November 14, 2005

時計用小型工作機械の歴史(工業技術博物館)

”忙しい”という言葉は使いたくないのだが,気分が仕事モードに入っているので記事の更新に気が向かない.
しかし,週末にはそれなりに出歩いているので記録を残しておきたい.

11/12には日本工業大学内にある工業技術博物館に行ってきた.目的は第15回特別展「時計用小型工作機械の歴史」だ.時計用小型工作機械というと時計師が使う時計用の小型旋盤が思い浮かぶ.しかし,今回の展示は19世紀の時計師が使うような小型旋盤ではなく,20世紀に入って時計が量産されるようになった時代の機械だ.実際にセイコーの工場で使われていた機械を博物館が寄贈され今回の展示に至った.

量産するための機械といっても,オートメーションの時代よりは古く,職人のにおいのする機械ばかりで好印象だ.惜しむらくは,もう少し説明が欲しかった.いずれ博物館の常設展示となる場合には詳しい説明を期待したい.

工業技術博物館について書いておく.ここの常設展示は,工作機械が中心となっている.20世紀初頭の工場を再現した展示などは当時の産業のイメージをつかむうえでも参考になる.機械好き必見の博物館だ.そしてすばらしいのは,ほとんどの機械は”動く状態”で保存・展示されている.大きな博物館でもホコリのかぶった展示にガッカリすることがあるのに,ここは油の匂いも新鮮で,機械が生きている感じが伝わってくる.

博物館を経営する場合は集客が大事だが,こういう突き抜けたオーラを持つ博物館は人気がなくても(あるのかもしれないが・・・)応援したい.入場無料が申し訳ないほどだ.

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明治時代の蒸気機関車も動体保存されている.ちょうどメンテナンス中だった.

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August 28, 2005

2005 東武ワールドウォッチフェア

『ヴァシュロン・コンスタンタン 創業250周年 A QUARTER OF MILLENIUM

1755年から、今年創業250周年を迎えてなお途切れることなく活動し続ける名門より、ミュージアムに所蔵されている稀少なアンティークの30余点を特別展示いたします。』(HPより引用)

ということで行ってきた.懐中時計の機械がみられるといいなあと期待していたのだが・・・

まず,中の機械を展示したものは1点もなかった.そして,懐中時計は10数点.残りは腕時計・・・
創業250周年ではなかったのか.もっと古くて,価値のあるものが見たかった.

懐中で複雑機構を持つものは,1910年製のクオーターリピーター永久カレンダー.しかし,文字盤しか見られない.

バセロンのブースで目を見張ったのは,特別展示のアンティークではなく,史上最多の16の機構を持つ複雑腕時計.世界限定7個で,展示品は非売品.大きくてカッコイイ.中身は見られないが,いいものを見た満足感がある.

バセロンのブースをでて,その他のブランドのブースを見てまわった.が,あまり特記するようなものはなかったな.

フランク・ミュラーも昨年は3次元トゥールビヨンを展示していたが,今年は普通のトゥールビヨンのみ.

パテックも昨年の「パテック展」で至高のものを見ているので,いまさら見るべきものはない.パテックもルクルトもIWCも,最新モデルはケースが大きくなる傾向にある.数年前にパネライが起こしたブームに追従しようとする製品が,ブームの去った(去ったよね?)後にも出てくるのが悲しい.

ブレゲには19世紀の懐中時計の機械を模した腕時計があった.テンプ(振り子)の軸受けをパラシュート型といわれるブレゲが発明した方法で押さえている.機械のメッキも当時のアマルガム法によるメッキ表面を模したざらつき感のある渋いものだ.非常に味わい深い.残念ながら脱振機は普通のアンクル式.これがルビーシリンダーだったら完璧なのだが.

今回の展示は,時計を買いたい人向けの展示だった.(もともと時計の即売会なんですけどね.)

(8/27)

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February 26, 2005

大名時計博物館

02_27_0大名時計博物館は谷中にある.前から行きたかったのだが,実際に見学するのは今回が初めてだ.

大名時計博物館は,陶芸家 上口愚朗のコレクションを展示している博物館だ.櫓時計が10数点,ほかに掛時計,枕時計などの江戸時代に製作された大名時計を観ることができる.

