September 10, 2006

ポスト・デジグラフィ(東京都写真美術館)

東京都写真美術館で開催中の[ポスト・デジグラフィ]展にいってきた.それほど強い興味があったわけではないが,出張の帰りに寄ったという感じだ.

1960年代の初期のデジタル表現に対して,80年代以降をポスト・デジグラフィと名づけたようだ.

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感想は,普通に面白かった.しかし,なにか新しいもの,未知のものに触れたという感動はない.
(ただ,会場入口にあった高精細なCGの動きは遠近感を失わせるほどで,ちょっとびっくりした.)
それは,見たことのあるような作品が多かったからかもしれない.(出張で疲れていただけかも・・・)

会場には2時間ほどいたのだが,ほとんどの時間はなにかの受賞作品を上映しているコーナーで過ごした.
これもおもしろいんだけど,なにか同じ味がするんだよな.デジタルって.
同じ食材,調味料,器具を使っている料理って感じかな.

初期のデジタル表現は”新しさ”が面白さとして通用したが,ポスト・デジグラフィならそれだけでは駄目でしょ.
特に,同じモデルのコピーを多用した映像作品,繰り返しの多い映像作品は不愉快だ.アイデアは面白いかもしれないが,くどい.物語性のあるもの,映像・音楽が美しいものは稚拙でも我慢できる.

もっとびっくりさせてくれ.

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April 22, 2006

詩人の眼-大岡信コレクション展(三鷹市美術ギャラリー)

出張先が東小金井だったので三鷹市美術ギャラリーによって帰った.午後8時まで開いてるし.ぐるっとパスが使えるし.
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詩人 大岡信のコレクションした作品を展示している.シュールレアリスムやアンフォルメルに分類されるような作品が多い.作品ごとに大岡信のコメントがついていて面白い.

大岡自身の作品もあるが,交流のある作家の作品がほとんどだ.それが,なんとなく統一感を持っている.セレクトショップのようだった.

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December 11, 2005

鵜飼美紀+辻和美 -光のかけら-(群馬県立館林美術館)

群馬県立館林美術館に行ってきた.特別展示の「鵜飼美紀+辻和美 -光のかけら-」がすばらしい.

実はドライブがしたくなったのだ.川村記念美術館(千葉)の「ゲルハルト・リヒター」にもいきたいのだが,途中で渋滞のない群馬県立館林美術館を選んでしまった.ここは人が少なく,食べ物がうまいうえに,周りの景色(美術館も含めて)もイイので気に入っている.

特別展示の「鵜飼美紀+辻和美 -光のかけら-」だが大きなガラスから自然光が射し込む展示室1に展示されている.辻和美の「居心地の良い部屋」という作品が展示室の半分を占め,もう半分に鵜飼美紀の「無題」が展示されている.

辻和美の「居心地の良い部屋」は天井からワイヤで吊るした551個の手のひらに収まるくらいの涙滴型のガラス(ガラスの涙)で構成されている.

鵜飼美紀の作品はガラスの器1044個に水を満たしたものを床に並べたもの.

床に並ぶ1044個のガラスの器と天井から吊るされた551個のガラスの涙の取り合わせが実にイイ.

ガラスが光を映し,とても美しい.吊るされたガラスの涙を見ていると時間が止まったような気持ちになる.止まった時間の中に光のかけらが輝く.陶然となる.

4月2日の会期が終わるとこの空間がなくなってしまうのがとても残念だ.辻和美は自身の作品を「居心地の良い部屋」と名づけているが,イイ名前だと思う.この美術館は(心配になるくらい)空いているのでこの「居心地の良い部屋」を独り占めできる.

同じ光がテーマでも東京ミレナリオ(去年の記事)とは対極にあるような展示だ.この展示と比べるとミレナリオが一層つまらないものに感じる.

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October 16, 2005

ブラウン展(AXIS GALLERY)

「ブラウン展 -形を超えたデザイン」にいってきた.場所は六本木のAXIS GALLERY.

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最終日にやっといくことができた.間に合ってよかった.実はブラウン製品は大好きで,シェーバー,時計,電卓などを持っている.ディーター・ラムスの名前も知っていた.

