精神世界の悟りを求める禅とは程遠く,物欲に徹底している.まさにコレクター.金に糸目は付けずって感じ.「私の好きなものは,こつこつと買っては倉庫にいれて,積み重ねておいた」結果,仙崖・唐津のいいものは全部集めたらしい.また集めたものも,出光コレクションの宝ではなく,日本人の宝である,と大切にしたらしい.出光美術館自体,蒐集品を散逸させないために作った.出光佐三カッコイイぞ.

仙崖は味があって面白い.当時は禅僧の伝記などがあって出光佐三もよく読んだそうだ.仙崖の軸にあるエピソードなどもわかると面白そうだ.出光が19歳のときに最初に求めた「指月布袋」にも「を月様幾ツ 十三七ツ」と書かれているが,なんのことやら.ほかの軸も仏教・禅のエピソードを基にしているらしい.面白そうなので「仙崖カレンダー」予約してきた.

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