ポイントは,江戸時代は不定時法だったという点だ.不定時法とは,夜明けから日暮れまでを6等分,日暮れから夜明けまでを6等分した時刻だ.不定時法では昼と夜で一時(いっとき)の長さが異なる.ヨーロッパでは古くから(11c)定時法(1日=24時間)が用いられてきた.不定時法は明治6年1月1日に終わった.

大名時計は不定時法の「昼と夜の一時の長さが異なる」という問題を解決するためにヨーロッパの時計とは違った技術を生み出した.「割駒式文字盤」と「二挺天秤」だ.

「割駒式文字盤」は文字盤の時刻表示の間隔を調整するという方法だ.この場合,針は24時間で一周する.これは技術的にあまり面白くない.

「二挺天秤」には天秤型のテンプ(バランス)が2つある.昼用と夜用だ.天秤の左右には錘が付くが,中心軸からの距離は可変になっており,調整できる.昼夜の天秤(テンプ)は間欠機構によってガンギ車との噛合いを制御されている.実際の動きを見たわけではないが,機構をみると,日暮れに昼用のテンプが押し上げられ,ガンギ車からはずれ,夜用のテンプが引き下げられて,ガンギ車に噛むようだ.「二挺天秤」では文字盤の時刻表示は均等だが,針の進む速度が昼夜で異なる.(カッコいいぞ!)

歯車は堅木に竹を埋め込み,糸を巻いて漆で固めたものもあるが,鉄のものもある.鉄の歯車も漆で防錆していた.二挺天秤で歯車が鉄製のものは「二挺天秤鉄機械」だ.(カッコいいぞ!!)

大名時計博物館では見学中に時計が鳴ったりして楽しい.また間近に見ることの出来る,動いている大名時計(二挺天秤)もある.
('05 2/25)

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September 21, 2004

PATEK PHILIPPE展(@六本木ヒルズ)

 PATEK PHILIPPE展にいってきた.今日,至高の時計を間近に見ることができた.
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 「キャリバー89」は世界で最も多くの機能を持つ懐中時計だ.実物は懐中と呼ぶにはあまりに大きい.1728個の部品からなり,33の複雑機能をもつ.1989年に4個生産された.存在が圧倒的すぎて思考が感動についていかない.写真では見たことがある.実物の存在感はすごい.星座盤の深い青色や文字盤の存在感はおなかが痛くなるほどだ.そしてその厚み.資料をみると41mmとあるが,なんかもう,すごい厚みに見えた.展示は鏡のまえにフックで吊るされていたが,微妙に揺れていた.なんか怖い.

 この時計だけでもすごいのだが,「グレーブス・ウオッチ」(1933)・「スターキャリバー」(2000)もある.

 「グレーブス・ウオッチ」は「キャリバー89」が登場するまで最大だった24の複雑機能をもつ時計だ.1999年のオークションでは11億円で落札された.この時計はイイ.欲しい.最高に美しい.サイズがいい.「キャリバー89」よりぐっと小さく,大き目の懐中時計くらいの印象だ.文字盤のデザインも美しい.ムーンフェイズの星も70年前の時計とは思えないほど輝いている.

 「スターキャリバー」はケースの素材が違う4種類が1セットの時計で5セットのみ作られた.21の機能をもつ.すばらしいケースとともに展示されていた.1つは裏面の星座盤が表になっていた.星座盤の色は写真で見るより深い色に見える.見る角度で月・星の色が異なって見える.星座盤の青に溶け込むような月の金色の暗い輝きが印象的だった.

 以上の3点がメイン.中央に展示されていた.それだけではないのがすごい.ヴィクトリア女王に献上された時計.キュリー婦人に贈呈された時計.自動車王パッカードが作らせた時計.まだある.天文台コンクール第2位のクロノメータ.キャリバー34 トゥールビヨン.トゥールビヨンはすばらしかった.ムーブメントがルーペの下に展示されていた.テンプのチラねじも本数少なく整然としている.それも金・白金.そしてケージにもチラねじが.それも金・白金.すばらしすぎる.

 普通の複雑時計(普通ではないが!)では1925年製作の最初の永久カレンダー腕時計やワールドタイム1415年モデルなんかもあった.現行品もありました.セレスティアルや10日巻きトゥールビヨン.もうびっくりです.