ラムスの名前がでるとまず出てくる製品はレコードプレーヤーSK4(1956)だ.白い直方体のレコードプレーヤーは「白雪姫の棺」と呼ばれた.写真では見たことがあるが,実物は初めてみた.美しい.ラムスがブラウンに入社したのは1955年ということだから,入社後まもなくにデザインに参加したのだ.

マルチバンドラジオやテレビも実物をみるのは初めて.電子ブロックもあった.これは写真も見たことがなかった.

ブラウンの全てのデザインには一貫したものがある.これは生半可なことでは実現できないことだ.日本に,いや世界に,これほど一貫したデザインを持つ家電メーカーがほかにあるだろうか.(Appleは家電メーカーではないが近いかな.)

ラムスのデザインの10原則というのがあった.いくつか引用してみる.「良いデザインは、美的である」 「良いデザインは、誠実である」 「良いデザインは、できるだけ少なく」 などなど.柳宗悦の「民藝」の理念と共通する.

1965年に日本でブラウン展が開かれたそうだ.監修したのは柳宗理.柳宗理のことも良く知らないのだが,ブラウン製品に「用の美」を感じたのだと思う.

今回は久々に図録を買った.

ギャラリーと名のつくところにはあまり行かないのだが,ここは入り易く,また展示も良かった.(10/23)

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August 27, 2005

ガンダム展(サントリーミュージアム天保山)

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GUNDAM GENERATING FUTURES 来るべき未来のために

という展示をみてきた.場所はサントリーミュージアム天保山.大阪港にあるこのミュージアムには前から行ってみたいと思っていたのだ.そこで「ガンダム展」をやるときいて行きたくなった.ちょうど広島・岡山とまわる旅行をしたので,その帰りに寄ったという感じだ.

1stガンダムとガンプラブームを体験した世代のことを”戦中派”と呼ぶようだが,ぼくもバリバリの戦中派.1stガンダムを題材にした展示ということで期待していた.木馬ならこの目で確かめたい.

『この展覧会は、ガンダム世代のキュレーター、アーティスト、クリエーターの感性を通じ、『機動戦士ガンダム』に描かれていた「戦争」、「進化」、「生命」、そして同アニメが巻き起こした「文化現象」をキーワードに、そこに内包されたメッセージを読み解く試みです。』(チラシより引用)

で,感想だが,ぬるい!展示されていたものは数名のアーティストがガンダムを題材に作った作品.作品それぞれは,(それなりに)面白く,インパクトのあるものもある.しかし,数が少なく,展覧会の目指すところが伝わってこない.そもそも,”内包されたメッセージを読み解く”などと言っているが,なにか読み解いたのかよ.ガンダムの名前を使って集客したかっただけではないのか.こんなことされちゃあ”ガンダム”っていうブランドに傷がつくってもんだ.偉い人にはそれがわからんのです.

「文化現象」っていうのも気に入らんな.”ガンダム以前”(戦前)と”ガンダム以後”(戦後)を比較すれば,おのずとガンダムがもたらしたものが見えてくる.なによりも”ガンダム”のデザインにもっと注目してほしかった.このデザインを手がけた大河原邦男の功績は計りしれない.ガンダム以後の工業デザインを見よ.アニメのロボットデザインを見よ.ガンダムの影響を受けたデザインのいかに多いことか.(そしてその反動までも産んだように思う.)

今回の展覧会は成功したとは言えない.しかし!これは敗北を意味するのか!
否!始まりなのだ!

<おまけ>
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サントリーミュージアム:とてもガンダム的だと思うのだが・・・

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海遊館(写真は裏側):隣にある水族館.こちらには50分まちの列が出来ていた.こちらもガンダム的だ.
そして,左隅に見えるのは・・・

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ビクトリア号だ!(以前,東京湾で会った船♪

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August 26, 2005

大原美術館

夏休みを利用して倉敷にある大原美術館にいってきた.今回が初めての訪問だ.

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大原美術館は国内の美術館を特集した記事などにはよく顔をだす美術館なので,ギリシャ建築風な本館の写真は目にすることがある.(上の写真参照) このような写真から,広い前庭の奥にどっしりと建っていると想像していたが,実際は門をくぐるとすぐ目の前にギリシャ風の本館は控えていた.ちなみに門の外には運河が流れている.この運河沿いの地域が美観地域になっている.

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大原美術館はいくつかの建物で構成されている.

本館:西洋の近代・現代美術(印象派を中心とした画家・児島虎次郎のコレクション)
分館:日本の近代・現代美術
工芸館+東洋館:民芸+東洋古代美術

以下,それぞれの感想を記しておく.

<本館>
大原美術館の入館券は1日有効で,なんどでも出入りすることができる.本館には昼間に一度入館し,夕方,再訪した.昼間は観覧者がおおく,ゆっくり絵を見る気分になれなかった.観光地の中心にある美術館なので,美術に対する興味には関係なく,皆が足を向けるのだろう.さいわい土曜日は開館時間が延長されていたので,夕方の人の少ない時間にゆっくりと観てまわることができた.

最初の印象だが,絵画・建物(壁)ともに古いなあと感じた.額もちょっとくたびれた感じだ.
しかし,絵には面白いものがある.エル・グレコやゴーギャン,キリコは完成度が高く,イイ感じだ.マティスの作品も気に入った.
マティスの「マルグリット嬢の肖像」は,ブリヂストン美術館にある大好きな作品「縞ジャケット」と並べてみたくなる作品だ.縦長のカンバスに(おそらく)同じモデル(マルグリットなら娘)を描いている.
モネの「睡蓮」も好きな絵なのだが,ブリヂストン美術館の「睡蓮」のほうが好きかなあ.
本館は2階の連絡通路で新展示棟につながっている.こちらに現代美術が展示されている.熊にひっかかれたような切口のあるフォンタナの「空間概念」やジャクソン・ポロックの「カット・アウト」は近代美術館の痕跡展で見知った作品だが,倉敷で出会うとまた新鮮な感じだ.
サム・フランシスを集めた部屋もあるが,壁が汚く,興ざめ.

<別館>
ここは楽しい!
まず,青木繁.小品だし完成度も低いが,青木繁好きにはうれしい.
大きな部屋には,小出楢重,佐伯祐三,藤田嗣治など.好きな作家が多い.
なかでも佐伯祐三がカッコイイ.パリの街を描いた「広告”ヴェルダン”」.うまく言えないがカッコイイんだよな.異郷の地でうろたえていない.そして郷愁を感じることもなくカンバスに向かう画家の強さが感じられる.
もう一点,「陽の死んだ日」(熊谷守一).死んだ息子の枕元で描いた作品だ.悲しみや怒りをカンバスにぶつける作家の姿が目に浮かぶようだ.しかし,その中にも絵のうまさがある.それがいっそう悲しい.『~画家は当時を回想して、「~”絵”を描いている自分に気がつき、嫌になって止めました」と語っている。』(「日本の美術館を楽しむ No.2 大原美術館」の山下裕二氏の記事より引用).味わい深い作品だ.

別館の地下がまた楽しい.地下は現代美術の展示室で大きな作品,大きなオブジェが多数展示されていた.田嶋悦子の奇妙な花をモチーフにした大きなオブジェが気に入った.

<工芸館+東洋館>
いよいよ,工芸館+東洋館だ.工芸館と東洋館は展示室となる複数の倉から構成されており,倉ごとに特定作家の展示室になっている.それぞれの倉はひとつにつながっている.(下写真参照.)展示をプロデュースしたのは芹沢銈介.

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展示されているのは,いわゆる民芸運動の中心になった作家の作品だ.こういう作品は倉の中で展示すると実にイイ感じだ.特に驚いたのは棟方志功.棟方志功の作品は,印刷物で見るとそれなりに味わい深いのだが,実物をみても,どこかそらぞらしい感じがして,あまり好きではなかった.しかし,この棟方志功を展示した倉はびっくりするくらいイイ感じだった.特に壁中央の目線よりかなり高い位置に展示した「門舞神板画柵(10枚組)」は壁全体を額にして収まっているようにみえる.作品も展示室になっている倉も同じような素朴なぬくもりを持ち,絶妙に馴染んでいる.棟方志功の作品は,こういう環境で見るのがベストかと思う.民芸というのはこういう感じを楽しむものかもしれない.これは得がたい快感だ.