 時計好きとして最高の体験ができました.会場にきている人はほとんどが購買力のありそうな方々でしたが,僕のように単なる時計好きと見受けられる方もいました.優待客だけでなく一般客に至高の時計を見る機会を与えてくれたフィリップ・スターン社長ならびに代理店の関係者各位に心から感謝いたします.

 一度,スイスのパテック フィリップ ミュージアムに行ってみたいなあ・・・
(9/21)

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September 11, 2004

小田急ワールドウオッチフェア

 先月,東武ワールドウオッチフェアにいったことは記事にした.今月は小田急だ.『ウォルサム ポケットウォッチミュージアムコレクション』が見たかった.小田急百貨店のホームページにはこうある.「日本の文豪や皇室に愛用されたウオルサムのミュージアムコレクションを展示いたします。」そして,”クリスタル・プレート”の菊花紋章入り懐中時計の写真がでている.これが見たかった.

 結論からいうと,この時計は展示されていなかった.そもそも『ミュージアムコレクション』などと呼べるものではなかった.非常に残念.

 しかし,セイコー・クレドールの彫金実演は興味深かった.職人さんが自作の鏨で彫金の技を披露してくれた.市販の刃物で彫金をおこなったものと,自作の刃物をつかったものでは切削面の輝きが違う.素人が見て判るレベルで違ってみえる.地板にも彫金を施す「スケルトン」モデルには1日8時間で4日かかるそうだ.ぼくは精度にこだわっていた時代の時計が好きだ.時計のムーブメントに彫金を施すなんて成金趣味であまり好きではなかった.しかし匠の技を目にしてみると,工芸品としてはありかな,という気もしてくる.これだけも来た甲斐があった.

 余談だが・・・
 今回,期待してたのに見れなかった”クリスタル・プレート”をここで紹介してみる.実物は見たことがない.
手持ちの本から写真をスキャンした.09_11_0.JPEG
 通常,真鍮でつくられる受板(歯車をおさえる板)が水晶で作られている.そのため輪列(歯車)が見える美しい時計だ.水晶の加工も難しいが,軸受けのルビーの圧入やねじを切れないヒゲ持ちなど技術的な課題もあったと推察できる.気合の入りまくった機械なのだ!この珍しい,美しい,貴重な時計が小田急で見れると思っていたのに・・・もしかしたら会期中に展示する(した)日もあるのだろうか.いつかどこかで見たいなあ.見たいぞ!見せてくれ!!
(9/11)

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August 28, 2004

2004 東武ワールドウォッチフェア

 基本的に高級腕時計の新作発表会(展示即売会)だ.目玉としてジャケ・ドロー マスターピース ミュージアムという特別展示をしているので見てきた.

 ジャケ・ドローは1738年にスイスに最初の工房を開いた時計師で,懐中時計・置時計を製作した.特にオートマタ(からくり)を得意とした時計師だ.今回は「黄金の椰子の葉の中の楽園」(オートマタ)と懐中時計7~8点が展示されていた.懐中時計のエナメル装飾はすばらしく美しい.(時計師が装飾したわけではない.と思う.エナメル画のタッチはそれぞれ異なるし.)

 「黄金の~」は黄金の椰子の葉が閉じた状態で展示されている.初日に一度鳴らしただけだそうだ.よってオートマタの人形部分は見られない.しかし,ガラスカバー内の機械は見ることができる.チェーン引きのムーブメントには7本の撥がつながり,7個重なったベルを打ち鳴らすようになっている.また人形を動かすカムを複数重ねたドラムも見て取れる.プレート間の支柱をよく見ると真鍮の表面に指紋が焼き付いている.いつの時代についたのだろうか?
ただでいいものを見せてもらったので感謝している.しかし,もっと機械が見たかった.

 去年はブレゲ(ジャケ・ドローの次の世代(18世紀末~19世紀初め)にフランスで活躍した時計師.時計の進化を2世紀早めた男!)の作品が16点展示された.

 今年は各メーカーの展示はほとんど見なかったが,フランク・ミュラーのトールビヨンは見ておいた.確かに仕上げはきれいだし,機構の複雑さも理解できるが,8400万円持ってても買わんな.(何億も持ってる人が買うんだろうが.)
(8/28)

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