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今回の旅行では,大原美術館と倉敷市美術館が面白かった.そして,町並みを歩くのが楽しかった.
倉敷の美観地域は日中は観光地という感じでざわついているが,夕暮れ時にはグッといいムードになる.

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July 03, 2005

夏の蜃気楼(群馬県立館林美術館)

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先日,「藤森照信の特選美術館三昧」(TOTO出版)という本を読んだ.この本では建築としておもしろい美術館を27件紹介している.群馬県立館林美術館はこの本で「飛ぶ美術館」として紹介されている.

行ってみたいな.と思ってHPを検索してみると「夏の蜃気楼 自然をうつしだす現代の作家たち」という企画展が開催中だ.「夏の蜃気楼」!なんて素敵な題名! で,早速行ってきた.

この展覧会では10人の作家の作品が展示されている.「夏の蜃気楼」という題にふさわしい作品・構成だった.

展示順に感想を書いてみる.

稲垣智子:「オアシス」というインスタレーションが展示されている.プロジェクタで映像を映し出しているのだが,日中は暗く感じる.蜃気楼としてはちょうどイイ感じかもしれない.
犬飼美也妃:パフォーマンスの実演が会期中に数回あるようだ.展示はパフォーマンスの映像と衣装など.
長塚秀人:マクロ写真的な風景写真.現実から蜃気楼へ.
諸橋明香:カラフルなプラスティック製の日用雑貨を使ったインスタレーション.
青木陵子:ペン画など.インスタレーションを数点見た後ではちょっと弱いかなと思ったが,近づいて見ているとなかなか先に進めない.惹きこまれた.チラシの画像はこの人の作品.印刷されたほうが迫力あるかもしれない.しかし,実物の魅力もなかなか良かった.
加藤千尋:架空の植物を使ったインスタレーション.ちょっと弱いかな.
小瀬村真美:「四季草花図」という映像作品.屏風を映像化したような感じ.イイ感じだが,微妙に物足りない気もする.
金田実生:人が描いたものなのに,自然にできたような,必然が生み出したような,そんなバランス・リズムがある.作品の選択・配置も絶妙ではないだろうか.
吉賀あさみ:近づいて見る作品と感じた.夏の蜃気楼にふさわしい作品だ.展示に工夫がほしい.
安田千絵:夏の蜃気楼の最後は写真作品.日常のなかの蜃気楼って感じか.白黒の作品が美しい.

午前中に行ったのだが,美術館には数名の観客しかいなかったと思われる.展示室を独り占めだ.
暑い日に,涼しい展示室で作品を眺めるのは気持ちがいい.窓からながめるきれいな芝生の庭も,美術館自体も夏の蜃気楼のようだった.

高橋青光一(ていいち:”青光”で一字)設計の美術館もすばらしかった.それに関しては,写真が現像できてから記事にします.
(7/2)

-追記-
Amazonのリンクを貼ることができるようになりました.
(しかし,いきなり文字化けが・・・)

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May 04, 2005

「泉水」牛波(@板橋区立美術館)

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板橋区立美術館にいくのは3回目になるのだが,初めて発見した.

「この便器は作品です.大切にお使いください.」

恐るべし!板橋区立美術館!

(カメラ:NATURA BLACK,フィルム:NATURA1600)

(2005 5/4)

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March 14, 2005

「LUNA」宮島達男(@ファーレ立川)

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ファーレ立川で,宮島達男の作品「LUNA」を写真におさめた.

埼玉県立近代美術館のロッカーの37番はおもしろい作品になっていた.(リンクは拙記事.)その作者が宮島達男だ.調べてみると,いろいろ作品があるので,今回はファーレ立川の作品を見てきた.

レンズ:50mmF1.4,フィルム:Fuji NATURA 1600

一度,ISO200のポジフィルムで撮影したのだが,黒い部分が多いのでフィルムスキャナー(反射原稿兼用のもの)でフレームが認識できなかった.そこで高感度のネガフィルムを使ってみた.このフィルムは何度か使ってみたのだが,あまりきれいに撮影できない.(腕の問題かもな・・・)

('05 3/11撮影)

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February 11, 2005

フルクサス展-芸術から日常へ(うらわ美術館)

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うらわ美術館でフルクサス展を観てきた.
フルクサスはジョージ・マチューナスを中心とした60~70年代の前衛芸術だそうだ.

うらわ美術館に行くのは今回が初めて.サイトを確認してみると,「地域ゆかりの作家」と「本をめぐるアート」を基本にコレクションを収集しているようだ.

今回のフルクサス展も「本をめぐるアート」に軸足があるように感じた.フルクサスの命名者,ジョージ・マチューナスのデザインした出版物など印刷物が多かった.

美術館でみると美術品に見えないこともないが,立ち止まって鑑賞するような作品はほとんどなかった.「美術館より博物館だな」と思ったのだが,それは展示品が美術品というよりは資料に近いと感じたからだ.当時は前衛でおもしろかったかもしれないが,今は資料でしかない.

「卓球」や「ピアノ演奏」,オノ・ヨーコの「釘を打つための絵」など観客が参加できる展示もあったが,面白くない.これらが今の時代のものではないからだと思いたい.これらもフルクサスの遺品でしかない.センスが(いや,おそらく技術が)フルクサイのだ.現在の前衛芸術でフルクサスと対比できるようなものなどが展示されていたら面白かったかも.

痕跡展のような,観客に考えさせるパズルのような仕掛けがないのが,ちと寂しかったが,30年前の前衛芸術を知ることが出来たのでよかった.

まあ,こういうのもアリかなとも思う.

今回の展覧会は,はろるど・わーどさんの記事に触発されて見に行きました.
('05 2/11)

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February 01, 2005

痕跡―戦後美術における身体と思考(東京国立近代美術館)

02_01_9この展示には衝撃を受けた.「痕跡」展に展示されている作品自体はあまり好きではないが,展覧会として面白い.

先日「日本のわざと美」展を訪ねた.重要無形文化財の方々の作品展だ.これらの作品は実用品が洗練された形としての美術品であった.技術の粋が美をうみだす.感情的にもわかりやすい.しかし,「痕跡」展の作品はというと,「おしっこのシミ」だったりする.(しかも,濃い色の!)

ぼくの美術を観る目は作品(=物)に向いていたと思う.「痕跡」展のサブタイトルは”戦後美術における身体と思考”だ.今回の展示は,作品(=物)を味わうのではなく,作者(=身体と思考)を味わうことを意図しているのかもしれない.作品は作者をプロファイリングする材料といったところか.

ひとつひとつはあまり面白くない作品多かった(不愉快なものもあった)が,「痕跡」という題で括られ,身体,行為など8つのカテゴリーに分けて展示されているおかげで気分的にも見やすかった.カテゴライズされていることで,観る者の思考は企画者のレールにのって安心して進むことが出来る.

しかし「痕跡」と8つのカテゴリーは,作者の意図ではなく,企画者の意図に誘導されているような気がして面白くない.作品を見たというより,企画を見せられた気がする.これだけの作品をカテゴライズして展示し,観客の思考・感情を誘導する企画者の手腕は賞賛したい.

作品(=物)をみることが美術の楽しみだったが,作者(=身体と思考)を味わう美術もあることを知った.(←それには知識・哲学が必要かも.)また作品の陰に隠れて「痕跡」を残す衒学的な企画者がいることも面白い.

とりあえず,blogのカテゴリーを新設した.2005年も明けたばかりだというのに,本年最高の問題企画展かもしれない.とんでもないものを観ちまった.作品には見たくないものもあるが,展示はもう一度ゆっくりと見てみたい.(この記事も書き直したい!)

('05 1/30)

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